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ギフトを確認すると、以前よりスキル書が増えていた。
その中でも気になるのが、あやかし混淆、怪力乱神融合、神器神通天佑神助です。
ポイントは、どれも1000使用するようです。
三つのスキルを取得すると、3000ポイント。
ですが、まだまだポイントが1283791659も残っています。
ですので、他のスキルも取得しようとしたのですが、桁外れのポイントが必要なギフトが幾つか有りました。
不思議に思い見てみたのですが、そのどれもに名が伏せてあり、説明を見る事が出来ませんでした。
ですが、ギフトに有ると言うことは何らかの意味が有るということです。
恐らくですが、これらのギフトは現時点で取得の必要が無いスキルだと向日葵様が示してくれているのだと思う。
ならば必要になった時の為に、ポイントを残し、この三つのスキルだけ取得しようと思います。
一つ目のあやかし混淆とは、二体以上のあやかし達を融合させ、強大な能力を持ったあやかしを安全な状態で作り出すスキル。
取得すれば、指定したあやかし達を融合もしくは分離させる事が可能になる。
但し、私に協力してくれる意思を持つあやかしのみです。
しかもスキルにはレベルが有り、レベル1の場合、多種族の場合は二体以下で、同種族の場合は九体までしか融合させることが出来ない。
確信は持てないですが、もしかしてこのスキル、封印されている八頭龍様に使えるかもしれない。
そう思い、このスキルを取得しようと考えました。
二つ目の怪力乱神融合とは、私と契約したあやかしが一時的に融合するスキル。
融合すれば、私に鬼神化の時のような特徴的な変化が起こる。
そして、私の能力が使用出来る状態で、あやかしの数倍以上の能力に向上する。
以前イベリスとリンクした事が有りますが、その時とは比べものにならない能力となるようです。
但しこのスキルにもレベルが有り、レベル1の場合は、融合したあやかしの現状能力の二倍となるようです。
最大融合時間は一体につき五分で、再使用に一日を要します。
ですが、途中で分離する事も可能。
分離すると、共有していたHPとMPは等分されるようです。
但し、最大時間まで融合し続けていると、融合したあやかしのMPが無くなり、私の中に戻ってしまう。
その為、戦闘時は時間に注意する必要があります。
私はいつも、皆に守られてばかりでした。
このスキルを使えば、皆を守る事が出来る。
私は自分を変えるため、このスキルを取得しようと考えました。
三つ目の神器神通天佑神助とは、私が手にする武器と神通力に唯一神の加護を一時的に宿すというスキル。
つまり向日葵様から授かった懐剣以外にも、唯一神の加護を一時的に宿す事が出来ると言うことです。
因みに、最大加護時間は三十分です。
私達の武器や能力は、全て向日葵様から授かった力。
それらのことを考えると、恐らくこの神器神通天佑神助が、お使い様から授かった能力でも倒す事が困難な相手に対して、有効なスキルなのだと思います。
これらのスキルを駆使すれば、きっと……
私は『コーナーワイプ』で、薺君の取得したスキルを確認する事にした。
『「薺君、どうでした? 私は、あやかし混淆、怪力乱神融合、神器神通天佑神助。この三つのスキルを、取得しました」』
『「姫、僕も神器天佑神助は取得しました。その他に、不死鳥の加護、四神相応の極意、初志貫徹一騎当千を取得しました」』
やはり、薺君にも神器天佑神助のスキルが有りました。
薺君曰く、神器天佑神助は神通力に対しての加護がないだけで後は同じだそうです。
ただ、取得するためのポイントは500と私より少なかったそうです。
不死鳥の加護とは、HPが0となったとき自動で発動し、HPとMPを最大値まで回復させ、不死鳥の炎を纏っている1分間はHPとMPが一切減らないスキルなのだそうです。
但し、レベル1で使用出来るのは一週間に一度なのだそうです。
因みに、取得ポイントは800だったそうです。
四神相応の極意とは、四神によって自身の立ち位置を、この上なくよい地相とする事で優位に戦況を進めることができ、格上の相手にもダメージを与える事が出来るスキルなのだそうです。
但し、レベル1では通常の半分となってしまうそうです。
耐性が有りすぎて攻撃が通らない、魔王虫にも使えそうです。
因みに、取得ポイントは700だったそうです。
初志貫徹一騎当千とは、最初に心に強く誓った事を、貫き通していればいるほど、戦闘時間の経過と共に、ずば抜けて強い力を出せるようになっていくスキルなのだそうです。
但し、レベル1の最大加算時間は1分で、HPとMPを含む最大加算能力は二倍となるようです。
「童達よ、見せたいものがある。我についてきてくれるか?」
薺君と『コーナーワイプ』で話し合っていると、いつの間にか水神様が私達の側に来ていた。
天狐が目覚めるまで、石楠花との論議を一先ず終わらせたようです。
「「はい」」
薺君と一緒についていくと、清水の壁に入り、隔離器官が有った場所より更に奥へと進んでいった。
すると奥の台座に、一振りの大太刀が刺さっていた。
「我が先ほど見つけ、天八岐と名付けた。これには、弟達の意思と力が凝縮し宿っておる。しかし、我らでは触れる事すら出来なかった。恐らく、童達の為に弟達が作り出したのだ」
水神様はそれだけ言うと、私達に大太刀を抜くよう言ってきた。
大太刀なら、私より剣聖の能力を持っている薺君の方が適している。
そう思い、薺君を見ると頷いた。
「では、僕が先に」
「お願いします」
台座の近くまで行き、天八岐に触れた瞬間、薺君の手が大太刀の柄を擦り抜けた。
天八岐は、清水で出来ているのでしょうか?
ですがそれなら尚更、水神様が触れられないとは思えない。
だから水神様が、意思が有ると仰っていたのですね。
薺君が戻ってくると、手を見せてくれた。
「天八岐に触れた瞬間、水に触れた感覚と八頭龍の思いが流れ込んできました。ですが次の瞬間、水に触れた感覚が無くなりました」
薺君にどのような思いか聞いてみたのですが、理解できないのだそうです。
「では、次は私が行きますね」
そう言って台座の前に立つと、私の『心』に
『「「「「「「「「兄と稲成空狐姉妹を、解放してあげたい」」」」」」」」』
という、複数の声が伝わってきた。
これは、あやかし達との会話と同じもの。
あやかし召喚士の、能力がない薺君が理解できないのは仕方がないと思います。
八頭龍の前に行き、大太刀に触れてみると、
『「我らは、願う。兄と稲成空狐姉妹を、助けたい。我らに触れし者よ、どうか力を貸してくれないか?」』
という思いが、私の『心』に強く伝わって来た。
そして同時に、この大太刀には八頭龍の心と密接な繋がりがあると直感した。
恐らく、この大太刀に癒やしの光りとあやかし混淆を使用すれば、八頭龍の石化を解除し、安全な状態で八融合の呪縛から解放されるはず。
私は自身の直感を信じ、八頭龍の思いに応えてあげることにしました。
『「貴方達の思いに、私が応えます」』
心の言葉を伝え、癒やしの光りとあやかし混淆を組み合わせると、私の手が光り輝きだした。
その光りの隙間に手を入れて、絡まっている糸を解いていくと、分離させることが出来た。
すると、私の光りに呼応する様に大太刀が青く光り輝きだした。
そして輝きが落ち着くと、私は大太刀を両手で持っていた。
すると、石が砕き散る音が辺りで木霊した。
「我らの封印が、解けた……これは、一体どういう事だ」
水神様がそう呟くと、水神様と稲荷空狐姉妹達に繋がる透明な鎖が音を立てて切れた。
すると、桜と一緒に居た稲成空狐姉妹が驚いていた。
「十御供封印から、解放された……。桜様、これは一体どういう事でしょう?」
すると、その内の一人が桜に聞いていた。
「あんたら、見てへんかったん? うちの撫子さん手ー、神々しい程光っとったやろ。あんなん、うちでも無理どす」
確かに、桜が言うようにいつもの癒やしの光りではなかった。
これが、癒やしの光りとあやかし混淆を合わせた時の光り。
すると両手で持っていた大太刀が、八つの小刀となり宙に浮いた。
その瞬間八頭龍が消え去り、八つの小刀が水神へと姿を変えた。
そして美青年へと姿を変えると、一人が私の前に来た。
「神の巫女よ、心から感謝する」
そう言って一人が私に言葉を伝えると、美青年達は一斉に私へ深くお辞儀をした。
そして水神の長兄と稲成空狐姉妹達にも感謝を伝えると、再び私の元へ戻ってきた。
「神の巫女よ、もしよければ我らに名を教えてくれないか?」
「花楓院撫子と、申します」
名を伝えると、一人を残して七名の美青年が小刀へと姿を変え宙に浮いた。
「撫子よ、もう一つ我らの願いを聞き入れてくれないか?」
そして美青年が、私の前で跪いた。
「出来る事でしたら、承ります。ですので、どうか頭を上げて下さい」
私はそう言って、美青年に頭を上げてもらった。
すると、美青年は真剣な目差しを向けてきた。
「我らは禁忌を犯した事で、もう存在する事が出来ない。その為、我らの根源を刀に宿した。撫子よ、良ければ我ら天八岐を受け取ってほしい」
美青年はそれだけ言うと、小刀へと姿を変えた。
その思いに頷くと、私の手に小刀が収まった。
すると、宙に浮いていた七つの小刀が、手にする小刀と合わさり大太刀へと姿を変えた。
そして、再び私の『心』へ語りかけてきた。
『「撫子よ、受け入れてくれた事を感謝する。我らは撫子を主とし、主の命により、清水神龍大太刀、清水神龍双刃刀、清水神龍刀、清水神龍八束剣、清水神龍槍、清水神龍薙刀、清水神龍の甲冑、清水神龍八帖盾へ自在にその姿を変え動く事が出来る。これらの武器や防具は、我らが神龍戦神化した時にそれぞれ得意とした武器と防具だ。存分に、使われよ」』
『「水神様、ありがとうございます」』
お礼を伝えると、大太刀が私に寄り添うように側に浮いた。
「童よ、我の弟達を頼む」
「はい」
水神様に返事をすると、稲荷空狐の長姉がやって来た。
「その力、唯一神のものか?」
稲成空狐の長姉は、そう言って私を見つめて来た。
「今使用した能力は、神のお使い様から授かった能力です。ですが、今仰った能力も授かりました」
「……ならば、私も石楠花様の側につきましょう」
稲成空狐の長姉がそう言うと、石楠花が得意そうに笑い出した。
「カッカッカ。長兄よ、これで二対一じゃぞ?」
すると、水神の長兄も笑顔を向けた。
「もう、良い。我も、其方達を信じることにした。意見は、撤回する」
水神の長兄がそう言った瞬間、地震が起きた。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
一日置きの更新とさせて頂きます。
不定期な時間になるかも知れませんが、何卒ご容赦下さい。




