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エピソード6 はじめての外出

本日二つ目の投稿になります。

少し張り切りました。


またまた変更しました

串焼きの値段と銀貨五枚から三枚に修正し、平民の一ヶ月の生活費を銀貨七枚から小金貨一枚に修正しました。

 季節は冬に移り変わり、窓から見る辺り一面の景色は雪化粧のようになっていた。

 窓辺に寄りかかりハァーと息を吐くと白い吐息が煙のように立ち昇っていくのを目で追っていた。

 そんな姿をあのメイドに見られていたようで、後方から「ハァハァハァ、スノウ様」と血走った目で蒸気機関車のような白い煙を室内で上げていた。

 あまりのホラーに、オレは「ヒィッ」と奇声をあげると、頼れるベテランメイドが現れた。


「スノウ様、今日はイーサン様との外出になりますので、すぐにご準備を」


 流石頼れるベテランメイドだ。メイドをすぐに追い出してくれた。

 相変わらず良い仕事するベテランメイドだ。

 オレは気持ちを鎮めて、急いで着替えて王宮のエントランスに向かった。

 

 既にエントランスには、母さんとイーサン兄さんとヒュンメルが待っていた。


「スノウ、悪い人に騙されたらダメよ。やっぱり心配だわぁ、私も付いて行こうかしら。何かあったらお母さんの魔法でスノウを守ってあげれるし」


 過保護過ぎるお母さんが魔法を使うと城下の皆様に迷惑がかかります。中級魔法の使い手なので、悪人達だけでなく、オレにちょっとした意地悪をする輩達も治療院送りになり、満床になってしまいます。もしくはその人の人生を終わらす事になってしまいます。


「大丈夫ですよヴァネッサ様、ボクがスノウを守りますし、いざとなればヒュンメルもいますよ。それに万が一の事を考えてボクの護衛達にもスノウを守るように伝えております」

 

 イーサン兄さん、どこまでオレの中で好感度を上げるんだ。もうホストの領域の気遣いだよ。


 そして、それぞれ街に溶け込む為に平民の衣装を着こなし、城下の貴族街の入り口付近まで馬車で移動していた。

 移動の道中、馬車内では二人でお忍び変装グッズを選んでいた。


「スノウはこっちの方が似合いそうだね」

 

 イーサン兄さんが手に取っているのは赤髪ストレートのロングヘアーのウィッグと、赤色の頭巾だった。このストレートヘアーと頭巾で黒目を隠してくれて、皇子とは気づかれないだろう。

 それに、ホワイトのレーストップにベージュのニットワンピースのレイヤードコーデをして、更にこの顔! 素朴な美少女にしか見えない女装である。

「それだと女の子と間違われるから、街の人達も皇子とは思わないよね」


 確かに一理あると思いながら渋々納得した。


 イーサン兄さんは赤色の色付きメガネと青髪のショートヘアのウィッグを被り、オフホワイトのチュニックに濃い緑のマントを羽織り黒いズボンを履いた町人スタイルに変装した。


 ヒュンメルはメガネをかけたローブ姿で、旅人? に上手く変装できているつもりで心なしかワクワクしており嬉しそうだ。

 しかし、浮浪者っぽくも見えるので、この三人の中で一番怪しかった事は本人に内緒にしておこう。


「さぁスノウ、行こうか」


 イーサン兄さんは慣れた様子で馬車から降りていく、オレも続いて降りると、そこにはファンタジーにありそうな中世ヨーロッパっぽい世界が広がっていた。

 帝国民だけでなく様々な人種が生活しているのだろうか、とても活気のある街のように感じる。   

 真ん中の噴水のある広場の東西南北それぞれに街道が広がっており、北地区は先程オレ達が通ってきた貴族街で、貴族の住宅街とは別に貴族御用達の商店や高級ホテル等が立ち並んでいる。


 東地区は市場が並んでおり様々な種類の食料や雑貨、掘り出し物等、バザーのように並んでいる。その奥には商店がいくつか並んでいた。


 南地区は料亭や飲み屋や宿屋があり、ガヤガヤと騒がしく飲み屋からはケンカをしているのか大きな声が響いていた。また南地区には街の正門があり、衛兵達の宿舎等も並んでいた。


 西地区には鍛冶屋や家具職人等が集まる工房や教会がある。教会では孤児達も預かっているそうだ。西側地区の最奥には治安が悪いスラム街があり、犯罪者等も隠れ住んでいると言われている。


 スラムの話を聞くだけで鳥肌が立ち、そっちには絶対行かない事を心に誓った。


しばらくイーサン兄さんの説明を聞きながら歩いていると、噴水のある広場から香ばしい匂いが近づいてきた。こう何というか焼き鳥的な?


「兄さん、あっちにあるのは?」

「あぁ、スノウは初めて見るかな。あれは屋台って言うんだよ。普段ボク達が食べないような食べ物が売られているんだよ」

 

(なるほど、この世界にも屋台は存在するのか。一体何が売られているのかきになるなぁ)


 オレ達が話していると、屋台のおじさんが声をかけてきた。


「へいらっしゃい! いい匂いだろ、お嬢ちゃん。今日仕入れたばかりのオークの串焼き一本銅貨三枚だよ。お嬢ちゃん可愛いから、買ってくれたらサービスでもう一本つけるよ」


「銅貨三枚?」

 銅貨っていくら何だろう? そう言えばお城でもお金を使っていないので分からないなぁ。とりあえずイーサン兄さんと護衛の皆さんの分も合わせて十本ぐらいかなぁ?

 

「スノウそれぞれのお金の価値を教えるね。

 銅貨十枚で小銀貨。小銀貨十枚で銀貨。

 銀貨十枚で小金貨。小金貨十枚で金貨。

 金貨十枚で小白金貨。小白金貨十枚で白金貨だよ。大体だけど平民の一ヶ月の生活には小金貨一枚もあれば充分かなぁ」


 とイーサン兄さんが説明してくれる。


 ふむふむ、銅貨を百円と考えると銀貨は一万円、金貨は百万円、白金貨は一億円ということだな。

 串焼き十本買うと……三千円か、中々な出費になるな。

 オレは、うーんと悩んでいたらイーサン兄さんが「初めてなんだから買ってみたら」と後押ししてくれ、屋台に向かった。


「すみません。串焼き十本下さい」


「じゅ、十本??」


 屋台のおじさんは驚いていたが、みんなで食べる分を購入しようとしていた事を説明すると「優しい嬢ちゃんじゃねぇか」とニカっとした笑顔で三本サービスしてくれた。


「スノウ……どうしたのその量」


「護衛の人達も一緒にどうかなぁっと思って買ってきたよ」

 

 イーサン兄さんは、やれやれといった顔をしてオレに教えてくれた。


「護衛達も気持ちはありがたいと思うが、護衛中は目立った行動はできないんだよ。スノウせっかく買って来てくれたのにごめんね」


 そうですよねー よく考えてみたら護衛の皆様ははお忍び中の皇子の護衛という緊張感のある職務中ですもんね。無意識に日本人の協調性と言う特技が出てしまった。


 残った串焼きが冷めないように屋台のおじさんに頼んで袋詰めしてもらい、次に気になっていた東地区の市場方面の散策に出かけた。


 まだ市場まで二百メートル程あるが、もう既にここまで活気のある声が聞こえている。


「らっしゃい! らっしゃい! 安いよ! 安いよ!」


「へい! こちらは今朝海から挙がったばかりのドリルマグロ! 脂も乗っていて美味しいよ!」


「魚より肉だよ! こっちは滅多に見れないレッドベアのシャトーブリアン! 極上の柔らかさに噛めば旨味が口いっぱいに広がるぜ!」


「今から野菜のタイムセールだぜ! 人参と、玉ねぎ、痺れ大根の詰め放題が何と銅貨三枚にしといてやる。てやんでい!」


「ついに帝国まで運んで来たぜ。あの有名な生活魔道具士ラファルルの、この世に数百本しか出回っていない【手巻き式ライト】だ。この横についているレバー回している間は灯りがつく優れ物だぜ。小金貨五枚のところを特別価格で小金貨三枚だ!」

 

 市場や商店で色々な話に耳を傾けているとカルチャーショックの連続で頭がパンクしそうだ。


(ドリルマグロ? 痺れ大根? パワーワードが凄く、今度ベテランメイドに聞いてみようかな?)


 街の人だけでなく旅人や行商人などの話に耳を傾けると、どうやらこの世界は前世に比べて技術がかなり遅れているようだ。

 大陸一の技術力を誇る帝国でさえ、軍隊で鉄の武具を着けている者は極端に少なく、多くは青銅であるらしい。

 またその他の技術も造船技術では木製の小型帆船で定員が十五名、積載量四十トン程度が限界との事だそうだ。長距離の航海は命懸けで。天候によっては人員や貨物の被害が大きく船乗り達は「もう一日待って出港すれば良かった」と後悔するらしい。

 魔法がある世界なので、魔法を使わないその他の技術に対して前世との差が大きかったのか?

 そしてどのような仕事をしているのか実際の職人達に興味を抱いた。


「兄さん、西地区の工房も見てみたいです」


「スノウは好奇心旺盛だね。そんなに目をキラキラさせてお願いされたら無碍にはできないなぁ」


 イーサン兄さんの了承を得て西地区を目指して足を進めた。この時は気付かなかったがオレの好奇心によって、確実に運命の歯車を徐々に狂わせてしまていた事を後で気づく言葉になった…………

何とか毎日投稿を続ける事ができてます。

暖かい言葉をお待ちしております。

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