表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
佐伯悠馬の結婚事情(仮)  作者: 雪森蓮


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

134/167

その81 「10月/静けさ/また今日も」

40代半ばの超純情男?は世間的にどうなんでしょうか。

10月。


ロンドンの夜は早く冷える。


窓の外は静かで、

夏の喧騒が嘘みたいだった。


ドイツの出張は終わった。


噂も、一応は落ち着いた。

爆弾も、一応は封じられた。


仕事はいつも通り回り、

本社のフロアも平常運転に戻った。


合理。

秩序。

静けさ。


……静けさ。




悠馬はそれが苦手だった。


忙しい時は考えなくて済む。

胃が痛いのはいつも通りだ。


世界は勝手に進む。

自分も勝手に動く。


それでよかった。


なのに。


静かになると。

遅れてくる。


(……なぜ今さら)


悠馬はベッドの中で目を開けた。


時計は深夜。

枕元には胃薬。


いつも通り。

完全にいつも通り。


そして。

スマホ。


(……また今日もやっている)


悠馬は思った。


昨日も。

一昨日も。

多分、その前も。


”夏が終わってからずっと”


眠れない理由が、

胃だけではなくなってから。


悠馬は静かにスマホを取った。


検索窓を開く。

手が止まる。


止まるが動く。

結局動く。


(あるいは友人がいれば聞けたのかもしれない)


でも。


悠馬には友人がほとんどいない。

同僚はいる。

部下はいる。


爆弾もいる。


でも、親しい友人はいない。


だから。

検索するしかない。

また今日も。


悠馬は慎重に打った。


『恋とは』


検索。


画面に答えが溢れる。


「特別に思う感情」


「一緒にいたい気持ち」


「落ち着かない状態」


悠馬は眉を寄せる。


(落ち着かない)


それは胃だ。

いつもだ。


恋ではない。


次。


『部下 上司 気になる』


検索。


「職場恋愛」


「好意」


「距離感に注意」


悠馬は即座に画面を消した。


(違う)


(業務上の観察だ)


(合理だ)


昨日も同じことを言った。


さらに。


『心拍数 上がる 原因』


検索。


「ストレス」


「緊張」


「睡眠不足」


悠馬は静かに頷いた。


(ストレスだ)


(爆弾のせいだ)


(胃のせいだ)


(合理的に説明がつく)


昨日も同じ結論だった。


ーーーーーーーーーーーー


安心する。


……はずだった。


なのに。

閉じても残る。


名前が。

困った顔が。


「承知しました」


承知していない顔が。


ーーーーーーーーーーーーー


悠馬は布団をかぶり直した。

四十代が。

布団をかぶり直した。


(……なぜ今さら)


(恋ではない)


(恋ではないはずだ)


(そもそも恋とは何だ)


胃が痛い。

心も少し痛い。

検索結果にはまだ載っていなかった。


そして多分。

明日も載っていない。






ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


感想・フォロー等とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ