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【石楠花SIDE】
強力になった四頭八尾狐と戦っていると、雛菊が頭上に白銀之羽々矢を射って氷柱を頭上に幾つも作り出した。
しかし、奴に放たず頭上に留まらせた。
奴への、脅しのつもりか?
じゃが、そんな脅し、奴には通じぬぞ?
四頭八尾狐に技を繰り出しつつ、雛菊が作り出した幾つもの氷柱を見ていると、氷柱が合わさりだし十二の氷柱となった。
白銀之羽々矢の一つ一つには、聖なる白雪の膨大な魔力が宿っておる。
それを更に集結させ、強力な神聖力を持たせた巨大な氷柱を喰らわせ一気に浄化させるつもりじゃな。
そう思っていると、雛菊が両手の人差し指をこめかみに持って来て笑った。
「ピィも、石楠花たんの真似するね」
「んっ?」
わしの、真似じゃと?
この鬼天面は、求菩提次郎坊と善鬼の能力を集結させたものじゃぞ?
真似など、不可能じゃ!
そう思っていると、白雪で鼠を作り出した。
んっ? 雛菊、今度は何をするつもりじゃ?
「雪鼠たん、雪牛たん、雪虎たん、雪兎たん、雪龍たん、雪蛇たん、雪馬たん、雪羊たん、雪猿たん、雪鳥たん、雪犬たん、雪猪たん、ピィに力を貸してね」
何じゃ? 白雪で作った動物達と、戯れるつもりか?
そう思っていると、作り出した動物が十二支だと分かった。
ほう……わしの式神の、真似ごとか。
じゃが、その式神達では奴を倒せぬぞ。
そう思っていると、白雪で作られた十二支達が雛菊の頭上に有る氷柱に溶け込んだ。
すると、雛菊が両手を挙げて握った。
その瞬間、十二の氷柱が圧縮され、真っ白に輝く二本の角となった。
するとブルーローズが、四頭八尾狐に清水瀑布を喰らわせ、わしの側に来た。
どうやらブルーローズも、雛菊が作り出した二本の光角が気になるようじゃ。
「ブルーローズ、あれは何じゃ?」
わしが尋ねると、ブルーローズは神眼鑑定LV10を光角に使った。
「雛菊は擬似的な十二支の力を借り、聖雪の光角を作り出したのだ。聖雪の光角とは、雪の精霊達が長きに渡り力を注いだ氷柱が、地祇の祝福を受け神格化したものだ。二つも作り出す事例は、我も初めてだ」
ブルーローズはそれだけ言うと、再生した四頭八尾狐に攻撃し始めた。
わしも、行かねば……。
そう思っていると、雛菊の頭に聖雪の光角が降りて来た。
「【聖雪の光角招来!】」
そして雛菊の頭に聖雪の光角が宿ると、白く輝いた二つの角を生やした雪女となった。
雛菊は既に、地祇化しておる。
その上で、神格化した雪精霊達の能力をも取り込んだ。
わしの鬼天面とは根本的なものは違うが、雛菊の清浄の能力が急激に増しおった。
敢えて呼び名を付けるとすれば、雪鬼神角乙女といったところかのぉ。
しかも、右手には刃長が背丈を越える大太刀を持っていた。
全長は大凡3m、名を付けるとすれば白銀之大太刀と言ったところか。
ここまでの大太刀を軽々と持っておるところを見ると、雪鬼神角乙女となったことで、腕力も急激に向上したか。
「えへ、へへへ。ピィも、石楠花たんと一緒だよ」
「むぅ……」
じゃが、なぜ……わしのように、筋肉質になっておらんのじゃ。
クッ……やはり、鬼天面に封じられておるのが男じゃからか!
じゃが文句も言えぬし、わしの鬼天面の残り時間はもう僅かしかない。
「雛菊、時間が無い! わしと、技を合わせるのじゃ!」
「うん、分かった-!」
雛菊と共に四頭八尾狐の元へ飛んで行くと、ブルーローズが頷いた。
ブルーローズは、わしの意図に気づいたか。
ならば鬼天面の力を全て解き放ち、奴に技を仕掛ける。
「鬼天草薙剣よ、火雷大神を宿すのじゃ! 【万雷!】」
わしは、雷神の力を剣と自信に宿した。
雷神の力を宿すと、雷のごとき早さで動けるからじゃ。
瞬時に四頭八尾狐へ肉薄すると、この早さと相性の良い奥義を放つことにした。
「鬼天流奥義 天 【聖火流星嵐!】」
天空より聖火の斬撃が大流星雨の様に降り注ぐと、四頭八尾狐を浄化の嵐に包み込んだ。
しかし、その嵐に負けじと天の尻尾に紛れていた二つの瘴気が四頭八尾狐を包み込んだ。
カッカッカ!
これは、読んでおったぞ!
天の尻から瘴気を吸収するには、ちと時間がかかる。
ここまで広範囲に浄化されると、流石にその量では足りぬとな!
じゃから、わしは雛菊に指示したのじゃ。
鬼天神化が解けた今、もうこれ以上の力は出せぬ。
じゃが、ここまで清浄の能力が向上した雛菊なら、再復活する前に奴を浄化出来る。
今の奴を浄化出来れば、流石に弱体化する。
追い打ちで、ブルーローズが止めをさせば更に弱体化し大野狐にしかなれぬはず。
そう読んでいると、奴が復活する前に雛菊が白銀之大太刀を振り上げていた。
「【久遠雪斬!】」
雛菊が白銀之大太刀を振り下ろすと、形が不安定な瘴気の闇を、聖なる斬撃が覆い被さり断ち切った。
刹那、不安定な瘴気の闇の大部分が凍り付いて砕け散り完全に浄化した。
じゃが、終わりではないぞ!
既に、ブルーローズが技を放つ体勢になっておる。
「瘴気よ、消え去れ! 【清水大瀑布!】」
ブルーローズが清水神龍刀を振り下ろし、残りの瘴気を完全に浄化させた。
これで、奴は流石に弱体化したはずじゃ。
様子を窺っていると、天の尻から瘴気が出てきた。
しかし、百体の闇の野狐としかならなかった。
「ブルーローズ、これは一体どういう事じゃ?」
「魔法陣を破壊したのか、瘴気が枯渇しておるようだ」
「ねえねえ、ブルーローズたん。もう、終わりー?」
「雛菊、悪いが闇の野狐が大野狐とならぬよう、浄化をお願い出来るか?」
「うん、分かったー」
雛菊が闇の野狐を浄化し出すと、ブルーローズが天に神眼鑑定LV10を使用した。
ブルーローズが撫子に直接聞かなかったのは、恐らく撫子達が只ならぬ状況に陥っているのじゃろう。
ならば、わしも聞く必要は無い。
「天の中で、状況が変わった。我は天の中に入り、封印されている叔父の中へ入る。ここは雛菊だけで事足りるだろう」
やはり、八頭龍で何か有ったのか?
ならばじゃ、行動は決まっている。
「わしも、行く」
ブルーローズに小声で行く事を示すと、雛菊が振り返った。
「ピィも、行くー!」
ここまで能力が上がった雛菊は、闇の野狐では物足りんよのぉ。
「……ならば、十二天将! 闇の野狐を、全て浄化するのじゃ!」
十二天将達に命令をすると、わしらは能力を駆使し、撫子達の元へ向かう事となった。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
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