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記憶②

「おめえ、ストーカーか?

あいつに下手な事したら、俺が黙ってねえぞ」

 突然現れた男の人が鋭い眼で言ってきたから、

「!ち、違いますよ!!」

慌てて否定した。

「じゃあ、なんだ?何モンだ?名前は?」

 職務質問めいたモノが始まった。

「・・・・平井っていいます。M町でバーテンやってます」

「バーテン?なんであいつの事見てた?」

「えっと・・・・知り合いに似てたもんで」

「知り合いだあ?そいつは何処に住んでる?何モンだ?」

 噓言わなきゃよかったって後悔した。

「何モンて・・・・あ、あなたはなんなんです?」

「俺か?俺はあいつのー」

 男の人は急に口詰まった。

「お父さんですか?」

「ば、バカ野郎!そ、そんなんじゃねえ!」

 気のせいかもしれないけど、ちょっと嬉しそうだった。

 でもすぐに、

「んな事はどうでもいい!知り合いのヤサ言え」

厳しい表情に戻って訊いてきた。

「や、やさ!?」

「住所だ、住所。古巣に言って連れてきてもらうからよ」

「古巣って?もう一度聞きますけど、あなたは?」

「俺は早期退職してこの辺りで柔術道場やってる元警官だ」

「け、警官!?」

「“元”だ。けどな、一般人になったって現行犯は

“私人逮捕”出来んだ。あんま舐めてっと捕まえちまうぞ」

「ええっ!?そんな!」

「ほれ、早く言え」

 もう無理だった。観念した。

「・・・・知り合いなんていません」

 そしたら急に背後を取られ、

「てめえはブタ箱行きだ」

首を絞められたからすかさずタップした。

「じ、じんじてください・・・・

やまじいぎもじなんでないんでず・・・・」

 必死に言葉を絞り出して弁明した。

「じゃあ、なんであいつを見てた?」

 男の人は手を緩めなかった。

「づ、づらぞうだっだがら!

どでも、づらぞうだっだがら!!

どうじてだろうどおもっで、

じんじてぐだざい!!!」

 急に戒めが解かれた。

「ゲぼっ!げほッ!」

 涙目で喉を押さえ咽いでいると

「辛そうだったか?」

 男の人は訊いてきた。

「え?・・・・はい」

「母親が亡くなってまだ日が浅えんだ」

「え?」

 男の人は空を仰いだ。

「病気患って入院しててな。で、亡くなる間際に車で

病院向かったんだが道が混んでたとかでギリギリ

間に合わなくてな」

 胃に重たいモノを詰め込まれた様になった。

頭も真っ白だった。

「どうした?」

 男の人が不思議な表情で訊いてきた。


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