幕間 「夜はまだ長い」
幕間ふたたび
ルイスはソファの端で本を読んでいる。
ノアはその隣で、妙に姿勢が良い。
――平和。
そう思った瞬間だった。
コンコン。
ノック。
ノアの背筋が跳ねた。
「……?」
扉が開く。
そこに立っていたのは……
凛だった。
後ろにカイル。
そして、アメリカ爆弾キッズ三名。
完璧な布陣。
ノアは笑顔を作った。
「や、やあ凛。どうしたの?」
凛はにこやかに微笑んだ。
とても優しく。
とても穏やかに。
「ノア?」
その呼び方がもう怖い。
「どこに行ってたの?^^」
「え?」
ノアは瞬きをした。
「どこの…っていうか…ほら」
視線が泳ぐ。
「ルイスが静かなところにいたいって言うから?」
凛の笑顔が変わらない。
「へぇ」
一拍。
「静かなところに?」
「うん」
「夜のガーデンパーティの最中に?」
「……うん?」
カイルが後ろで小さく手を振った。
「Hi☆」
ノアは見なかったことにした。
凛はゆっくり部屋に入る。
そして。
視線を落とした。
「ねぇ、ルイス?」
ルイスがびくっと肩を震わせた。
「……はい」
凛は優しい声で尋ねる。
「ルイス、“どこに行ってたの?”」
ルイスの目が泳ぐ。
助けを求めて父を見る。
父は助けにならない顔をしている。
「……えっと」
ルイスは小さく言った。
「父上と…お散歩…」
「お散歩」
凛が復唱した。
ゆっくり。
確認するように。
「夜の社交場で?」
「……」
ルイスは小さく縮こまった。
アメリカ爆弾キッズの長男が口を挟む。
「ルイスさー、あそこいたじゃん!」
ノアが凍った。
「お菓子のとこ!」
「ウサギのとこ!」
「イケオジのとこ!」
情報が雑すぎる。
凛がゆっくりノアを見る。
「……ノア?」
ノアは反射で土下座した。
「大変申し訳ございませんでした!!!!」
床が鳴った。
ルイスが小さく呟く。
「父上、早い」
「慣れてるからね(^_-)-☆」
カイルが感心した。
「Amazing…」
凛の拳が鳴った。
「感心するな」
「Yes…」
爆弾キッズがきょとんとする。
「ママ、なんで怒ってんの?」
「怒ってないわ^^」
怒っている。
氷点下で。
凛はゆっくり息を吐いた。
「ノア」
一拍。
「家族会議で何て言われた?」
ノアは床に額をつけたまま答える。
「動くな…」
「話すな」
「息だけしてろ…」
「ルイスを連れ回すな…」
「全部守った?」
ノアは沈黙した。
沈黙は答えだった。
凛は微笑んだ。
「うん。じゃあ明日」
一拍。
「説明しようか」
ノアが震えた。
「兄さんには…?」
凛の笑顔が深くなる。
「もちろん」
一拍。
「全部ね^^」
「やめて!!!!」
夜はまだ長い。
そして。
ノアの寿命は短い。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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