表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
佐伯悠馬の結婚事情(仮)  作者: 雪森蓮


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

146/193

幕間 「同じ冬/ドイツ行きの準備」

気が付いたら145話目なのに手も握ってないどころか恋愛以前・・・

同じ頃。


ロンドンの空は相変わらず鉛色だった。


クリスマスが近いというのに、

街はどこか静かで、


光だけが飾りのように浮いている。


ーーーーーーーーーーーーーー


エレノアは淡々と荷物をまとめていた。


合理的な手順。

必要なものだけ。

余計なものは持たない。


感情も。


——本当は。


スーツケースの中に入るのは、

服と書類と、

数日分の生活。


そして整理のための距離。


スマホが震えた。


『ママ』


ロッテからだった。

短い。

直球。


思春期の刃のない言葉。


『今どこまで準備した?』


『ちゃんと来る?』


エレノアは一拍置いて返信した。


『行くわよ』


すぐに返事が来る。


『嬉しい!』


それだけ。

飾りがない。


だから刺さる。


続けて。

写真。

ドイツの冬。


窓辺に置かれた小さなツリー。

手書きのメモ。


『部屋、空けてある』


『近い距離で報告できるの、久しぶり』



近距離報告。

娘の言葉は素直だった。


素直すぎて困る。


エレノアはスマホを伏せた。


(……娘は待っている)


(当然だ)


(私は母親だ)


合理的だ。

なのに。

数メートル先のオフィスが脳裏に浮かぶ。


平然と書類を読んでいる男。

読んでいるふりをしている男。


顔が若干硬い。

遅い。


致命的に遅い。


(距離を置けば整理できると思った)


合理的な判断だった。

余計な噂もある。

余計な爆弾もいる。

余計な感情も……ある。


『あるのが困る』


スマホがもう一度震えた。


『パパもいるよ』


当然のように添えられる父親。

当然のように続く家族。


エレノアは小さく息を吐いた。


(……確認しよう)


自分の感情も。

娘の未来も。


仕事の先も。


そして。


”あの男の存在”も。


スーツケースのファスナーを閉める音がした。


冬の音だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


クリスマス休暇は近い。


救いを掴む子供がいる。

距離を掴む女がいる。


そして。


胃を押さえる男がいる。


冬は静かに進んでいた。



ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


感想・フォロー等とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ