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本気  作者: らん
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出逢い

私は恋愛が好き。


お互いが自然と求めあい、「好き」や「愛してる」などを自然と投げ合う。

世界はまるで自分と相手しかいなくなる、自分の好きな人は自分しか見なくなる。

その優越感が好きだった。

他の子と仲良くすれば束縛や嫉妬をされる。

私は幼いころ両親が離婚し母に引き取られそれから間もなく新しい父が来た。

その父には私より2つ下の弟がいた、そう弟ができたのだ。

でも嬉しくはなかった、時間が経っていくうちに母の愛は私へではなく弟へ与えられていたから。

もちろん父からしたら私は実の子供でも血の繋がっている親戚でもない、ただの他人。

愛情なんてない。

だから私にとって嫉妬や束縛は苦痛ではない、だってそれだけ私を求めているから。

むしろ嫉妬や束縛をさせるために他の子と仲良くしているのを相手に見せつける。

そうすればもっと私という存在を求めてくれる。

家族の愛情も女同士の友情も嫌いな私には恋愛しかなかった。


いつからだろう、こんなに恋愛に依存するようになったのは。

確か、中学2年生の頃に私の一つ下の女の子に告白されたのがきっかけだったと思う。

最初は驚いた。

だって私は女なのに同じ女から告白されるなんて。

でも嫌ではなかった。

私を求めてくれることに違いはないのだから。

それからしばらくその子と付き合ったけど別れた。

理由は、単純にその子に飽きたから。

最初は激しく求め合ってもあとは同じことの繰り返し、つまらなかった。

けれど次に付き合った子はまた別の愛し方をしてくれる。

それで飽きたら別れ、また別の子と付き合い、また飽きて別れての繰り返し。

気づいたら女の子と付き合うのが当たり前になっていた。

何回か男と付き合ったことはあったけれど気持ち悪かった、笑顔や怒った顔を見るたびに弟が

頭のなかに出てくるから。


そう、こんな私も今日で高校生だ。

自分のクラスを確認し周りの女の子を見渡す、ここは女子高校だ。

色々な子がいる、もう連絡先を聞いてる子もいれば新しいクラスに馴染めるか不安な顔をしている子も

いる。

私は楽しみで仕方なかった。

次はどんな子が私を楽しませてくれるか。


「またあんたと同じクラスやな。」

不意に後ろから声がした。

この声は知っている。

「みどり?」

「よっ!実咲、高校になっても同じクラス。よろ。」

この子は保野原みどり(ほのはら みどり)中学生の頃からの親友。

みどりも女同士で群れるのが嫌いなタイプで気が合った。

ここは東京だと言うのに慣れたように関西弁を使う面白い子、そして絶対私には落ちない子。

だから仲良くなった。

みどりとはずっと同じクラス、だから『また』同じクラス。

「はよしないと始業式始まるな。行こ。」

みどりは私の裾を引っ張り歩く。

「この学校意外と綺麗ね。」

「せやね、一応女子高やからやない?知らんけど。」

「適当すぎでしょ。」

「良いやん。」


~♪


「あ、電話。」

「あんたマナーモードにしときや。」

「ごめんごめん。これ終わらせてから行くから先行ってて。」

「はいはい、遅れないようにしときや。」

そう言いみどりは手を振りポケットに手を入れながら歩いて行った。

女なんだから少しは女らしくできないのかと言いたくなる。

まぁ飾らないとこが彼女の魅力なんだけど。

私は右ポケットから出した携帯画面を見て誰からの電話か確認してから出た。

「もしもし?


あーうん、ごめん行かない。それじゃ。」


電話相手は中学の頃の同級生、色んな子紹介してくれるから仲良くしてたけど今日は断った。

なぜなら今日仲良くなった子と遊びたいから。


「てか始業式始まっちゃう!」

私は急いで廊下を走った。


ードン!


曲がり角を曲がった瞬間誰かとぶつかった。

あまりに私が勢いよくぶつかったせいで私も相手もしりもちをつく。


「ごめんなさい!だいじょ、う...ぶ?」


慌てて立ってその子へ手を伸ばすけれど私は固まった。

驚いたのだ、その子は白衣を着ていてサラッとした黒髪ストレートロングで目が丸くてスタイルが良くてあまりの可愛さに言葉が消えかかった。


「あ、はい!申し訳ありません!」


その子は私の手を取らず自分で立ち上がると顔を真っ赤にして走り去って行った。


「え、ちょっとまっ、、て。」


引き止めようとしたけどその子の姿はもうなくて、私は自分とぶつかったときに驚いた顔をしていた

あの今まで見たことないような可愛い顔をしていた彼女の顔が頭に焼き付いてその場に立ち尽くした。


それが私の本当の物語の始まりだった。




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