初等科の入学決定
わたし、澪川真緒の5歳の誕生日、11月28日のことでした。
資産家の娘の誕生日ということもあり、自宅の屋敷で盛大な誕生日パーティーが開かれた後、自室に戻り就寝の支度をしていたところで急に意識を失いました。
気がついたのは3日後。熱でぶっ倒れていたところをお手伝いさんが発見したそうで。
その日から、ド庶民と令嬢が入り混じった澪川真緒が生まれましたとさ。
最近の私は、勉強に明け暮れている。
5歳だよ、5歳!転生前の私なんて、遊び呆けてたのに!
小学校から大学までエスカレート式の、お金持ちが通う学校の入学試験のために、ありとあらゆることを詰め込まれている最中です。
勉強なんて前世の記憶があるから何もしなくても大丈夫でしょ、へっへーん、というわけではなかった。なめてました。
お金持ちには庶民と違って覚えなければならないことが沢山あるようで。取り敢えず面倒くさかったのは、同級生や年が近い年代の同じお金持ちの家のご子息・ご令嬢のお名前を覚えたり顔を覚えたり、他のお家についての一般的な情報の把握だったり。
まあ、算数とか、そういう勉強は特にやることはない。
そりゃそうか。
こうして頑張ったわたしは、1月中旬にあった入学試験に突破しました!いぇい!
来年から小学1年生です!
…………………………………、はい。
そうして今日は、お父様と、お母様と、お兄様方と、お祝いのお買い物兼ディナーに来ております。
「真緒、入学おめでとう」
遼月お兄様がにこやかに、流唯お兄様がわたしの頭を撫でながらお祝いの言葉を口にした。
2人は双子で、わたしが通うことになった伊瀬月学園の初等科四年生です。小4にしては、めちゃくちゃ大人びてて、イケメンで、成績優秀な頼れるお兄様方です‼︎
「はい!ありがとうごさいます!わたしもお兄様のように頑張りますね!」
「真緒ちゃんは制服は着てみたのかしら?」
「はい、お母様。先日着ましたよ。流石伊瀬月の制服ですね、すごく可愛かったったです」
でもね、それ以上に、値段がバカみたいに高かったけれどね。フッ。
さらさらなストレートの黒髪を持つ、3人も子供を産んだようには見えない美人のお母様には言えないけれど、心の中では思いっきり突っ込んだ。
「真緒のお祝いだから、真緒の好きなデザートが美味しいって有名なお店でディナーだから、楽しみにしていなさい」
日本有数のお金持ちの家の主人らしくバンバンお金を稼いでそうな人には見えないほど、家族に優しいお父様。もちろんイケメン。
こんな美男美女から生まれたお兄様方はそりゃあ誰もが褒め称えるイケメンになるわな。漏れ無く真緒も大人になれば必ず美人さんになる顔立ちの可愛い女の子です。
覚醒してのぞいた鏡をみて、整った顔を呪ったもん。世の中不公平だね!って。
だって、幼いとはいえ、隠すべき汚点が何1つない完璧な顔立ちに、真っ白い肌に、ってずるくない!?
その日は、フレンチのディナー(値段は分からなかったけど、絶対高い。絶対。)に、満足したけれど震え上がって、わたしの入学祝いは終わった。