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BOSSと五人の社員達

作者: 黒木夜月

「ミュウジ。ボスから新たな仕事が来たわ」

「ん?今度は何の仕事だミスト?」

「それは皆が来てからね。ほらマイタケ!メルトも!」

「はいはい」

「おいエチゴロウを忘れるなよ。ボスに怒られるぞ」

「エチゴロウなんて可愛くない名前じゃない。えったんよ!」

『ワン!』

「エチゴロウ……お前も不憫だな」

「不憫じゃない。えったんって呼んだらちゃんと返事するから。ね、えったん?」

『ワン!』

「へえ。そうなのかえったん?」

『……』

「返事しないじゃないか!」

「それはマイタケが嫌われてるのよ。エロ臭が臭いって言ってるのよ」

「そこまで言うことないだろ!」

「まあ、その辺で。まずはボスからの話を聞こう」

「くう……メルトめ。この既婚者の余裕が俺にもあれば……」

「マイタケうるさい。ミュウジ再生して」

「わかった」

『……諸君。元気に頑張っているようだな。次の仕事を言おう。巫月カナという女性の護衛だ。期間は一カ月と長期だがその分護衛に危険が迫ってると考えてくれ。では頼んだぞ』

「イエッサー!」

「……相変わらずいい声してるよなボス。結婚してんのかな」

「女って勝手に決め付けてるけど男の可能性もあるからね」

「そうなんだよな。まあ行くとしますか!」

「ゴム弾は用意できている。防弾チョッキとスタンロッドと防刃手袋にスタングレネード三発に煙幕弾二つ。それからボスから実弾が各人二つ分のマガジンとナパームが一つ容易されている」

「さすがメルト!準備いいわね!」

「……ナパームってボスが秘密裏に作った拳銃から放てる焼夷弾だったっけ?」

「ああ。範囲は一万平方メートルと極狭いが」

「ミュウジまじかよ。うちはどこと戦争する気なんだよ」

「ほら、護衛に関して詮索しない!えったんも行くわよ!」

『ワン!』

「まあ、守るだけだ」

「そうだな。行くか」


「うへえでけえ」

「確かにでかいわね」

「これは……人数不足なんじゃないか?」

「うむ……」

「確かに。庭と屋敷だけで東京ドームくらいありそうだな」

「ええ。そのくらいの大きさです。ただ周りの森も私有地で私の物ですけど」

「あなたは?」

「え?あ……の……その。貴方達取引所に依頼した巫月カナですわ」

「ちょっとマイタケ!なんでいきなり膝まづいて手をとってキスしてんのよ!離れなさい!」

「ぐあっ!ミスト蹴るなあ!」

「……少々うるさいですがこれだけ元気な護衛です。荒事は任せてください」

「はい。私ボスさんとは知り合いですので貴方達に来て頂いて安心してます。ええと……」

「メルトです。この隣のがミュウジ。向こうで若い男を追いまわしてるのがミスト。追いかけられてるセクハラ男がマイタケ。二人が遊んでいると思って追いかけている犬がエチゴ……じゃなかった。えったんです」

『ワン!』

「よろしく頼む」

「はい。こちらこそ皆さんよろしくお願いします」

「しかし広い屋敷だ」

「ええ。皆さんには周辺の警護をお願いしたいのです。お屋敷の中には信用できる使用人がいますけど。あ、こちら使用人の鍵中さんとコンさんです」

「おや、お若いのに側仕えなんて優秀なんですね」

「ありがとうございますメルト様。私が鍵中です」

「私がコンよ」

「鍵中さんにコンさんですね。よろしくお願いします」

「ミュウジだ。おい、二人とも。挨拶しないか」

「ああ、すまん!俺がマイタケだ!」

「私がミストよ!こっちがえったん!」

『ワンワン!』

「ふふ。よろしくお願いしますマイタケ様、ミスト様、えったん様」

「よろしくお願いします」

「おお……見事な礼。そして美脚」

「変なとこ見るな!」

「ほら、二人とも落ち着いて」

「仕事の話を詰めに行くぞ」

「はあい」

「おう」


「もう夜か」

「もう一度確認しておくよ。俺達の仕事は屋敷周辺の森での探索及び迎撃。ここ毎日襲撃を受けているらしいから今晩も来るだろう。なので敵が来たらこの服のところにあるボタンを押すと大きな警報音がなるようになっているからこれを押すように」

「敵の情報はあるの?」

「なんでも全身黒ずくめの奴ららしい。見た目は忍者っぽく嗅覚を潰す気なのか臭いがきつくて来たら直ぐに分かるとのことだ」

『ウ?グルルルル!』

「ナイスだえったん。……早速来たみたいだぜ!」

「全員散開!」

「ちっ。確かに臭いわね!」

「……遅れるな。続け!」

『グオオ!ゴフッ!グ、ガアアア!』

「こいつら……ゴム弾で止まらない!」

「く……日本刀?いや、脇差か。向こうはこちらを殺す気だ!そのつもりでかかって!」

「了解!」

『ガアアア!アギャッ!』

『グギィ!』

『ギャウッ!』

「く……どんどん増えてきやがった。木の隙間から黒い奴がうじゃうじゃと……ゴキブリか!」

「このままじゃ押し切られるわ!」

「……実弾を許可する!スタングレネードからの実弾だ!サングラス着用!やれ、マイタケ!」

「あらよっと!」

『ギイアアアア!ウ、オオオオ!』

「効いたか?いや……余り効果は無い!撃てええ!」

「おらああああ!」

「こいつら……血が出て無い!」

「でも肉体には弾は届いてるぞ!ちゃんと効いてる!」

「まさか……死体?」

「おいおい!どこのホラーだよそりゃあ!」

「いや、既に倒れた奴を見ろ。夜でも分かる紫色の肌と肉だ」

「くそ、ゾンビが相手とかなんなんだよ!テロか?テロなのか!」

「喚くな!人間じゃないならナパームの使用を許可する!各員後退!伏せろ!」

「ミュウジ!」

「おお!」

『ガ……!』

『グオ……!』

「おうおう!派手に燃えてやがる!」

「こいつら……炎が弱点なのか?途端に動きが悪くなるどころか直ぐに倒れたぞ」

「しかし森の中でナパームはやり過ぎたな。木が燃えてやがる。山火事になるぞ」

「それは大丈夫です。コン」

「はい、鍵中さん!」

「消火用ホース……随分準備がいいんだな。まるでこうなることが分かってたみたいじゃないか」

「マイタケ様……」

「話は消火した後だよ。今すぐ消そう」

「わかった」


「私は名字は巫月といいますが……遠い先祖にかつてこの国を悪しきモノから守った守り巫女がいたのです。私はその末裔になります」

「守り巫女?」

「はい。分かりやすく言えばオカルト的な存在から国を守っていたのです。そして今、私はそのオカルト的な存在である悪しきモノに狙われています」

「……信じがたい話ね」

「だから私達を戦わせたのでしょう」

「そうしなければ我々は信じることは無かっただろうな」

「ああ。ただの臭いだけの変態だと思っただろうぜ」

「はい。信じて頂いてありがとうございます。そこで貴方達にお願いしたい本当の仕事なのですが……」

『ワン!』

「あら、えったん。今までどこに行ってたの?」

『ワンワン!』

「ちょっと静かにな。今大事な話をしてる最中……」

「そこからは私がお話しよう」

「この声は……!」

「まさか……ボスなのですか?」

「ええ。エチゴロウにここまで連れて来てもらった」

「美しい……」

「いや、かっこいいわよ」

「どっちだ?どっちなんだ?」

「……こほん。諸君に私直々に命令を出しに来た。心して聞いて欲しい」

「イエッサー!」

「うむ。彼女を狙っているあのゾンビ忍者は誰かに操られている。そこまで君達は想像がついていると思う。その黒幕を倒し、彼女を危険から救うのが我々の新しい任務だ!」

「その黒幕の名は……?」

「悪しき魔法使いヨシ・ソラ。魔剣ミストルティンと己の秘術を使い、巫月さんを殺して日本を、そして世界の破滅を企む悪の親玉だ!」

「……ヨシ・ソラ」

「魔剣ミストルティン……か」

「奴の居場所は突きとめている。これまでに無い激しい戦いになるだろう。そこで更に諸君らの武装を追加するため持ってきた。ここで補給し、一晩休んで昼間の内に移動し、夜に決戦を挑む。いいか?」

「イエッサー!」

「うむ。これがその装備だ」

「実弾のマガジン三つに手榴弾が四つ。それと先ほど使用したナパームの補充にプロテクターにシールド、それと真剣か」

「ゾンビに噛まれたり引っかかれても別にそれだけでゾンビになったりはしません。秘術で操られているだけですから。ただ死体なので変なばい菌が入って病気になることはあるかもしれませんが……」

「なるほど。シールドはともかくプロテクターはあった方がいいですね」

「元が人間なので剣などの切断武器は有効です。筋肉の繊維が切れればゾンビも動けませんから。痛みを感じないので打撃には強いですね」

「あいつらゴム弾は平気そうだったもんな。でもなんで実弾は効くんだ?」

「その実弾は特別性なんだ。先端が清められた聖水で洗われた銀で作られている。奴らには有効なのさ」

「なるほどね」

「では……そろそろ休むか」

「はい。今晩はもう来ないでしょう。来ても使用人が討ち払います。鍵中さん、コンさん、皆さんをお部屋に案内して」

「はい。お嬢様」

「かしこまりました。皆さんこちらへ」




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