幕間 「 理解の距離」
ちょっと気になるけど、すごく気になるけど、な悠馬君ですね。
取引先の責任者と会う。
エレノアさんと一緒に。
それだけのはずだった。
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初めて会ったその男性は、
背が高く、がっしりとした体格で、
僕より年上に見えた。
けれど威圧感はない。
声は落ち着いていて、
視線もまっすぐで、
きちんとした人だ。
そういう印象だった。
仕事の話をするのに、
余計な力がいらないタイプ。
……羨ましいくらいに。
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そして。
エレノアさんは、その人物と笑みを浮かべて話していた。
柔らかく。
自然に。
僕と話すときとは少し違う。
距離が違う。
言葉の端が違う。
お互いに、
「理解をしている」
そんな空気がある。
離れているようで、
近い。
近すぎないのに、
遠くもない。
大人の距離だ。
僕は、その様子を見ながら、
なぜか胸の奥が少しだけざわついた。
理由が分からない。
分からないまま、
考えてしまう。
エレノアさんの過去。
どんな相手と出会い、
恋をして、
結婚をしたのか。
彼女が笑う相手は、
どんな人だったのか。
『……目の前のこの男性も、
その一人なのだろうか。』
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そう思った自分に、
少し驚いた。
今まで周りにいた人たちに、
そんな感情を持ったことがなかった。
必要もなかった。
知りたいと思ったこともなかった。
仕事ができればそれで十分だった。
距離が保てればそれで良かった。
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なのに。
初めて、
誰かについて知りたいと感じている。
それが意外で、
少し怖い。
そして。
『気づかないふりをしたくなる』
エレノアさんがふとこちらを見て、
いつも通りに言った。
「佐伯さん、大丈夫ですか?」
僕は反射で頷く。
「……はい。仕事ですから」
彼女は微笑んだ。
それだけで、
胸のざわつきが少しだけ強くなる。
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僕はまだ知らない。
この感情の名前を。
知ってしまったら、
もう戻れない気がして。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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