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薺君達がいる場所へ向かうため、私はイベリス達を抱き寄せ空中を疾走していた。
神通力を使用して飛ばないのは、MPの消費を出来る限り抑えるためです。
それに意識を集中させて下着の能力を発動すれば、かなり早く移動できますからね。
ここまで移動するのに慎重になるのは、魔虫の群れが私達と同じ方向を目指し飛んでいるからです。
周りを見る度に、魔幼虫が魔虫に成り代わり、その数を増やしていた。
私の周りに居る群れの数は、大凡で一万前後。
この様子だと薺君達がいる場所は、恐らく魔虫で溢れかえっているはず。
上下左右を飛び交う魔虫の群れを見ていると、姫立金花が胸の谷間から顔を出した。
「コッコッコ」
そして嬉しそうに鳴くと左肩に乗り、落ちないよう尻尾をメイド服に絡ませた。
すると今度は、イベリスが胸元まで移動し頬を寄せて来た。
イベリスの体温と、フワフワな毛がとても心地よい。
勿論、姫立金花も暖かくて心地良い毛触りですよ。
ですが猫好きの私としては、イベリスは至高の毛触りなのです。
因みにインカルナタは、HPとMPを元の状態まで回復させる為、右胸の内側に有る隠しポケットで眠っています。
イベリスの尻尾をさり気なく触っていると、姫立金花が小さな手を私の頬に当てた。
「撫子様、いつもありがとな」
そしてお礼を言ってきたので、イベリスの尻尾を触るのを止め姫立金花を撫でた。
すると、頬ずりしてきた。
「どうしたの?」
尋ねると、姫立金花がイベリスの方を向いた。
イベリスの尻尾を触っていたの、見られていたのかな?
そう思って姫立金花を見ると、イベリスが肉球で私に触れてきた。
まるで「今は私が甘える番だから、他の子は見ないでね」と示す様に。
そしてもっと触っていても良いよと示す様に、手に尻尾を絡ませて来た。
なので、イベリスの背中を撫でてあげると嬉しそうにゴロゴロ喉を鳴らした。
「撫子様のここは、金花達にとって一番安心できる場所なんだぞ!」
すると、その様子を見ていた姫立金花が語り出した。
姫立金花曰く、獣型のあやかし達は特に私の胸元が大好きなのだそうです。
その理由とは、胸に近ければ近いほど私との繋がりを強く感じ取れるからだそうです。
そして繋がりを感じ取れば感じ取るほど、HPとMPの回復速度や回復力が向上し、能力さえも一時的に向上させる事が出来るのだそうです。
姫立金花の話を聞いていると、イベリスが見上げてきた。
すると、姫立金花が私の胸元まで降りて来た。
「イベリス、さっきは譲ってくれてありがとな。これで金花は、120%の力が出せるぜ!」
そして二匹は、握手でもするかのように前足と前足を合わした。
「気にしなくても、良いにゃ。ミィ達にとって、撫子ちゃんの胸はオアシスだしにゃ」
私の胸が、オアシス?
よく分かりませんが、二匹にとって癒やしの場であるなら何よりです。
それに、私も気兼ねなく二匹のフワフワな毛を堪能できて癒されてますからね。
すると、インカルナタがポケットから顔を出した。
「インカルナタ、調子はどうですか?」
「撫子様、どうも。お陰で、だいぶよくなっただ」
「それは、良かったです」
インカルナタの様子に笑顔を向けていると、イベリスが飛び降りて人型に変化した。
「撫子ちゃん、変なのがいるにゃ!」
イベリスの指さす地面を見ると、魔幼虫よりも一回り大きな蛹があった。
しかも蛹は羽化しかけており、その周りには魔幼虫と魔虫が守護する様に留まっていた。
もしかして、バアルゼ・クイーン?
ですが、成虫が再び蛹に戻る事なんて有るの?
そう思い、立ち止まって神眼鑑定LV10で確認すると、蛹がバアルゼ・プリンセスであることが分かった。
HPとMPは、プリンスと同じ。
ですが、気になる点が幾つか有った。
それは、弱点が無くなっている事と、情報に女王の器と記載されていたことです。
もしかして、新たなクイーン?
若しくは、クイーンが倒された時に代わる予備の器?
どちらにしても、このまま見過ごす訳にはいかなくなった。
バアルゼ・プリンセスを、怪力乱神融合して倒す?
イベリスと姫立金花、それぞれと融合したとして、二人の制限時間以内に倒せるか?
先ほどのインカルナタとの融合を考えると、プリンセスを守護する魔幼虫と魔虫を相手にした場合ギリギリかもしれません。
「金花、おらと合体しねぇが?」
どうするべきか考え二人を見ていると、インカルナタが姫立金花に声をかけた。
「何、言っているんだ! そんな状態で金花と合体すると、別れた時に死んでしまうかもしれないんだぞ!」
「金花、忘れでる? おらだぢ死んでも、元さ戻っから」
「あっ! ……勿論、金花は覚えてるぞ!」
「撫子様、そだ訳だがら、おらだぢ合体した瞬間、怪力乱神融合お願いするだ」
インカルナタ曰く、相性が良い姫立金花と合体すると、風と雷の両方を操れる様になり、能力が飛躍的に向上するそうです。
インカルナタと姫立金花が合わさると、白い光りを帯びた。
その瞬間、私は怪力乱神融合を行った。
刹那、右手に雷が宿り左手に風が宿った。
そして髪がツインテールになり、タヌキのようなケモ耳とフェレットのような尻尾が付いた。
「何これ? ……信じられない、力を感じる」
これなら、インカルナタと融合した時より力が出せる。
右手の雷と左手の風が、何もしていない状態で、溢れんばかりの力を示していた。
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LV99
撫子 HP 39244/39244 MP 58090/58090
(怪力乱神融合:風雷神Ⅰ)
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「イベリス、ごめんね。悪いけれど、危ないから離れていてくれるかな?」
左手の風で、イベリスが今にも吹き飛びそうになっていたので離れるように伝えた。
「撫子ちゃん、分かったにゃ」
すると私から距離を取り、虚空の猫足を一旦解除して再び使用した。
これで、別々の虚空の猫足となった。
イベリスが消えた事を確認すると、私はバアルゼ・プリンセスが居る中心地へ移動する。
早い……まさに、疾風迅雷。
中心地へ移動すると、私は両手を合わした。
すると渦を巻く風と目映く光る雷が、呼応するように混ざり合って行く。
その力が均衡した時、スキル名が思い浮かんだ。
「【風雷神の裁き!】」
刹那、私を中心として数百メートルの空間が歪み雷光が飛び交った。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
一日置きの更新とさせて頂きます。
不定期な時間になるかも知れませんが、何卒ご容赦下さい。




