花粉入りの袋
とっておきの物とは、畑で集めた花粉たっぷりの小さな布袋の事だ。
これを花粉の種類毎に複数個用意してある。
全部投げつけたらどれかで花粉症を発症するだろうと期待している。
「お待たせー。」
「待ってたぞ。」
お父さんとある程度距離を取ってから周りで様子を見ている野次馬達に注意をしておかないといけない事を思い出した。
「みんなー、少し離れた所で見てた方がいいよー。」
注意喚起をした事によって素直に離れる野次馬達。
「準備はいいか?」
「いつでもいいよ。」
深呼吸をしてお互いに目が合った時、戦いは始まった。
「いくぞ!」
お父さんが走ってこちらまで迫ってくる。
身体能力的に肉弾戦を行うと不利なのはこっちだ。
「食らえ!」
手に持った花粉入りの袋をお父さんに投げつけた。
「うぇ、なんだこれ!」
お父さんは反射的に袋を手で叩き落としたが、そのせいで袋の中の花粉が辺りに舞い上がった。
上手くいけば鼻水、くしゃみ、目のかゆみでまともに戦えなくなるはずだ。
「くそ、なんてことしやがる。」
お父さんはその場で立ちすくんで苦しんでいる。
花粉症を発症させれたかな?
このまま肉弾戦をしてもいいけど念には念を入れておこう。
俺は足元の砂を手に掴みお父さんに投げつけまくった。
「うぅ、前が見えない。」
なんかお父さんが気の毒に思えてきた。




