表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/126

29

 しかし次の瞬間、黒焦げになった魔幼虫と魔虫(マチュウ)が、バアルゼ・プリンセスを守るように覆い被さりだした。



「嘘? でしょ……」



 雷光の一撃で全身が焼き尽くされ、紫色の核が瞬時に押し潰される程の風ですよ。

 なぜ、動けるの? 

 それにいくらバアルゼ・プリンセスでも、この攻撃に耐えられるはずがありません。

 そう考えていると、周りの歪みと雷光が消え去った。

 そして、炭と灰だけが残っていた。



「倒せた……の?」



 灰となった魔虫(マチュウ)達を見て、私は胸を撫で下ろした。

 だけど、今の奇っ怪な行動は何だったの? 

 しかもオーバーロードの次代を担うかもしれないバアルゼ・プリンスが、バアルゼ・プリンセスを守ろうとした。

 ですが、魔虫(マチュウ)の生態を知る術が無い以上、その行動の意味は分かりません。


 そう思っていると、水蒸気爆発が起きた。

 砲弾となる魔幼虫を躱すため、後方に(ヒルガエ)ると魔幼虫と共に炭の粒と灰が舞った。

 風を操り灰を纏めようとすると、炭の粒が全て一匹の魔幼虫に吸収されたのが見えた。

 何か、嫌な予感がする。

 ですが風雷神の裁きは、両手に風と雷を溜めなくては放てない。



「【風神の刃!】」



 私は、直ぐに放てる風神の刃を左手で放った。

 すると、その魔幼虫が真っ二つになった。

 しかし紫色の核が、中心に無いことに気がついた。

 その瞬間、真っ二つになっていた魔幼虫が二体となった。


 核を切れなかったとしても、あまりにも再生が早すぎる。

 ですが、攻撃は今のだけではありません。

 私が放った風神の刃と共に、天八岐(アメノヤマタ)がそこにいます。



『「天八岐(アメノヤマタ)!」』



 天八岐(アメノヤマタ)と繋がった私の『心』で叫ぶと、その姿を双刃刀(ソウジントウ)に変えた。



『「心得た!」』



 そして『心』に返事を返してくると、凄まじい勢いで回転し、二体となった魔幼虫を風神の刃で切り刻んだ。

 ここまで切り刻めば、核も切り刻めたはず。

 そう思った次の瞬間、切り刻んだものが一塊となり一瞬で魔幼虫へと再生した。


 しかも、地面に落ちず空中に浮いている。

 羽も無いのに、なぜ? 

 不思議に思っていると、戻って来た天八岐(アメノヤマタ)が『「手応えが無い。まるで、空を切っている様で有った」』と言った。


 すると、魔幼虫が一瞬でバアルゼ・プリンセスへと姿を変え、周りにバアルゼ・プリンスが出現していった。

 そしてバアルゼ・プリンセスの守護に一部を残し、残りのバアルゼ・プリンスが襲いかかって来た。


 私は直ぐに、神眼鑑定(シンガンカンテイ)LV10を使用しつつ攻撃を躱す。

 すると、一瞬ノイズが走った様に感じられた。

 ですが、先ほど神眼鑑定(シンガンカンテイ)を行ったのと同じ結果が出た。



「もしかして……」



 同じ結果が出たことで、私は一つの可能性を考えた。

 確かめる為には、攻撃するしかありません。

 そう考えていると、後方からも別のバアルゼ・プリンスが襲いかかって来た。

 すると天八岐(アメノヤマタ)が、八帖(ヤジョウ)(タテ)へと姿を変えその攻撃を全て防いだ。



「主よ、何か分かったのか?」

「ごめんなさい。今は、確信がもてません」

「そうか……」

「ですが、確信するために攻撃を繰り返しても良いですか?」

「我らは、主を守り支えるもの。好きにするが良い」

「ありがとう、天八岐(アメノヤマタ)



 お礼を伝えていると、全方向から無数のバアルゼ・プリンスが襲いかかって来た。

 今は貴方達の相手をしている暇はないのですが、ここは魔虫の群れの中。

 先ずは、周りに居る邪魔なバアルゼ・プリンスを倒さなくては、バアルゼ・プリンセスに攻撃が届きません。

 ですが、もう少し雷の力を溜めたい。

 そう思っていると、天八岐(アメノヤマタ)が刀へとその姿を変えた。



「主よ、我を使って攻撃し隙を窺うのだ」

「はい」



 私は全神経を研ぎ澄まして、下着の能力を発動した。

 そして、バアルゼ・プリンセスを注意深く窺いつつ、襲いかかって来る無数のバアルゼ・プリンスを懐剣と天八岐(アメノヤマタ)で切り倒す。

 下着の能力を、常に継続した状態での攻撃は私の精神負荷が大きい。


 ですが、並列思考を使用すればそれも可能です。

 ただ、怪力(カイリョク)乱神(ランシン)融合(ユウゴウ)の残り時間を考えると、三分数十秒でバアルゼ・プリンセスを見極めなければなりません。

 それにもしも何かあった時の為、イベリスとの怪力(カイリョク)乱神(ランシン)融合(ユウゴウ)を温存したいですしね。



「雷神の数珠、展開!」



 右手を掲げると、九本の尻尾に嵌まっていた琥珀色の数珠が、空に舞い上がり252個の玉に別れて展開された。

 今は九本の尻尾に嵌まっていますが、雷神の数珠は元々、雷神の能力を向上し様々なサポートをしてくれる姫立金花(ヒメリュウキンカ)の耳に付けるアクセサリーでした。


 今は九本の尻尾にそれぞれ嵌まっている事で、数が凄いものとなっている。

 これだけの数が有れば、直線的な雷の攻撃に、様々な変化を起こすことが出来ます。

 因みに、インカルナタが付けていた翡翠色のリボンは、翡翠色のストールとなって首から両脇を通して私を浮かせています。


 この風神のストールも、風神の能力を向上し様々なサポートをしてくれるのです。

 私は展開した雷神の数珠に、移動するよう命令した。

 すると、雷神の数珠が命令に従いバアルゼ・プリンセスと守護していたバアルゼ・プリンスを覆った。


 一先ず、布石を打てた。

 これは守護していたバアルゼ・プリンスと、周りのバアルゼ・プリンスを区別するため。

 案の定、攻撃に来ていたバアルゼ・プリンスが戻って警戒しだした。

 その間も、周りのバアルゼ・プリンスの攻撃が激しくなってきた。



「成る程。主よ、我らは理解した」

「えっ?」



 天八岐(アメノヤマタ)がそう言ってくると、四束(ヨタバ)(ケン)四帖(ヨジョウ)(タテ)にその姿を変え、私の攻撃と防御のサポートをしだした。

 これは、本当に有り難いです。

 これで、私は他にも強い意識を向けられる。


 天八岐(アメノヤマタ)に「ありがとう」と伝えると、この能力の事を語り出した。

 この能力は元々、水神達の能力では無かったそうです。

 八頭龍となる遙か昔、神々の戦いに巻き込まれた。

 その時、異世界の女神から賜った能力なのだそうです。


 その女神は数多の武器を所持し、その武器を様々な形へと変化させ、眷属達と共に闇の魔神と戦っていた。

 そして、闇の魔神から闇を討ち滅ぼした時「ある戦いに、必要となる」そう言って、女神はその武器を新たに作り出し能力として変換させた。

 そして、水神達に授けたそうです。


 今は八つの形に加え、もう一つの形に変わることが可能となったが、私との繋がりと信頼が強くなれば、新たな形へと変わることが出来るそうです。

 その女神様に名を尋ねると、少し困った顔をしましたが、鈴蘭と仰ったそうです。

 鈴が付いていた事で、恐れ多いと存じますが、私はお兄ちゃんの事を思い出した。


 あんちゃん、待っていてね。

 撫子、頑張るけん。

 私は心にそう誓い、右手にしていた天八岐(アメノヤマタ)を手から離した。

 そして左手の懐剣でバアルゼ・プリンスを倒しつつ、天八岐(アメノヤマタ)にサポートしてもらい、右手を胸の前に持って来た。



姫立金花(ヒメリュウキンカ)、貴女の強力な雷を放つわ。だから、私に力を貸してね」



 そう言って言葉にすると、融合(ユウゴウ)した姫立金花(ヒメリュウキンカ)から『「勿論だぞ!」』と伝わって来た。

 私は溜めていた雷を右手に集め、雷神の玉に放った。

 すると、雷神の玉に溜めていた雷が行き渡り、増幅され轟音が轟き光りを帯びだした。



「【雷神の雷嵐(ライラン)!】」



 そして手を閉じた瞬間、強烈な轟音と共にバアルゼ・プリンセス達が目映い光に包まれた。

 私はその光景を、雷神の眼を使用してしっかりと見つめた。

 見えた! 


 バアルゼ・プリンセスが極小の魔虫となり大きな雷を躱し、小さな雷は極小となったバアルゼ・プリンスがその身に受けてバアルゼ・プリンセスを守っていた。

 しかも、水蒸気爆発と共に砲弾となって下から飛んでくる魔幼虫に、極小のバアルゼ・プリンセスが進入する様に入り込もうとしているのが見えた。



「させません!」



 私は、下にも雷神の数珠を持って来て阻んだ。

 駄目! 

 小さすぎて、雷嵐(ライラン)の隙間を躱された。

 もう、雷嵐(ライラン)が消えてしまう。


 ですが、まだ四束(ヨタバ)(ケン)の攻撃がある。

 お願い、天八岐(アメノヤマタ)

 天八岐(アメノヤマタ)が放つ雷が、それぞれ四束(ヨタバ)(ケン)に行き渡り、数百匹の魔幼虫を雷で攻撃し灰にした。

 しかし、別の場所から飛んできた魔幼虫に侵入された。



「そんな……」



 雷を慌てて放とうとしましたが、バアルゼ・プリンセスとバアルゼ・プリンスが復活した。

 それらの事から、殆どの極小となったバアルゼ・プリンセスを倒す事が出来たとしても、たった一体を倒し損ねると復活してしまうようです。


 ですが、神眼鑑定(シンガンカンテイ)LV10の情報と違っている事は分からなかった。

 もし何らかの方法で偽りを見せられているとしても、直接触れて神眼鑑定(シンガンカンテイ)を行えば見えるかもしれない。


 それに近づけば、もっと早く攻撃を放つ事が出来る。

 怪力(カイリョク)乱神(ランシン)融合(ユウゴウ)の残り時間は一分数十秒、迷っている暇はありません。

 私はバアルゼ・プリンセスに、もっと近づくことにした。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

一日置きの更新とさせて頂きます。

不定期な時間になるかも知れませんが、何卒ご容赦下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ