捏造の王国 その8 ジコウ新年会 年明け波乱の幕開け
年が明けても言動をつっこまれまくりのアベノ総理はじめジコウ党議員に少しでも教養を身に着けさせようとガース長官は”楽しく学べる新年会”を開催するが、ビンゴも双六も楽しく学ぶのにまったく役にたたず…。
「おめでとうございます!」
乾杯の音頭が響く、ここはジコウ党アオアカ会館。
年明けの初顔合わせを兼ねた、総裁ほかジコウ党議員らの新年会会場。もちろん、財界の関係者らも招かれている。
「おめでとうございます、ガース長官」
「ああ、シモシモダ君。おめでとう」
と言いながら、明るさとは無縁の表情のガース長官。
「長官、いかがなされました」
「はあ、まったく、去年はさんざんだったな、オキナワ選に」
「しかしヘンノコは基地建設に向け土砂も順調に…」
「それも世界中から非難、県民投票まで中止のアメリカトップへの署名は20万になったというし。頼みの株はダダ下がりでまた年金基金を投入でもたせているが。話題をそらそうと韓国軍にいちゃもんつけたものの、タモタモガミが“あんなの普通、なんで騒ぐ~”なんてツィートするし」
「まあ、サヨクどもが“そんなこったろう”と冷ややかにみておりましたが、こちら側とおもっていたタモタモガミさんが言ったのは痛いですね。海自で映像公開に踏み切りましたが。」
「くっそおお、有罪判決がでたから大人しくしてくれればよいのに。おかげで外務省も防衛大臣も無知無能だということがバレてしまうではないか。しかも映像出したら、あちらは八か国語だすわ、もう収集はつかないし。お、おまけに」
「ひょっとしてINUHKのサンデーディスカッションにおける総理のサンゴ発言ですか、移植したから大丈夫って。あれはさすがに」
「や、やはり総理でなく他の人間を出すべきだった。“そんなことが可能なのか”と環境団体やら、研究者やら、お、オーストラリア政府関係者からも問い合わせが」
「そ、それでどうお答えに」
「総理が大げさにいっただけとか、なんとか誤魔化したが、冷や汗をかいたぞ。それにすでにオキナワのタマギギ知事に完全に否定された。くうう、また、またマイテイフールだの、異次元の阿保だのと言われるに決まってる。おまけにヘンノコの署名への回答をドランプがどうするか、支持率回復の人気取りのためにこっちに無茶を言い出すのではないかと気が気ではないんだ!」
ビールがそそがれたグラスを力いっぱい握りしめるガース長官。缶ビールならすでに潰れて悲惨なことになるのは間違いない。
「そこでだ、今年の新年会はだな、学習会もかねとる。な、なんとしてももう少し知識と知恵をつけてもらわねば、国益を損ねるどころか、ニホン国の存亡が。アメリカ側でが”マリオネットすら務まらない阿保よりAIに換えようか”という案まで、総理をAIにされたら、我々は我々はどうなるんだ!」
AIのほうが二ホン国民のためにはなるかもしれないが、側近としてはマイテイフールのほうがうまい汁は吸い放題である。
「しかし秋のアレ(“捏造の王国 その5 ジコウ党秋のニホン文化学習会”参照)は、さんざんな結果に終わりましたが」
「うん、勉強というのがいかんのだ。楽しく学びながら、遊べるように双六にビンゴゲームを用意した。正解すれば、上に進める双六に、正答三つで素敵な景品があたるビンゴだ、これで…」
とガース長官が言い終わらぬうちに双六チームで騒ぎがおこっていた。
「ま、まさか」
新年早々嫌な予感しかないガース長官であった。
「きい、サンジュウロク協定って“働かせ方改革でなくなったんじゃないの!」
と叫んでいるのはニシガワブンコ議員。
(ヘンノコしかないとかテレビで叫んで芸能人をたたいた、あのバカ女か。自分の無知を棚にあげて的外れな攻撃をするから正しい知識を身につけさせたかったのだが)
嘆息するガース長官。協定の通称も、新法案の中身も間違えている。働かせ~だけでなく、他の法律もうろ覚えや思い込みが多いらしく、まだ一コマ目から動いていない。その横で意気揚々と駒をすすめるのはソンソン氏。通信事業からコミュニケーションロボットまで手掛けるハードバンキングの社長にして読書家のせいか、物知りでゴールも目の前である。
「ああ、なんでソンソンさん、ニホンの法律知ってるのよ!」
「知らなければニホンの企業の社長なんてできないでしょう」
ヒステリックなニシガワに淡々と答えるソンソン氏。全くの正論なのだが、周りをみると
「えー、雇用保険ってアルバイトも加入できるんだー」
「え、残業時間とか時給って社員と勝手に決められるもんじゃないの?」
と耳を疑う台詞、しかもそれは労働関係法案の委員会の面々から漏れ聞こえる。
(種子法廃止のことをよくわからなくて賛成しましたなどといった中堅議員がいたらしいが、こ、こいつらも)
不勉強でも党議拘束で~とわけもわからず法案に賛成する議員のなんと多いことか、しかしソンソンさんは知っています、いかにニホンの法律が労働者に厳しく、経営者に極甘、抜け道だらけであることを。
「はい、あがりです」
とにこやかに勝つソンソン氏に、四苦八苦して駒を進める議員たち。なかには
「はは、こんな遊びできなくても」
「そうそう、どうせ秘書がわかっとる」
と、放棄するものもでている。
(あああ、遊びながら学ぶ方法も駄目か、これではビンゴのほうも)
正月より暗雲がたちこめるジコウ党新年会であった。
「やった、これで三つ!また勝ちだ」
と喜ぶのは招待客のポリエモン。ここでも異色の財界人が一人勝ち、ジコウ党議員は振るわないどころか、全滅に近い。若手で少しはいい線をいくも、三つ正解が難になっている。
「消費税、難しすぎですよ。新聞をコンビニで買ったのと定期購読が違うなんて、聞いてないわよ!だいたい何で、オロロナインとレポビタンDDで税率が違うのよ、どっちも栄養ドリンクじゃないの!(筆者註:前者は清涼飲料水で8%、後者は医薬部外品で10%)」
とのたまうガタヤマ議員、知らないのに偉そうなのは年が明けようと変わらないようである。
(サヨクのレッドフラッグにも掲載されているのに、なんで質問される与党議員がわかってないんだー)
と、泣きたくなるガース長官。
「この小売店の規模わからないわ、還元率って難しいのよね」
(それは施行する側がいってはおしまいだー)
「ほんとにレジとか打てないわよ。これどっちなの8%か、10%か」
(あんたが打てなくてもいいが、いや、バイトも打てるのに議員ができなくていいのかー)
外国人バイトよりニホンの法律がわからない議員など価値がないどころか、マイナス、存在しないほうがいいといわれかねない。
「こ、この新年会の様子がもし、もし、知られたら」
と、ガース長官が周りを見渡すと、こっそりスマートフォンを取り出し含み笑いする女性が。
「あ、アレは誰だー」
いきなり聞かれたニシニシムラは、慌ててつつもスマートに答える。
「おそらく財界関係者の連れかコンパニオンかと」
「い、いますぐスマートフォンを取り上げ、いやこの会場はスマートフォン禁止だったはず」
とガース長官が怒鳴るが、議員たちもこっそりスマートフォンをみている。
どうやら双六やビンゴの正解をスマートフォンで調べようとしたらしいが、いかんせん見ているサイトがネトキョクウのまとめサイト、そんなものがのっているはずはない。なかには共産ニッポンの電話相談を利用しているものもいた。
「まだ消費税施行前ですが、いま、どうしてもお知りになりたいんですか?」
「あの、そのジコウ党新年会で~」
「わああああ、やめろー!」
ガース長官は我も忘れて、その議員に突進してタックルした。スマホを奪い取って、よくよく顔をみてみると、その議員はアベノ総理の実弟ギジダ議員であった。
「ぎゃああああ、ギ、ギジダさん」
「なにをするんだ、ガースさん、せっかく聞いてたのに!」
「な、なんで共産ニッポンの電話相談に聞くんです!」
「だって一番知ってるし!」
(それじゃジコウ党議員が何も知らないってバレバレじゃないか、なんでそんなこともわからんのだ、コイツはー)
あまりの情けなさに涙目になるガース長官。
「と、とにかく、スマホで聞くのはだめです、ズルです」
「え、総理もやってるのに」
みるとアベノ総理はスマートフォンを取り出して、共産ニッポンの党首シイノの電話番号を押そうとしていた。
「そ、総理おやめください!」
ギジダをはなし総理に向かって叫ぶガース長官。
「えー、なんでだよ、シイノさんに年頭のあいさつを兼ねて電話しようと思ったのに」
と、しらばっくれるアベノ総理。
(答えを聞こうとしたのだろう、まったく。しかし、なんとかとめさせなければ)
「そ、そうだ、総理。焼き肉を頼んでいただけませんか」
「え、お正月だからお節料理じゃないとだめって言ってなかったけ」
「あ、あまり評判がよろしくないので。皆さんお家でたくさんお召し上がりになったようですので。毛、毛ガニとか寿司も」
大好物を頼んでいいといわれ、目を輝かせるアベノ総理。
「ほんとに、いいの、じゃあ頼むよ」
なじみのすし屋や焼き肉屋などに電話をかけまくる総理。正月明けの大口注文に気をよくしたのか、料理はすぐに届けられた。
「みなさん、総理からお料理が届きました!」
一向に勝てそうにないビンゴや双六に飽き飽きした議員たちは寿司や焼き肉に飛びつく
「わー、美味しい、新年会はやっぱりこうでなくっちゃね」
と、上機嫌のガタヤマ議員たち。
その横で憂鬱な顔のガース長官。
「遊びながらも学べないなんて。いくら国民が騙されやすいとはいえ、もう、もう限界かもしれん、ひょっとして今年ついに、ジコウ党政府はだめになるのか。いや、まだ大丈夫だ、国民も胃袋さえ満たしてやれば」
食い物と娯楽さえ与えれば庶民は満足というのは、古代ローマ帝国の教え。だがその食べ物を与えるというのも徐々に困難になっているのだ。レトルト食品や箱菓子の内容量が激減したのに、値上がり。そのほかの物品もジワリジワリと値上がりし、迫る消費増税に憤る市民。忘年会なしで新年会だけ、いや新年会さえ、やらない会社、組織も増えているのだ。焼き肉も毛ガニもロクに食べられなくなった国民が、こういったおバカ放漫新年会をどうみているか、アベノ総理に染まり考えがすっかり狭くなったガース長官にはわからなかった。衣食住が次第に貧しくなるのを実感する庶民の考えなど及びもつかず、総理の隣で半ばやけくそで焼き肉をほおばっていた。
楽しく学ぶのも大変です。