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「娘娘、ご無事でしょうか?」
あれ?
この子、チアさんじゃない。
だけど、本当にそっくりです。
チアさんと比べると小さいので、妹さんかも?
「はい、私達は大丈夫です。えっと、もしかしてチアさんの妹さんですか?」
確認を取ると、慌てるようにお辞儀をしてきた。
「申し遅れました。私はチアの妹、一番下のメイドスケルトンです。娘娘、よろしくお願い致します。はっ、自己紹介している場合じゃ有りませんでした。取り急ぎ、申し上げます。実は、八頭龍から瘴気の繭が排出されたのです」
妹さん曰く、石化中の八頭龍の腹部から水神と九人の稲成空狐が出現。
私達と話し合った事を、伝えてきた。
そこで、巨大な隔離器官の一部を石楠花達が受け取った。
しかし、多重障壁の殆どに瘴気が浸潤し中が見えない状態になっていた。
直ぐ様、ブルーローズが神眼鑑定で鑑定。
すると中に存在していた筈の赤核と魔法陣が消えており、代わりに瘴気の繭が有った。
石楠花の指示の元、水神様達と協力して浸潤された多重障壁ごと攻撃を行った。
しかし瘴気の繭は、周りに攻撃性の闇結界を構築して抵抗。
その結果、拮抗状態なのだそうです。
妹さんと話をしていると、石楠花達の召喚が急に解除された。
「石楠花達が、私の中に……」
私達をここまで運ぶのに、強力な神通力を使用していたのは知っています。
その為、石楠花達のMPは無かった事も。
ですが、残り少ないMPを全て使い切らないといけないと言うことは、それだけの事が起きたと言うこと。
「姫、僕が確認しに行きます」
「いえ、何か嫌な予感がします。私も、一緒に行きます」
私達が八頭龍から出ようとすると、八頭龍の口内に水神様が現れた。
「童達よ、済まない。我らでは、力不足であった」
水神様曰く、急に瘴気の繭が羽化し始めたそうです。
その為、水神様と稲成空狐達が封印を施した。
しかし、闇の結界に抵抗され封印をする事が出来なかった。
その為、チア達率いるメイド部隊が作法の糸を使用し闇の結界の動きを止め、石楠花達が残り全ての魔力を使用して結界を張った。
こうして水神様達は、辛うじて封印を施す事が出来た。
しかし、石楠花達の魔力量が少なかった事で中の結界が崩壊。
今は封印が破られないよう、九姉妹の稲成空狐が封印を強化しているそうです。
「童達よ、ここには天狐の眷属達がいると聞いた。ここに、天狐から預かった髪飾りがある。我らは八頭龍から出られぬ故に、これを持って助けを呼びに行くのだ」
水神様曰く、この髪飾りを持っていけば、白狐に伝えた命令を撤回する事が出来るそうです。
そうすれば、外から白狐たちの援軍を呼ぶことが出来るのだそうです。
「我は、姉妹達の元に戻る。童達よ、頼んだぞ」
髪飾りを私に渡すと、水神様は八頭龍の中に戻っていった。
私はチアさんの妹に、援軍を呼びに行くよう指示を与えた。
すると、丁寧にお辞儀をしてきた。
「娘娘、承りました」
そう言ったので、髪飾りを渡そうとすると、後ろを向いて走り出そうとした。
「待って下さい!」
引き留めると、小首を傾げてきた。
「髪飾りを、持っていって下さいね」
そう言って髪飾りを渡すと、頬を真っ赤にして何度も謝ってきた。
チアさんの妹さんは、少し慌てん坊さんみたいです。
援軍を呼びにチアさんの妹さんが走って行ったので、私達は八頭龍の外に出ることにした。
すると、石化している八頭龍の前に、封印された巨大な黒い塊が有った。
それを見た瞬間、薺君が武器を構えた。
「何て、圧迫感だ。あれが、水神様が仰っていた物か。……確かに、僕のスキル大感知が今までにない警笛を鳴らしている。あの中に、一体何が……」
「薺君、取りあえずあの黒い塊を神眼鑑定してみますね」
「はい、お願いします」
神眼鑑定LV10で確認すると、黒い塊がとんでもない物である事が分かった。
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名称 :異界の魔王虫 バアルゼ・オーバーロード
(封印により魔王羽化停止)
レベル :――/99
HP :――/29275000 (封印により魔王羽化停止)
HP :――/292750 (闇の繭の羽化前能力制限中)
MP :――/23521000 (封印により魔王羽化停止)
MP :――/235210 (闇の繭の羽化前能力制限中)
身体詳細 :情報掲示不可
スキル :闇の攻撃結界
四属性及び、聖・光・闇属性耐性大
状態異常及び物理及び魔法耐性大
――・――・――・――・――(異界スキル表示不可)
制限スキル:破壊の衝動・眷属召喚・成虫能力100倍
四属性及び、聖・光・闇属性無効
状態異常及び物理及び魔法無効・特殊状態異常耐性大
神聖・神光・神雷・神風・神火・神土・神水への耐性大
――・――・――・――・――(異界スキル表示不可)
弱点 :
情報 :世界の摂理により、レベル、HP、MP、能力、低下制限大
魔法消費量増加、弱体化、特殊能力使用不可
世界の摂理により、HP、MP、特殊、弱点以外の身体詳細
情報掲示不可
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
スキル名称:闇の攻撃結界 (封印により制限下)
レベル :――
HP :99999/99999 (封印により制限下)
MP :9999/6950 (封印により制限下)
身体詳細 :情報掲示不可
スキル :封印腐食槍
四属性及び、聖・光・闇属性無効
状態異常及び物理及び魔法無効・特殊状態異常耐性小
神聖・神光・神雷・神風・神火・神土・神水への耐性小
――・――・――・――・――(異界スキル表示不可)
制限スキル:瘴気排出結界再生・瘴気自在操作
四属性及び、聖・光・闇属性吸収
状態異常及び物理及び魔法吸収・特殊状態異常耐性中
神聖・神光・神雷・神風・神火・神土・神水への耐性中
――・――・――・――・――(異界スキル表示不可)
弱点 :
情報 :世界の摂理により、レベル、HP、MP、能力、低下制限大
魔法消費量増加、弱体化、特殊能力使用不可
世界の摂理により、HP、MP、特殊、弱点以外の身体詳細
情報掲示不可
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「そんな……」
石楠花達が無理をしてでも、闇の繭を封印したかった事がよく分かりました。
こんな物が世に解き放たれると、世界が滅亡してしまう。
薺君に異界の魔王虫の事を詳しく伝え終えると、再びフワフワした感覚が『心』を擽ってきた。
これは、桜の感覚。
『「撫子さん、堪忍え。何度も時空操作したんやけど、邪魔されて過去戻る事できまへんどす。黒いの、何かしら不変系能力持っておすなぁ」』
恐らく、異界スキルの中に不変系のスキルが有るのだと思う。
桜が過去に戻れないなら、この状況を書き換えることはできない。
私は、桜を召喚する事にした。
『「桜、召喚しても良いですか?」』
『「良いどす。せやけど、ほんま堪忍え。うち魔力食いやさかい、ごっつう必要どすえ?」』
いくら桜の召喚時にMPを消費しようと、私には召喚MP減少LV10が有る。
召喚MP減少LV10は召喚時のMPを90%も減少してくれるので、例え召喚時の消費MPが通常1000だとしても、100まで押さえる事が出来る。
それに、大天狗の石楠花や水神のブルーローズでさえ消費MPは、召喚MP減少LV10が有ると25でしたからね。
『「召喚MP減少LV10が有るので、大丈夫ですよ」』
『「撫子さん、おおきに。うち召喚してもらえるなんて、思いもしいひんかったどす。ほんま、嬉しおす」』
『「大げさですよ。では、召喚しますね」』
そう言って『心』での桜との会話を終了した。
「桜、来て下さい」
そして召喚すると、MPを600消費した。
確かに、凄まじい消費量です。
戦闘時に桜を再召喚する時は、気をつけなければならないようです。
自身のMPを見ていると、撫子色の毛並みと双眸を持ち、フワフワした同色の九尾を持つ巨大な妖狐が現れた。
体躯は大凡、200mと言った所でしょうか?
天狐の大きさには敵いませんが、私のあやかし達の中で最大の大きさです。
因みに、現在天狐は伏せっていて眼を瞑り横たわっています。
しかも、一回り小さくなりました。
私からすると、山のような大きさには変わらないのですけれどね。
ヘイズスターバースト達は、その天狐を守るように陣形を組んでいた。
一方メイドスケルトン達は、水神様の指示の元、いつでも作法の糸を放てるよう封印された闇の繭の前で構えていた。
横たわる天狐や他の皆の様子を見ていると、桜が私に笑みを向け、人の大きさとなり抱きついて来た。
「あかん、どないしよ。嬉しすぎて、抱きついてしもたどす。撫子さん、堪忍え」
「あっ、はい。大丈夫です……」
ですが桜のHPとMPを見て、召喚時のMP消費量に納得しました。
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LV99
薺 HP 904/904 MP 296/296
LV99
撫子 HP 652/652 MP 646/46
姫のあやかし(あやかし能力解放前)
桜 HP 242968/242968 MP 255936/255936
(稲成天空九尾の狐)
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ただ、言わなければならない事が有ります。
その前に、薺君に伝えなくてはなりません。
「薺君! あっちを、向いていて下さいね」
「姫、既に察して後ろを向いています。インカルナタも、同じでしたので……」
薺君を見ると、ちゃんと後ろを向いていました。
……インカルナタも?
聞き捨てならない事を、聞きました。
後で、注意しないといけません。
では、次は桜に伝える番です。
「撫子さん、どないしはったんどす?」
私が桜を見上げると、首を傾げてきた。
「……桜、服を着て下さい」
桜に裸であることを指摘すると、薺君の方を向いた。
「薺さん、気ーつかんで堪忍え」
桜はそう言うと、私の服を見た。
「撫子さんのと、同じでええの?」
このメイド服は、ブルーローズと雛菊の能力を駆使して作った特別な服です。
この服の能力を考えると、そう簡単に作れる物ではない筈なのですが……。
「作れるのですか?」
「そんなん、簡単どす」
そう言って、いとも簡単に作って見せた。
そしてそのメイド服を着ると、水神と稲成空狐達の元へ行き手伝いだした。
すると、チアさんが私と薺君の前にやって来た。
「撫子娘娘、薺様、お帰りなさいませ」
「「ただいま」」
「闇の繭の封印は、桜様が来て下さったお陰で安定しました。ですが、このままにはしておけません。ですが、桜様でも倒す事は困難なのだそうです」
「そうなのですね……」
能力値を考えると、桜であれば倒せる気がしたのですが、耐性があまりにも有りすぎて難しいのだそうです。
ですので石楠花達を再召喚してから、話し合う事となった。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
一日置きの更新とさせて頂きます。
不定期な時間になるかも知れませんが、何卒ご容赦下さい。




