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空色のバス

作者: 夏目真七
掲載日:2010/08/02

空色のバスが目の前に止まったら、なんにも持たずにそれに乗ろう。

切符もお金もいらない水色のバスは、どこからともなく走ってくる。

そして目の前に止まったかと思ったら、シューっという音を立てて扉を開けるのだ。


夏の日の炎天下、一際目立つ鮮やかなバスがコンクリート道路を走っていた。









夕陽が沈む頃に川辺を歩いていると、川を繋ぐ高速道路と歩道がある橋の上に黒い人だかりが見えた。

皆黒や灰色のロングコートや帽子で身体を覆い、どこか旅の列車を待っているような雰囲気で、僕は気になって近づいてみる。

二列縦隊で10列ほどの行列は、皆顔が見えず影のように佇んでいる。

一番後ろに並んでいる、大きな鞄を持った紳士に声をかけた。

「なにをしているんですか?」

「バスを待っているんだよ」

「バス・・・?」

「あの夕陽が沈む直前が、バスの停車時刻なんだ」

そう言って、遠くに見える黒いシルエットの上に浮かぶオレンジを指差した。

溢れんばかりの夕陽が空や雲、街、水面、僕達を、惜しみなく照らしている。

こんなに綺麗な夕陽を見たことが無かった。

「おじさんはどこに行くんですか?」

「遠い場所さ。あの夕陽を目指す人もいれば、月の花が咲く場所にも行ける。



世界の果てに行くのさ」







解説しますと(いらないかもですが)、

黒い人だかりは葬列です。

つまりまぁ、みんな死人で、バスが魂をあの世へ運ぶ役割ということです。

この少年は自分が死んだことに気づかないまま、この後バスに乗って自分の行くべきところへ行くわけですね。(たぶん)

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