燈和とフラデリカ
さて、前回とは打って変わってバチバチした雰囲気だ。
いったい誰と誰が喧嘩してるんだか、見ものだね。
降り頻る雨が地に届くことはない。
その一粒一粒が大地にたどり着く間もなく蒸発してしまうからだ。
ふと、考える。
-俺の想いも、あの雨粒のように届くことも叶わず消えてしまっているのだろうか-
覚悟を、決めなければならない。もう失敗は許されない。
「さぁ...燈和。今度こそ、殺してやるからな」
「・・・」
獄炎に包まれた幼馴染に声をかけるも返答は無く、代わりにただただ殺意だけが向けられた。
その距離5メートルといったところか。燈和を中心に燃え盛り、渦巻く炎はその範囲を裕に焼き尽くす。
当然氷戈もその炎に喰われているが、火傷を負うどころか顔色ひとつ変えることはない。
これは氷戈の欲『絶対防御』の力によるものであり、燈和が発す炎の大小に関わるどころか熱によって巻き起こる暴風すらも悉く遮断する。
「・・・何度言わせる。私は、トウカなんかじゃない」
その美形な顔を恐ろしく歪ませて、告げる。
「私の名はフレイラルダ=フラデリカ!!。・・・フラミュー=デリッツの焔騎士であり、No.2の名を冠する者だ‼︎」
「・・・そうか、そうだったよ。・・・お前も、生きてるんだよな....」
「何をまた、訳の分からないことをッ....!?」
燈和か、フラデリカか。トウカで、フラデリカか。
彼女は憎悪の対象に哀れみの表情を向けられ一瞬戸惑うも、その覇気を揺るがすことはなかった。
「行くぞ、青髪!貴様の首を落として私たちは勝利するッ!」
「・・・来いよ。絶対に、取り戻す!!」
フラデリカは2刀のレイピアを、氷戈は等身ほどの槍を構え両者は臨戦体制へ。
「はぁぁッ!」
「・・・ッ‼︎」
熱き『赫』と凍てつく『蒼』の激突の行方は、如何にーー
この2人はいっつも喧嘩してるねぇ?
え?どの2人かって?・・・そりゃ氷戈と....えっとー、誰だっけ?