雨の随に【二十句】
雨雫水面に潜る柔き音
やわらかき水草をゆらし春の雨
下水となりし春雨の音は清し
夜桜が海月の如く光る雨
たんぽぽのつぼみを叩く天気雨
雨あがる花霞の街風の音
鈍色の晴れの間に間に花の雨
風の音に花霞の街雨あがる
野辺にあるつぼみがぜんぶ霞む雨
朧月夜は明日から夏の雨あがり
夕焼けがポップカラーな初夏の雨
五月雨が雨垂れの音消してゆく
踏んでなほ撓ふ病葉雨に濡れ
長雨ふる曇り硝子の鈍い空
雫する木漏れ日が散る夏落葉
神鳴りの家鳴りとなりて降る雨は
雨のカフェ曇りゆく窓ソーダ水
昼顔の花花花に夏の雨
夏の雨 熱る肌を滑りゆく
潮騒で夏に溺れる昼寝をす