写真の中の君
指先に伝わる
写真立ての冷たさ
体の芯に伝わって来ては
凍ってしまいそうだ……
それでも
写真立てのガラスに
指先は触れ続ける
私の体温を吸ったのか
曇る窓ガラスを
何度も
何度も
愛おしく撫でる
ガラス越しに映る
景色に君を探して
君を想うように
また曇ったガラスを拭く
冷たさは止むことなく
ただずっと私を凍らせてゆく
寒さでどうにかなってしまいそうだ……
吐き出せる言葉は
白い溜息だけ……
交わることのない
ガラス越しに映る君の笑顔が
僕の心臓をぎゅーっと握る
そしてまた
僕は白い溜息を必死に漏らす……
死なないために
生きるために……