空色のバス
空色のバスが目の前に止まったら、なんにも持たずにそれに乗ろう。
切符もお金もいらない水色のバスは、どこからともなく走ってくる。
そして目の前に止まったかと思ったら、シューっという音を立てて扉を開けるのだ。
夏の日の炎天下、一際目立つ鮮やかなバスがコンクリート道路を走っていた。
夕陽が沈む頃に川辺を歩いていると、川を繋ぐ高速道路と歩道がある橋の上に黒い人だかりが見えた。
皆黒や灰色のロングコートや帽子で身体を覆い、どこか旅の列車を待っているような雰囲気で、僕は気になって近づいてみる。
二列縦隊で10列ほどの行列は、皆顔が見えず影のように佇んでいる。
一番後ろに並んでいる、大きな鞄を持った紳士に声をかけた。
「なにをしているんですか?」
「バスを待っているんだよ」
「バス・・・?」
「あの夕陽が沈む直前が、バスの停車時刻なんだ」
そう言って、遠くに見える黒いシルエットの上に浮かぶオレンジを指差した。
溢れんばかりの夕陽が空や雲、街、水面、僕達を、惜しみなく照らしている。
こんなに綺麗な夕陽を見たことが無かった。
「おじさんはどこに行くんですか?」
「遠い場所さ。あの夕陽を目指す人もいれば、月の花が咲く場所にも行ける。
世界の果てに行くのさ」
解説しますと(いらないかもですが)、
黒い人だかりは葬列です。
つまりまぁ、みんな死人で、バスが魂をあの世へ運ぶ役割ということです。
この少年は自分が死んだことに気づかないまま、この後バスに乗って自分の行くべきところへ行くわけですね。(たぶん)




