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魔法は何もつかえないけれど  作者: ちくちく
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魔法は何もつかえないけれど

「マユリ⁉ どうしたんだ? どういうこと?」

フィルが驚いたように叫んだ。


「そうよ。マユリ。ここで、お城でお仕事をしていいのよ。そう言ったじゃない。何でヘレネ様の所で……? 皆でここに居てと言ったじゃない。 何故なの? 何故? ここにはフィルも居るのに……」

王妃が驚いた顔でマユリを見つめて言った。


「そうだ。マユリ。俺達の嫁に来るように言っただろう? 仕事もいいけど嫁に来ればいいじゃないか?」

「そうだよ。ジークは嫌だろう? 私の嫁においで。いつでもいいよ」

「ジークもシリウスも止めて。 マユリ、私と森の家に帰るんだろう? 私と一緒に居るって言ったよね。 傍に居てくれるんだろう? ずっとヘレネ様の屋敷で暮らすつもりなのかに?」


マユリはフィルを真っ直ぐに見つめ、深々と頭を下げると

「フィル様。本当に今迄お世話になりました。

全てはフィル様のお陰です。でも私は大人になって、独り立ちをしないといけないんです。ヘレネ様は私を同情ではなく、仕事としてお屋敷で雇って下さるとおっしゃいました。

庶民の私がずっとフィル様の傍に居るわけにはいきません。フィル様は王子様なんです。私とは住む世界が違います。


本当にありがとうございました。

私はヘレネ様のお屋敷で一生懸命頑張ります。

お会いすることは出来なくなりますが、一生感謝して過ごします」

もう一度深々と頭を下げると、涙の溜まった瞳でフィルを見つめた


「そんな。そんなこと……言わないでよ。マユリ。一緒に帰るんだろ?」

フィルが思わず手を伸ばして、フラフラと2~3歩歩き出すと、


「フィル。マユリの言葉を聞いただろう? 

私の屋敷で仕事をしたいと言ってくれたんだ。その思いを尊重してほしいな」

とシオンが美しく微笑みを浮かべて、マユリの肩に手を置いて言った。


そのシオンをマユリが見上げて微笑むと

「ありがとうございます。私、これから、一生懸命頑張ります」

と言った。


そこに集った人々が、それぞれに声高に主張を始めて、収拾が付かなくなった。

「皆、頭を冷やせ、マユリ。とにかく今日は休んで。この続きは明日にしよう」

王が一旦話を終らせた。


マユリはシオンにエスコートされて以前の部屋に帰った。


2人が居なくなった王の執務室は騒然とした。

フィルは黙って力なく座り込み、ジークとシリウスは怒り出した。


「何だ。あれは…。シオンのあの勝ち誇ったような顔。何なんだ。おい。フィル。いいのか。ここに帰って来ないなんて、許せるのか?」

「何やってるんだ。お前が止めないと駄目だろう。しっかりしろ」

「フィル。あなた、それでいいの?マユリを攫って行かれるなんて」


ジークとシリウスがフィルに詰め寄った。

「マユリが…。マユリが居なくなる? 私の所に帰って来ない……」

うわ言のように呟くフィルの視線が定まらない。


「おい。フィル。しっかりしろ。大丈夫か?」

「マユリが居なくなる? マユリが……」

フィルはふらつきながら立ち上がると、マユリの部屋に向かった。



マユリは自室の椅子に坐って、ほろほろと静かに涙を零していた。

マユリの前に立ったフィルは、

「何で泣いているの? 泣きたいのは私だよ」

と声を掛けると、


「何故でしょう。涙が止まりません。自立しようと決めたのに。フィル様に褒めてもらいたいのに。何故泣いてしまうのか。何故なんでしょう……」

「マユリ。あの月の夜に、私の傍に居ると言ったのは嘘だったの?」


「嘘ではありません。庶民の私はフィル様の傍に居てはいけないのです。ヘレネ様とシオン様の傍に居ることが正しい事なんです」

「正しいことじゃない」

「いいえ。これが一番正しい事なんです」


「誰にとって正しいの?」

「フィル様にとってです」

「私は悲しいだけだよ」

「これが正しいのです。私は決めたんです。フィル様の邪魔になりたくないのです」


「絶対にその気持ちは変わらない?」

「はい」

苦しそうな表情で涙を流したマユリは大きく頷いた。


「分かった」

と辛そうな表情を浮かべたフィルはそっとマユリの頬を撫でてから、部屋を出て行った。


フラフラとフィルは自室に戻ると、力が抜けたように床に座り込んだ。

(もう、私は1人なんだ。マユリにとって私は必要ないんだ。マユリはシオンの物になるんだ。また私は独りぼっちになるんだ。私は…。私は……。私に存在する意味はない。誰にも必要ないんだ。もう、いいや……。もう、いい……。いい……)

ずるずると身体は床に崩れ落ち、フィルは身体を縮こまらせ、胎児の様に両足を抱え込んだ。



次の日の朝。

ジークがフィルの部屋に様子を見に来た。

「おい。フィル。起きているか? どう説得するか考えたか。俺も協力するぞ」

と言ってドアを開けると、そこには身体中に黒い呪いのツタを巻き付けた意識のないフィルが床に倒れていた。


「フィル!」

ジークが叫んだ。











遅筆の上に、書き直しばかりで、話が進みません。世の中の方々を本当に尊敬してしまいます。こんな仕方のない者ですが、最後まで頑張ろうと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。。

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