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「子供だから」と振った少年が、世界を敵に回しても私を守ると言い出した ~詩篇姫と反逆の吟遊詩人~  作者: 蒼山りと


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第24話:忘却の島のマーメイド

白い砂浜、青い海。

 幽霊船がたどり着いたのは、楽園のような島だった。


「うわー! 最高だ!」


 アルト師匠が服を脱ぎ捨て、海へ飛び込む。

 私も足だけ水に浸かる。温かくて気持ちいい。

 ここが逃亡の旅の途中であることを忘れてしまいそうだ。


 ……あれ?

 私たち、何から逃げていたんだっけ?

 そもそも、どうして旅をしているの?


「ねえ、君。名前は?」


 海から上がったアルト師匠が、不思議そうな顔で私を見た。


「私は……ココロンです。あなたは?」


「俺はアルト。……なんか、君のこと知ってる気がするんだけど」


 記憶が霞んでいく。

 辛いことも、悲しいことも、全部消えていく。

 なんて心地よいのだろう。このまま、ここでずっと暮らせばいい。


 その時。

 バシッ! バシッ!


「痛っ!?」

「きゃっ!」


 頭に鋭い衝撃が走った。

 見上げると、マロンが鬼の形相で私たちを突っついている。


「チチッ! 『忘レルナ! ボケナス! 愛シテルダロ! キスシタダロ!』」


「キスはしてない!」


 痛みのショックで、記憶が一気に蘇る。

 管理者、追手、そして私たちの目的。


「……危なかった。ここは『忘却の島』だ」


 島の奥から、人魚たちが現れた。彼女たちは虚ろな目で笑っている。

 ここは、辛い記憶を消して魂をリセットする、管理者の処分場だったのだ。


「忘れちゃダメだ。痛みも、苦しみも、全部俺たちの一部なんだ」


 アルト師匠が私の手を握る。

 その痛いくらいの強さが、私を現実に繋ぎ止めてくれた。

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