第22話:氷の街の再会
管理者の塔へ向かう途中、巨大な氷の壁が立ちはだかった。
高さ数百メートル。空まで届くような絶壁だ。
これは管理者が作った「拒絶」の壁。
冷気は絶対零度近く、触れるもの全てを凍らせる。
「さっむ……! 鼻水凍るわ!」
アルト師匠がガタガタ震えている。
私も限界だった。ローブの下にカイロを貼っているが、全く効かない。
このままでは、塔にたどり着く前に凍死してしまう。
「どうしますか? 迂回しますか?」
「いや、そんな時間はない。……溶かすしかないな」
アルト師匠がリュートを構える。
しかし、弦が凍りついて音が出ない。
「くそっ! これじゃ歌えねえ!」
万事休すか。
その時、マロンがアルト師匠の懐から飛び出した。
その体は赤く発光している。
「チチッ! 『燃エロ! 俺ノ情熱! 愛ノ炎!』」
マロンがリュートに体当たりすると、ボッと炎が上がった。
魔法の炎だ。リュートが燃え尽きることなく、赤く輝き始める。
「おおっ! サンキュー、マロン!」
アルト師匠がニヤリと笑う。
彼は炎のリュート(もはやギターだ)をかき鳴らした。
♪――
凍えそうな夜も 君がいれば常夏
氷の壁なんて かき氷にして食ってやる
燃えろ 燃えろ 俺のハート!
ファイヤー!!
熱い。物理的に熱い。
彼の歌声が熱波となって氷壁に叩きつけられる。
氷が蒸発し、白い湯気が立ち上る。
分厚い壁に、人が通れるだけのトンネルが開いた。
「今だ! 走れココロン!」
私たちは湯気の中を駆け抜けた。
トンネルを抜けると、そこには管理者の塔がそびえ立っていた。
あと少し。
「……へへ。かき氷、食いたくなってきたな」
アルト師匠が汗を拭う。
私は呆れながらも、彼の手を握った。
その手は、どんなカイロよりも温かかった。




