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佐伯悠馬の結婚事情(仮)  作者: 雪森蓮


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その69 「10日目/夕食の客」

少しづつ感情がバカになっている悠馬君が人間らしくなっているように見えて行けばいいんだけどどうなんだろう

十日目。


帰国前日。


ドイツの空は相変わらず澄んでい

悠馬の胃は相変わらず濁っていた。


夕方。


ホテルのロビーに悠馬が現れた。


顔色はまだ青い。

だがスーツは完璧だ。


仕事は終わっているのに仕事の顔をしている。


癖である。


ーーーーーーーーーーーーーーー


(……なぜ僕はここにいる)


答えは簡単だ。

招待状だ。

私邸だ。

元旦那だ。


隣に立つのは凛だった。

腕を組んでいる。


護衛というより監視だ。


「行くわよ」


「……はい」


悠馬は従順だった。

爆弾がいないと従順になる。


車が用意されていた。


ヴァイスハルト家の紋章。

地元の頂点。

逃げ場がない。


ーーーーーーーーーーーーーーー


悠馬は車内で一度だけ思った。


(エレノアに言うべきだったのでは)


だが遅い。


世界は早い。

悠馬は遅い。


ーーーーーーーーーーーーーー


ヴァイスハルト邸。


門が開く。


ホテルとは違う空気があった。

ここは“家”だ。

迎える側の世界だ。


ーーーーーーーーーーーーーー


執事が頭を下げる。


「佐伯様、お待ちしておりました」


「……どうも」


悠馬の胃が痛んだ。


案内された先。


広い食堂。

整いすぎたテーブル。

静かすぎる空間。


胃が痛い。


そこに立っていたのはレオンだった。


余裕のある顔。

地元の王。


ーーーーーーーーーーー


「佐伯氏」


穏やかに微笑む。


「お越しいただき光栄です」


「……こちらこそ」


悠馬は定型文しか出ない。


レオンの視線が動く。

悠馬の隣。


凛。


一拍。

レオンの眉がわずかに上がった。


意外。

ほんの少しだけ。


「……失礼」


レオンが言った。


「てっきりエレノアがご一緒かと」


来ると思っていた。

当然のように。


悠馬の喉が詰まった。


「……いえ」


それ以上言えない。


部下だ。

上司だ。


業務ではない。


胃が痛い。


凛が代わりに言った。


「護衛です」


護衛。

拳の護衛。


レオンが小さく笑った。


「なるほど」


一拍。


「ではロッテを同席させなくて正解でした」


「……正解」


悠馬には意味が分からない。

正解ではない。


レオンは席を勧めた。


「どうぞ」


「……はい」


悠馬は座る。

凛も座る。


夕食会が始まる。


レオンがワインを示した。


「今日は控えめにしましょう」


昨日の件を知っている。

絶対に知っている。


悠馬は青い顔で頷いた。


「……助かります」


こうして。

元夫は招いた。


上司は黙った。

部下は知らない。

拳が同席した。


世界は早い。

悠馬は遅い。


そしてレオンの興味だけが、

少し深くなっていた。





ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


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