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その21 「観測」

観察される悠馬君

ハミルトン邸の午後は、穏やかだった。


名目上は。

凛の帰国。

子供たちの顔見せ。

久しぶりの家族の集まり。


……そういうことになっている。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


悠馬は隣に座っていた。


エレノアも隣にいた。


距離は適切。

姿勢は完璧。

表情は淡い。


仕事の顔だ。


彼女は最初から最後まで、崩さない。


ーーーーーーーーーーーーー


「佐伯さん、こちらを」


「……ありがとうございます」


湯気の立つ紅茶。

差し出される菓子。

整えられていく空間。


悠馬はそれを受け取りながら、どこか落ち着かない。


視線が一瞬、彼女を追う。


追ってしまう。

すぐ逸らす。


わかりやすすぎる。


ーーーーーーーーーーーーーーー


ジェシカは微笑んでいた。


凛は腕を組んでいた。


拓海は面白そうに眺めていた。


菜摘は胃薬の位置を確認していた。


ノアはにこにこしていた。


ルイスは菓子を食べていた。


全員が、同じものを見ている。


「観測」だ。


ーーーーーーーーーーーーーー


「……佐伯さん」


エレノアがふと顔を上げる。


「お疲れですね」


「……いつもです」


「でしょうね」


淡々。


優しいようで、踏み込まない。


距離は一定。

完璧な仕事。


悠馬は少しだけ笑った。


ほんの一瞬。


「素の笑顔。」


その瞬間。


ノアが目を見開いた。


凛が小さく息を吐いた。


ジェシカが目を細めた。


拓海が肩を震わせた。


菜摘が胃薬を握り直した。


エドワードは紅茶を飲んだ。


口元が上がった。


観測結果。


佐伯悠馬は、憎からず思っている。


『間違いない。』


ーーーーーーーーーーーーーーー


だがしかし。


エレノアは変わらない。


微笑む。

整える。

距離を保つ。

その目に火はない。


少なくとも、まだ。


ーーーーーーーーーーーーーー


帰りの車。


悠馬はどこか言葉が少なかった。


エレノアは変わらず手帳を閉じた。


「本日は、お疲れさまでした」


「……はい」


「また明日」


それだけ。


それ以上はない。


扉が閉まる。


距離が戻る。


仕事の人に戻る。


ーーーーーーーーーーーーーーー


夜。


ハミルトン邸。


悠馬が帰った後。


会議が再開された。


当然だ。

終わるわけがない。


「……手応えがない」


拓海が言った。


「兄さんは手応え出してたけどな」


ノアが真剣に頷く。


「兄さんは完全に好きです」


「鈍いだけ」


凛が刺す。


「問題はエレノア嬢よ」


ジェシカが穏やかに言う。

エドワードが紅茶を置いた。


一拍。


「作戦を練り直す」


最終フェーズは続く。


『本人の胃を置き去りにして』



ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


感想・フォロー等とても励みになります!

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