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まおー転生  作者: 秋月瑛
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第2話_エクストリーム部活!(1)

「それでは生徒会執行部の会議をはじめる」

 舞桜の第一声ではじまろうとした会議に、いきなり夏希からツッコミが入った。

「本当にココが生徒会室なんだよねえ?(だって……)」

「何か問題でもあるのか? リラックスできるように中流階級の茶の間を再現してもたのだが」

 いやぁ〜畳に好い香りがするなぁ。

 ほら、テレビなんかも置いてあって――ブラウン管の(笑)。

 お茶菓子のお煎餅が美味しそう。

「しかも掘りごたつね」

 という菊乃の補足。

 どの辺りが中流家庭なのだろうか?

 いくら地デジの認知度が100パー近いのに、対応機器の普及率は3割程度だったりするにも関わらず、家電業界はなぜか未だに高いテレビを売りつけようとしていて、貧乏人はテレビを見るなということなのかという勝手な被害妄想を抱きつつも、茶の間というか、リビングくらいにはブラウン管じゃなくて地デジ対応のテレビくらいあ……ないかもぉ。

 実にその点は中流家庭の現状を再現していると言ってもいいだろう、うん!

 しかし!!

 コタツなんて今時あまり家庭にないだろう。

 それを言ってしまうとコタツ信者たちのバッシングに遭うわけだが。

 でもみんなよく聴け、K県在住のPN『ししゃもにゃんをししゃもにゃん『さん』って呼ばないで』さんのご家庭では、冬場になると三台ものコタツが現役で可動しているのだ!

 というわけで、ここは百歩譲って中流家庭にコタツはあるとしても、掘りごたつなんてあるわけないだろぉ〜。

 だがしかし!

 PNししゃもにゃん(以下略)さんの家には掘りごたつがあるのだ!!

 まあ、そんな感じの生徒会室。今は冬ではないので掘りごたつの掛け布団はありません。掘りごたつって移動できなから邪魔ですね!(でも、普通のテーブルとして使えるんだよ)

 今さら部屋のことを言っても仕方がなさそうなので、その辺りの問題はさらりと流された。

 再び舞桜が会議を進めようとする。

「では自己紹介からはじめよう。私の名は天道舞桜。古の魔王の生まれ変わりだ。座右の銘は『我が輩の辞書に不可能の文字はない』だ」

 誰もあそこにツッコミを入れないのは仕様だ。

 次に舞桜は夏希に目配せをした。

「あ、あたしの番? ええっと、岸夏希って言います。一生懸命頑張りますから、よろしくお願いします」

 夏希は菊乃と雪弥に視線を送った。先に口を開いたのは雪弥だった。

「僕の名前は鷹山雪弥。みんなと仕事ができて楽しく思ってるよ。魅神とは同じ中学だったんだ、三年連続で同じクラスで……な、魅神?」

「…………」

 狐面は視線を伏せるように下に向けられた。

 いっこうにしゃべろうとしない菊乃に変わって雪弥が話し出す。

「彼女の名前は魅神菊乃。実は僕の――」

 ドン!

 急に菊乃がテーブルに両手を叩きつけた。

 明らかに怒りが見えた。

 鷹山は口をつぐんで、しばらく間を置いてから横に視線を向けた。

「次はゴリラさんの番だよね?」

 茶の間にゴリラ。バナナを美味しそうに食べていた。

 夢中でババナを頬張るゴリラに変わって舞桜が説明する。

「彼女はゴリ子さんだ。歳は定かではないのだが、群れの中では一番の美人だっ――」

「ちょっと待てーッ!」

 部屋のふすまを開けて飛び込んできた謎の人影。

 あっ、ゴリラに初キッスを奪われ、童貞まで喪失しそうになったハルキ君だ(棒読み)。

「ゴリラなんかに生徒会できるわけないだろ、オレ様が正式な生徒会役員だろばーか!」

 ハルキに集まっていた視線が一気に伏せられた。

 舞桜が一つ咳払いをした。

「コホン、さて、それでは今日の議題を発表する」

「てめぇらムシすんなよ!」

 喚くハルキを完全無視。

 舞桜は話を進める。

「学園に必要不可欠なモノがこの学園にはまだない。そう、部活だ!」

「おい、ムシすんなって言ってんだろ、ばーかばーかばーか!」

「有名校には優秀な部活がある。本校も部活動に力を入れ、世界征服の礎にしたいと思っている」

「ばーかばーか、世界征服なんて子供っぽいこと言ってんじゃねーよ。男のロマンは正義のヒーローだろ!」

「まずは生徒諸君に新設したい部活のアンケートを取ろうと思う、意義がある者は?」

「ハイハイハイ、ハ〜イ! オレ様の意義を聞けぇ〜ッ!」

「では、ないようなので細かい仕事は事務に任せよう」

「いい加減にしろよ舞桜!」

 ついにプッツンしたハルキが舞桜に飛びかかろうとしたのだが――眉間に切っ先。刀を握っているのはもちろん舞桜。しかもハルキと目線を合わせない徹底したシカト。

 凍り付くハルキ。

「…………(落ち着けオレ様、動かなければ死なない。ゆっくりゆっくり後ろに下がれば……)」

 ツーッと眉間から一筋の血が垂れた。

 顔面蒼白になったハルキは焦って飛び退いた。

「いでーっ、てめぇ殺す気かっ、覚えてろよばーかばーかばか!」

 赤い液体をぴゅーっとしながら、心の汗を流すハルキは部屋を逃げ出していった。

 ハルキが出て行ったあと、雪弥が仕方なさそうに、

「出て行っちゃったね、ハルキ」

「うむ、ゴリ子さんにフラれたくらいで情けない」

 事務的に舞桜が答えた。

 そう言えばあんなにもハルキにご執心だったゴリ子さん、今はバナナが恋人らしい。

 バナナのほうが立派そうだもんね!(何が?)

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