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おやすみ
神様は大きな欠伸をし、なんとも嫌な夢だった、と頭を抱えた。周りを見渡すと、そこはいつもの世界だった。そして、声を出さずに口だけを動かして呟いた。長い夢のせいで声を出せない生活に慣れてしまっていたし、出したところで誰も聞いてはくれないからだ。
ごめん。
神様は再び周りを見渡したあと、二度寝をすることにした。
周りには誰もいなかった。どこにいたって、神様は孤独なのだ。次は何十年くらい寝ることになるだろうな、と考えながら、再び布団にもぐった。ゆっくりとまぶたを閉じる。
『おやすみ』自らが創り出した少女が、かつて夢の中で書いた文字を思い出す。どこからか友人の子守唄も聴こえる気がする。
彼も、フード男も、妹も、今から会いに行くから、待っててよ。
今度こそ、今度こそさ、みんなで笑おう。
じゃあ、おやすみ。
お読みいただき、本当にありがとうございました。