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手合わせ
「クロスはその武器を使っていいぞ、お父さんはこれを使う。」
お父さんが手に持っているのはおなべの蓋である。
武器ですらない。
刃引きした武器がなかったから仕方なく感が凄い。
「おなべの蓋なんかで大丈夫なの?」
「はは、大丈夫だよ。お父さんは無傷でクロスに勝てる自信があるぞ。」
これがいくつもの修羅場をくぐってきた大人の余裕というやつか。
さて、お手並み拝見といこう。
「じゃあ遠慮なく。」
先に仕掛けたのはクロス兄の方だった。
一気に間合いを詰めて懐に飛び込み、手に持った銅の剣を振りかざす。
難無くおなべの蓋で対処するお父さん。
絶え間なく攻撃を続けるクロス兄。
一撃ももらうことなくいなし続けるお父さん。
「どうしたどうした、そんなもんか?」
「くそう!」
一度もダメージを与えられていないクロス兄。
それもそうか、だってまだ剣を手に入れたばかりで剣術の練習などしていないのだから。
熟練度が足りてないよ。
あ、このままじゃまずいのか。
クロス兄が狩りについていく許可をもらわないと必然的に俺も許可もらえないんだったわ。
クロス兄には頑張ってもらわないと。




