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エピソード2 護衛と書物庫

本日最後の3話目です。


至らぬところもあるかと思いますが、なるべく早く定期的に更新していきますのでよろしくお願いします。

 転生してから三ヶ月後、医者からも体調が回復した事を告げられ、やっと外出許可が下りた。

 でもまだ城内のみだけで、溢れ出る六歳児のエネルギーを持て余している。

 オレは母さんと一緒に王宮から離れている離宮と呼ばれている場所で暮らしている。転生前のスノウの記憶でもあまり出歩く事はなかったようで、オレは異世界に興味津々で場内探索に出かける事にした。まずは書物後に行って歴史や魔法の本を読んでみたいと母さんに伝えたら、

 

「スノウ一人で大丈夫かしら。あぁ心配だわ。ちゃんと迷わず行ける? お母さんもついて行こうか?」


 現在六歳+精神年齢二十九歳=三十五歳オッサン児のはじめてのおつかい―――― こんな番組があれば正直キツい、視聴率も底辺の底辺で視聴者からはクレームが殺到だろう。


「スノウやっぱり一人で行くのは心配だわ!

ヒュンメル! スノウに付いて行ってくれますか」


 すると突然後方からコツコツと足音が響いた。

 後ろを振り返ると、白髪混じりのオールバックを後ろで結んだナイスミドルが、鉄の鎧と剣を帯刀して、今にも戦場に行って参りますと言わんばかりのフル装備でスタンバイしていた。

 

「かしこまりましたヴァネッサ様。この命にかけて必ずやスノウ様をお守り致します」


えっ! 何? 城内は戦場ですか? 廊下は命懸けで歩くとこなの?

 どこからツッコミを入れれば良いのかオレの理解が追いつかない。

 とりあえずコレが異世界あるあるなのか〜っと思考を停止し、案内を任せることにした。


 書物庫に向かう途中も護衛のヒュンメルとは会話も無く二人の間は静寂に包まれていた。

 時折りメイドが忙しなく働いており、周りを見渡すと絵画や帝王を模した彫像や黄色い花を生けた花瓶が飾られており、フリージアの爽やかな香りが窓から吹き抜ける風とともに舞っていた。

 そんな香りに気分もウキウキし足を進めた。

 頭がスッキリした事で色々な妄想も冴え渡っていた。


 まずは、異世界に転生と言ったら魔法でしょ。

 帝国では魔法使いが居ないと言われているが、オレは何と言っても転生者! そして母親は魔法使い!

 きっと何らかの能力を授かっており、魔法もお手の物ですわー ワッハッハー!


 そして、含み笑いをしながらの妄想タイムを終えて書物庫に到着した。護衛のヒュンメルには扉の前で待機していただき、ゆっくりとドアノブを回すと、薄暗さの中で小さな窓かは差し込む光に眩しさを感じた。窓からの採光と蝋燭の灯に照らされた書物庫は、図書館並みの広さと書物の多さに唖然とした。

 オレは片っ端から本のタイトルに目を通していくと、本棚から【魔術士と魔法使いの実際】という本を見つけた。 


 オレは目的の本を手に取ると、周りを見渡して本を読むスペースを探した。

 幸いにも部屋の角に蝋燭が灯されており、書物をじっくり読めるように机と椅子があった。 


(ふむふむ、まずは読んでみますか)


 この世界には、低級〜上級魔法が存在するらしい。魔術士と魔法使いの違いは身体に宿る魔力の量である。魔術士とは体内に存在する魔力が微弱である為、空気中に存在する魔素を体内に取り込む事で魔力の少なさを補う必要があるそうだ。

 それでも魔力が弱い為、生活魔法〜軽傷レベルの低級魔法を使える程度のようだ。

 また、杖を用いて魔力を増幅する事で初級魔法が使える人もいると記載されていた。


 次にオレは魔法使いの説明の項目に目を通した。

 魔法使いでは体内に魔力が巡っており、先天的な魔力の器の大きさで初級〜上級魔法が発動できる。詠唱の短縮では威力が弱くなるので、詠唱の非短縮や杖の使用が望ましいと記載させていた。  


(ほうほう、魔術と魔法かファンタジーだなぁ)


 ペラペラとページを捲ると魔法についての項目で手を止めた。

 魔法には様々な属性があり、火、水、風、地、光、闇の六属性に分かれている。唯一光魔法は回復魔法が使える貴重な存在らしい。

 そして各レベルの魔法の威力については、大凡で

 初級魔法は個人もしくは直径五メートル範囲に対して軽〜中等度レベルの戦闘に影響する怪我等を負わす威力となっている。


 中級魔法は直径十メートルの範囲に対して中等度〜重傷レベルのほぼ戦闘不可状態の威力となっている。

 

上級魔法は直径二十メートルの範囲に対して重傷〜死亡する威力となっている。


(なになに、そんな能力をオレが持っていたら困るなあ。戦うの怖いし、【doco◯moドア】的な瞬間移動できるような魔法が欲しいなぁdo◯右衛門〜)


 またページを捲ると魔法の応用活用についての項目で手を止めた。

 魔術師二十名による魔法陣を描くことで中級魔法が可能な事や、上級魔法が唱えられる魔法使いが十名による魔法陣での詠唱により、広範囲な大魔法が使えるらしい。


(これはどーでもいいや、まずは魔法が使えるか調べて……あっ! これこれ)


またまたページをパラパラ捲ると魔法適正についての項目で手を止めた。

 魔法の適正は五歳児の時に素質があれば発現する。その現象は身体中に何かが循環する違和感が突然現れて、年齢とともにハッキリと魔力の流れを感じるようになる。

 そして多少の差はあるが十歳頃には属性が自分で分かるようになる。

 十歳児での魔法適正の判定は以下の様になる。


 《適正その一》 暖かくて力強く血管内に流れる魔力を感じるのが魔法の適性があると言える。その魔力が血管内に流れる時にイメージできる魔力の色が魔法の属性である。


 《適正その二》 暖かさはあるが意識したら血管内に細々と流れている魔力を感じる事が魔術の適性があると言われている。魔力の色は薄いがその色が魔術の属性である。


 《適正その三》 そもそも五歳児で何も感じ取ることができない方は諦めましょう。特に黒髪の種族は五十億分の一の確率、黒髪且つ黒目では百億分の一の確率しか適正がないので素直に諦めましょう。


(はっはっは! 適正三は可哀想だなぁ。 どれどれオレに適正があるか集中してみますか)



……二時間が経過……



「ハァーー! 全く感じられんですわー そもそも黒髪黒目ってオレですやん。 年末ジャンボ宝くじの五百倍当たらんのかーい 異世界転生のチートとか無いんかーい!!」


 不思議な言葉遣いで絶叫したため、ヒュンメルが「敵襲でしょうか!」と大声をあげながらドアを蹴破り侵入してきた。右手に剣を握りしめた鬼気迫る顔を見て、元々のビビりな性格と六歳児にはショッキング過ぎてズボンを湿らすこととなった。

 ……そんな夏の終わりを感じる季節でした。

初めての執筆ですので暖かく誤字や脱字、感想等をいただければと存じます。

 

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