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会場準備中

 モーバリウス王国が決闘のための会場を用意するまでの間、僕たちは城の中の一室で待機するよう言われた。全員が入ると、外から鍵をかけた音がしたので、実質、監禁状態だ。


「初めから決闘を申し込むつもりだったのか? 全て自分一人で終わらせようと?」


 そう言ったのはルテアだ。いつもの彼女なら怒り出しそうな場面だが、今日のルテアは少し違っていた。なんだか、笑みを堪えているように見える。


「話の流れでそうなっただけで、最初から考えてたわけじゃないよ。でも、結果的にそれが最善かなって思ったんだ」


「あの王は、あなたが奥の手を隠し持ってること、知らないんでしょ? ああ、そう考えると、なんだかとっても哀れね」


 ミラスはプラントンに同情している。


「ちょっと、みんな僕を買い被りすぎじゃないかな? 僕に何ができるのか、みんなは見たことないでしょ?」


 ルテアやミラスの前で魔法を使って見せたことはないはずだ。それなのに、どうしてこんな勝ち確ムードなんだ?


「お前はレンをも退けた。それが何よりの証拠だ」


「それじゃ、実戦でのお楽しみってことね」


 二人ともおかしいよ……。これから生きるか死ぬかの戦いに送り出そうって雰囲気じゃないもんなぁ。


「あのプランクトンとかいうヤツとの戦いが終わったら、次はあたしが相手ね」


「あ、いや、パルマ。それは遠慮させてもらうよ」


「えー、なんでー?」


 いやだから、そんなに不貞腐れられても……。それにプランクトンじゃなくて、プラントンね。プランクトンがなんなのか知らないけど、その呼び方はすごく怒られそうな気がするなあ。


『すっかりわしらの力を当てにしとるやないかい。はじめはあんなに嫌がっとったのになぁ』


『まったくですわ。わたくしたちがいつでも助太刀するとは思わないほうがよろしいですわよ』


『二人には感謝してるよ。けど、僕だって体を貸してあげてるんだ。これくらいのお返しがあって当然でしょ?』


『言うようになったやん。ま、わしはいくらでも助けたるさかい、なんぼでも言うてよ』


『ありがと、ゼヴ』


『わ、わたくしも、再びレンと相まみえるまでに肩慣らしをしておく必要がありますから、もうしばらく協力してあげてもいいですわよ』


『ミカ・エラも、ありがとう』


 なんだかんだ言って、二人とも優しい。


 はっきり言って、国の問題は二人には関係がない。僕だって、二人の内情を詳しくは知らない。だけど、目には見えない絆のようなものが、僕たちにはある気がする。


 同じ体を共有し、同じものを見て、同じ経験をする。旅の間も片時も離れず、常に一緒にいた。そのことが、僕たちの結束を強くしていると思えるのだ。


 姿は見えずとも、今は二人の気配みたいなものをすぐ傍に感じる。そのおかげで、僕の心は支えられている気がした。

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