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佐伯悠馬の結婚事情(仮)  作者: 雪森蓮


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幕間 「回収(再び)」

回収回再び

ホテルの廊下は静かだった。


静かすぎて怖い。

爆弾がいないだけで、こんなにも平和なのか。


凛は無言で歩いていた。


その隣で。

ノアが引きずられている。


「凛、ちょっと待って」


「待たない」


「僕は兄さんのために」


「息だけしていなさい」


「はい!」


返事をするな。


部屋に入る。

扉が閉まる。


そこで初めて凛は振り向いた。


笑顔。

笑顔が一番怖い。


「ノア」


「はい」


「あなたは伯爵です」


「はい」


「三十七歳です」


「はい」


「なぜ五歳になるの」


「兄さんの前だと!」


「黙りなさい」


「はい!」


返事をするな(二回目)。


凛は椅子に座る。

疲れているようで疲れていない。

爆弾処理班は強い。


「子供たちは外にいる」


「ルイスは?」


「静かに本を読んでいる」


「さすが僕の息子!」


凛の目が冷える。


「あなたの息子だから静かなわけではない」


「はい!」


返事をするな(三回目)。


凛は淡々と告げた。


「明日から監視を強化する」


「監視?」


「あなたの」


「僕の自由時間は?」


「ない」


「はい!」


返事をするな(四回目)。


凛は一拍置いて言った。


「兄を殺す気?」


「殺してない!」


「胃が死ぬ」


「兄さんは強い!」


「胃は弱い」


正論だった。


ノアはしゅんとした。


「兄さん、幸せになってほしいだけなのに」


凛の声が少しだけ柔らかくなる。


「なら黙りなさい」


「はい……」


やっと静かになった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


爆弾は回収された。

解除はされていない。


ドイツの夜は静かだ。

静かすぎて、次が怖い。





ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


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