幕間 「パパに相談」
元々エレノアさんはレオンさんみたいなのがタイプなのかもしれんな
同じ頃。
別の場所で、
別の火山が動いていた。
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ロッテはノックもそこそこに扉を開けた。
「パパ」
レオンが顔を上げる。
娘の声は真剣だった。
「話があるの」
「どうした」
ロッテは一歩踏み込む。
その瞳は決意に満ちていた。
「ママが」
一拍。
「ウサギのふりをした性悪男に騙されてるわ」
レオンは紅茶を吹きかけそうになった。
危ない。
ギリギリで飲み込む。
「……ウサギ?」
「そうよ」
ロッテは真顔だ。
「怯えた顔をして」
「害のないふりをして」
「ママに近づいて」
「しかも」
一拍。
「不義の息子まで押し付けようとしてるのよ」
そんな事実はない。
しかし、ロッテの中では確定していた。
レオンは静かにカップを置いた。
そして思う。
(さっきのメールの件か)
数時間前。
エレノアから届いた短い文面。
『娘が失礼をしました。
余計な誤解をしないよう、少し気にかけてください』
エレノアが男を庇う。
そんなことは滅多にない。
仕事なら分かる。
でも。
あの文面には。
ほんの少しだけ。
”私情”が混じっていた。
レオンはそれを見逃さない。
(珍しいな)
あのエレノアが。
誰かを、
あんなふうに。
ロッテは続ける。
「ママは興味を持ってるだけよ」
「今までにいなかったタイプだから」
レオンは内心で頷いた。
それは確かに危険だ。
エレノアは踏み込まない。
踏み込まない女が“興味”を持つ。
それは、”火種”になる。
「で?」
レオンは穏やかに尋ねた。
「そのウサギは誰だ」
ロッテは即答した。
「佐伯悠馬」
名前を口にした瞬間。
レオンの中で何かが引っかかった。
今日の商談。
控えめで、
礼儀正しく、
妙に怯えていた男。
しかし。
エレノアの隣に立つときだけ、
空気が少し違った。
(……なるほど)
図らずも。
エレノアの一言が、
レオンに悠馬への興味を持たせた。
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ロッテは拳を握る。
「パパ、止めて」
「ママを目覚めさせて」
レオンは静かに笑った。
「分かった」
一拍。
「少し見てみよう」
ロッテは安心した。
父は味方だ。
最強の味方だ。
ウサギなど敵ではない。
……たぶん。
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火山は、また一つ増えた。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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