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佐伯悠馬の結婚事情(仮)  作者: 雪森蓮


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120/206

幕間 「帰国/伯爵邸(妻の処理)」

蘭はノアとルイスを回収して一足先に戻っています

ロンドン。


ハミルトン伯爵邸。


空気は静かだった。

静かすぎて怖い。


ーーーーーーーーーーーーーーー


玄関が開く。


ノアが入ってくる。


爽やかな笑顔。

無傷の顔。

爆弾の顔。


その後ろに。


蘭がいる。


無表情。

地獄。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「ただいま!」


返事はない。


代わりに。

蘭が扉を静かに閉めた。

逃げ道が消える音だった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


ルイスが小さく手を振る。


「母上…」


「ルイスは天使」


即答。

即免罪。

視線がノアに移る。


「ノアは爆弾」


即死刑。


ノアが笑顔を崩さない。


「いや爆弾じゃ」


「黙って」


声が低い。

温度がない。


ノアが止まる。


慣れている。


蘭が淡々と告げる。


「座りなさい」


「はい」


伯爵が即座に従う。


伯爵とは。


ノアが恐る恐る言う。


「兄さんは無事!?」


そこか。

そこなのか。


蘭は静かに微笑む。


「兄さんは無事よ」


一拍。


「噂も無事」


「えっ」


「無事に完成してたわ」


「えっ!?」


ノアが震える。


「ど、どんな」


 蘭が淡々と読み上げた。


「ハミルトン伯爵夫妻は偽装結婚で」


「やめて」


「悠馬の隠し子を」


「やめろ」


「悠馬を愛してるがゆえに」


「やめろって!!」


「ノアが引き取って溺愛している」


「殺して!!!!!!」


ノアが叫んだ。

遅い。


世界は早い。

噂は最速。


蘭が地獄の声で言った。


「ノア」


「はい」


「あなた」


一拍。


「しばらく外出禁止ね」


「えっ」


「ルイスを職場に連れて行かない」


「えっ」


「余計なことを言わない」


「えっ」


「勝手にバカンスに参加しない」


「えっ」


ノアが小さく呟く。


「……兄さんを幸せにする計画が」


蘭の拳が落ちた。


「計画は終了」


「ぐえっ」


ルイスが小さく言う。


「父上…」


「父上じゃない」


蘭が即答した。


「爆弾よ」


こうして。


爆弾は強制送還された。


噂は育った。


悠馬はまだ気づかない。


そして妻だけが疲れていた。



ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


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