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【薺SIDE】
先ほどにも増して、魔虫達の攻撃がより一層激しくなった気がする。
だけど、ブルーローズ達が来てくれたお陰で、僕はそこまで後方を気にする必要はなくなった。
しかも、先ほど金狐の門からヘイズスターバースト達がやって来たので、更なる援軍となった。
因みに、その門は金狐がいないと開けることが出来ない。
その為、ヘイズスターバースト達は正門まで戻ったので時間がかかったのだ。
でも、無事に天狐を社の外へ避難させる事が出来たそうだ。
封印の強化は、桜と水神の長兄と稲成空狐九姉妹に加え、白狐と黒狐が加わった事で更に強化された。
ブルーローズと妖狐達が負傷したあやかし達の治療を行い、合流したあやかしの軍勢を再編成。
約百七十万の軍勢と妖狐達の指揮は、ヘイズスターバーストと雛菊が行う事となった。
しかも、ヘイズスターバーストの軍勢も加わったので、軍勢は一気に二百七十万となった。
そして、強みとして僕達には桜が張った結界がある。
結界越しからの攻撃なので、余程の事がない限り、弱いあやかしであろうと、負傷する事はないだろう。
ただ気になるのが、横揺れが多かった地震が突き上げる地震に変化した事だ。
僕は封印の近辺で水蒸気爆発が激しくなった事、それが原因だと考えていた。
だが、桜とブルーローズによると原因はそれだけではないようだ。
現在、ブルーローズがその原因を調査してくれている。
なので結果が出るまで、魔虫達を倒しつつ姫達を待つことになる。
ただ、イベリスの能力が有れば姫達は安全なのだけど、なぜか胸騒ぎがする。
それに姫達が居る場所まで、そこまで距離は離れていないはずだ。
だけど、未だに来る様子がない。
結界の外は水蒸気で視界が悪く、遠くまでは見ることが出来ない。
やはり、迎えに行った方が良いかもしれない。
「桜、少し姫が来る方向を見てくるけど良いかな?」
「えーよぉ。せやけど、けったいな気配するよって。薺さん、気ーつけてなぁ」
「桜、ありがとう」
そう言って桜の結界を出る前に、肩に座っていた小桜を撫でた。
すると、小桜が可愛らしく笑いポケットに入ってくれた。
小桜がポケットに入ったことを確認し、結界の外へ出ようとすると、幾つもの光りの柱が降り注ぐのが見えた。
次の瞬間、異常とも思える轟音が轟いた。
そして、爆風と衝撃が桜の結界に打ち付け、一瞬水蒸気が晴れるのが見えた。
すると、そこに魔虫の大軍を巻き込む巨大な金色の竜巻が見えた。
しかし、多発する水蒸気爆発により視界は一瞬で水蒸気に覆われた。
「まさか……」
そう思い姫のHPとMPを確認すると、インカルナタと融合した時の倍以上になっていた。
「風雷神……」
姫が、インカルナタと姫立金花の二人と融合したのか。
だけど、僕達と合流する前なんて、どう考えてもおかしい。
つまり、怪力乱神融合しなければならない程の、何かが有ったということ。
……胸騒ぎが、当たってしまった。
状況を確認するために連絡しても良いが、確認するより僕が向かった方がいい。
そう思って足に力を入れた瞬間、突き上げる地震が起きた。
「くっ!」
今までよりも、大きい。
何だ、この地震は?
「ふぇー!」
悲鳴がする方を見ると、小桜が宙を舞っていた。
ジャンプして優しくキャッチすると、結界で覆っていた周りの地面が崩れるのが見えた。
今までの水蒸気爆発と、明らかに規模が違う。
まるで、巨大な何かが開けたような……。
手の中が震えていたので、両手を開けて確認すると、小桜が尻尾を抱いていた。
「小桜、大丈夫?」
怪我が無いか確認すると、小桜が僕の親指を持って笑顔を向けてきた。
「薺さん、おおきにぃ」
無事が確認出来たので、小桜にはポケットの奥へ入ってもらった。
状況を確認するため、大きくジャンプして周りを見ると、崩れた地面の奥に特徴的な眼が見えた。
魔虫にしては、あまりにも巨大過ぎる。
まさか、バアルゼ・クイーン?
眼の大きさから考えると、恐らく桜が覆う結界の大きさに匹敵する。
桜の結界は、耐えられるのか?
だけど、姫の事が心配だ。
「桜、バアルゼ・クイーンかもしれない物が地面の奥にいる!」
見た事を説明すると、ポケットの奥から小桜が顔を出した。
「うちらも、確認できたどすぅ。せやけど、こっちはうちらに任せときぃ。それより薺さんは、撫子さんことよろしゅうおたのもうしますぅ。あっちも、けったいな気配感じるよって」
そう言って、小桜が姫達が居る方向を指さした。
まさか、姫の所にもバアルゼ・クイーンが?
だけど、姫が怪力乱神融合を使用した事を考えると否定できない。
「分かった」
小桜をとおして行く事を伝えると、僕は木刀と脇差しを握りしめた。
姫の所まで、一気に走り抜ける。
そう思っていると、小桜がポケットにしがみ付いた。
「薺さん、準備えーよぉ」
「じゃー、行くよ!」
迅雷瞬歩を使用すると、僕は一気に加速した。
魔虫が、邪魔だ。
技と秘技を使用し、魔虫が蠢く中を切り裂き突き進む。
時には魔虫の間を擦り抜け、魔石を破壊すると共に魔虫の残骸を蹴って先へ進み、多発する水蒸気爆発は加速に使用する。
秘技を使いすぎて、MPが無くなれば元も子もないからね。
周りの状況を利用し、秘技と技を使い分け進んで行くと、姫が放つ雷が見えた。
「よし、もう少しだ」
足に力を入れようとした次の瞬間、柔らかい物が僕の背中に抱きついて来た。
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