幕間 「帰国/伯爵邸(妻の処理)」
蘭はノアとルイスを回収して一足先に戻っています
ロンドン。
ハミルトン伯爵邸。
空気は静かだった。
静かすぎて怖い。
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玄関が開く。
ノアが入ってくる。
爽やかな笑顔。
無傷の顔。
爆弾の顔。
その後ろに。
蘭がいる。
無表情。
地獄。
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「ただいま!」
返事はない。
代わりに。
蘭が扉を静かに閉めた。
逃げ道が消える音だった。
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ルイスが小さく手を振る。
「母上…」
「ルイスは天使」
即答。
即免罪。
視線がノアに移る。
「ノアは爆弾」
即死刑。
ノアが笑顔を崩さない。
「いや爆弾じゃ」
「黙って」
声が低い。
温度がない。
ノアが止まる。
慣れている。
蘭が淡々と告げる。
「座りなさい」
「はい」
伯爵が即座に従う。
伯爵とは。
ノアが恐る恐る言う。
「兄さんは無事!?」
そこか。
そこなのか。
蘭は静かに微笑む。
「兄さんは無事よ」
一拍。
「噂も無事」
「えっ」
「無事に完成してたわ」
「えっ!?」
ノアが震える。
「ど、どんな」
蘭が淡々と読み上げた。
「ハミルトン伯爵夫妻は偽装結婚で」
「やめて」
「悠馬の隠し子を」
「やめろ」
「悠馬を愛してるがゆえに」
「やめろって!!」
「ノアが引き取って溺愛している」
「殺して!!!!!!」
ノアが叫んだ。
遅い。
世界は早い。
噂は最速。
蘭が地獄の声で言った。
「ノア」
「はい」
「あなた」
一拍。
「しばらく外出禁止ね」
「えっ」
「ルイスを職場に連れて行かない」
「えっ」
「余計なことを言わない」
「えっ」
「勝手にバカンスに参加しない」
「えっ」
ノアが小さく呟く。
「……兄さんを幸せにする計画が」
蘭の拳が落ちた。
「計画は終了」
「ぐえっ」
ルイスが小さく言う。
「父上…」
「父上じゃない」
蘭が即答した。
「爆弾よ」
こうして。
爆弾は強制送還された。
噂は育った。
悠馬はまだ気づかない。
そして妻だけが疲れていた。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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