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死に物売り  作者: 沖田一
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5・死に物屋

 三途の町は、その中心に雲を突き抜けるほどにでかい市役所があって、円形の形をしている。地面は地球のように球になっているわけではなくて、市役所を中心に、半径約10㎞くらいの平面円の上に町がある。


 日本で死んだ人は、皆すべからく一度この三途に訪れる。そして、この町で49日間過ごし、その間に天国に行くか、地獄に行くかの審査を受ける。もちろん、その審査を一手に扱っているのが、三途の中心にある市役所だ。


 僕、千夜(ちよ)は、そんな三途の町の一角で、死に物屋を開いている。現世にいる人からしたら、物騒な名だと思われるかも知れないけど、三途では案外大事な仕事だったりする。


 死んだ人は皆この三途に来ると言ったけど、皆が皆幸せな死を遂げてここに来る訳ではない。不意な事故だったり、強烈な未練を現世に残したりして三途に来る人だって大勢いる。そんな人が三途に来ると、市役所のその死人に対する評価が下がって、地獄行き、もしくは現世での地縛霊化という判断が下る確率が高くなってしまう。


 僕は、そんな死人にその死因や未練を売ることで、その人の死や人生に対する未練を消化させているんだ。実際、天国行きになりたい人は多いので(というか、ほとんどの人がそうだ)、店は結構繁盛していたりする。


 そんなことを言っていると、ほら、お客が。


 「すみません。私、火事で死んだんですけども、どうも死にきれなくてですね、火事って売ってますか?」


 「火事ですね?ありますよ。何火事ですか?」


 「はい、えっと、タバコ火事です。」


 「タバコ火事ですね。こちらになります。3,000円です。」


 僕は、火事婆から買ってきた瓶を客に見せ、手早く紙袋に緩衝材と共に入れる。客からの代金を受け取ると、袋を客に渡す。


 「はい、ありがとうございます。いや、何といいますか、まさかあんな寝タバコで火事を起こして死ぬなんて、考えても無かったんで、死ぬに死に切れなかったんですよ。これで天国に行けそうです。」


 「そうだったんですね。天国に行けるといいですね。良い49日を!」


 こんな感じで、僕は死に物売りをしている。


 もし僕の話を聞いている現世の人がいたら、事故死であれ、未練であれ、僕の店に頼らなくていい死に方をして欲しいと思うな。


 もし、頼る機会があったら「現世で聞いてました!」って店頭で言ってみて欲しい。その時は、ここでは珍しい海外からの輸入品、JATO付の乗用車を破格で売ってあげよう。

謝罪!


ホントはもう少し長くなって、天国や地獄にいる千夜の知り合いとかの話も書きたかったのですが、私の心が折れました。もうこれ以上この作品を文字に起こす気力がありません!一応短編として成立するくらいには書いたつもりです。


ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!

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