表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/126

15

「これは、雪氷獄(セッピョウゴク)楽園(ラクエン)……」



 まさか、雛菊(ヒナギク)? 

 天障壁を見ると、雛菊(ヒナギク)が消えていた。

 成る程のぉ。

 ブルーローズの背に隠れた白いのは、雛菊(ヒナギク)じゃったか。


 じゃが、雛菊(ヒナギク)野湯(ノユ)のエネルギーは過剰すぎる力じゃった。

 また、譫妄(センモウ)状態になっていなければ良いのじゃが……。

 漆黒の瘴気が氷片となって砕け散ると、美少女となったブルーローズと美女となった雛菊(ヒナギク)が抱き合って左手と右手を合わせているのが見えた。



「ブルーローズたん、天狗の鬼たんがいるよ?」



 雛菊(ヒナギク)が、わしの鬼天面(キテンメン)に気がついたか。

 じゃが、元気で何よりじゃ。

 雛菊(ヒナギク)身体(ウツワ)と魂の成長が、野湯(ノユ)のエネルギーに追いついたと言うことかのぉ。

 つまり、完全な雪女となったようじゃな。


 妖力も、何故か異常に上がっておる。

 身体(ウツワ)と魂が、無理に抑え込んで蓄積していたエネルギーを解放したのかもしれぬ。

 ふむ……ここまでの妖力が有れば、渦巻く漆黒の瘴気など簡単じゃったか。



雛菊(ヒナギク)、心配するな。あれは、石楠花(シャクナゲ)だ」



 この姿でも、ブルーローズはわしと気づいたか。

 流石、ブルーローズじゃ。

 まあ、これだけ妖力を解き放っておれば、わしだと波長で分かるかのぉ。

 二人に感心していると、雛菊(ヒナギク)が雪で出来た白銀の翼を広げて飛んできた。



石楠花(シャクナゲ)たーん」



 雪女となった事で、雪を自在に操れるようになったか。

 じゃが、言葉使いと行動は変わらんようじゃのぉ。

 それに、身体(カラダ)の方が色々と成長しすぎじゃ! 



「ふにゅ……」



 雛菊(ヒナギク)、胸を押しつけるでない! 

 筋肉質となったわしが、恥ずかしくなるじゃろ! 



石楠花(シャクナゲ)たん、カチカチだよ?」

鬼天面(キテンメン)で、肉体を強化したからのぉ」



 ……雛菊(ヒナギク)、わしの腕にぶら下がるでない。

 メイド服を(マク)り上げて、わしの腹筋と見比べるな! 



「こりゃ、雛菊(ヒナギク)!」



 わざわざ、ブルーローズとも比べんでよいわ! 



「えへ、へへへ」



 むぅ……中身は、まだ幼い雪ん子のようじゃの。

 それにしても、四頭(シトウ)四尾(シビ)(ギツネ)の様子が変じゃ。

 覇気を放って、威圧はしておるが……大人しすぎる。

 なぜ、奴は隙だらけのわしらに手を出さずにいるのじゃ? 


 今のうちに、鬼天面(キテンメン)解放を解いておくか。

 一日に一度しか使えぬし、残り四分しかないしのぉ。

 鬼天面(キテンメン)を外して懐に入れると、メイド服を整え、顔を赤くしたブルーローズが側に来た。



石楠花(シャクナゲ)、待たせたな」

「いや、待ってはおらん。それより、奴の様子が変じゃ」



 四頭(シトウ)四尾(シビ)(ギツネ)の状況を伝えると、ブルーローズの眼が青く輝いた。

 神眼鑑定(シンガンカンテイ)を、発動させおったか。



「……石楠花(シャクナゲ)、奴の尻尾を見よ」



 ブルーローズに言われて尻尾を見ると、四本だった尻尾が八本に増えていた。



「……尻尾が、増えておる!」

石楠花(シャクナゲ)、次は(テン)の口を見よ」

「瘴気が、出ておらぬな……」

「恐らく、撫子達が口からの瘴気を絶ったのだ。だが、瘴気の出口は口だけではない」



 ブルーローズが指さす方向を見ると、(テン)の尻尾の付け根から瘴気が出ていた。

 しかも悟られぬよう、地面を伝って四頭(シトウ)八尾(ヤビ)(ギツネ)が吸収し続けていた。

 あ奴め、瘴気を凝縮させ一頭(ヒトガシラ)づつ個々の能力を高めおったか。


 妖狐は年を重ねて妖力が増し、自在に神通力を使いこなすほど尻尾が増える。

 その中で、善に目覚めたものは尻尾が四本となり天狐となる。

 そして、他のものは更に年を重ねて神通力を自在に操れる様になったものが空狐となり尻尾が消失する。


 その中で、更に年を重ねて神通力を極めたものが稲荷空狐となり、善や悪を(コダワ)らず、強大な妖力を受け入れ神通力を極めたものが九尾となる。

 四頭(シトウ)八尾(ヤビ)(ギツネ)は特殊じゃが、一頭(ヒトガシラ)づつ個々の能力が増し尻尾が増えたのは同じ。


 あれ以上、増えねば良いのじゃが……

 奴の尻尾を見ていると、雛菊(ヒナギク)がブルーローズの側に来た。



「ねえねえ、ブルーローズたん。狐たん、黒くなったよ?」

「うむ。奴の妖力が、一気に濃厚になりおったからな」



 確かに……言われてみれば、先ほどまでは毛と瘴気の境目が見えていた。

 じゃが、奴を取り巻く瘴気が濃厚になり全身の毛まで真っ黒に染めていた。

 奴は、どこまで瘴気を取り込むつもりじゃ。

 それに、あそこまで濃厚となった瘴気は、恐らく触れただけでダメージを受ける。


 もう流石に、素手では攻撃出来んのぉ。

 ブルーローズは龍化するか、それともこのままの姿で戦うつもりか? 

 そう思いブルーローズを見ると、清水(セイスイ)の刀を作り出した。

 こ奴が、刀を持つところなど初めて見たわい。



雛菊(ヒナギク)、我のように武器を作るのだ。但し、聖なる力を増幅させた白雪でだ。そして奴の攻撃は、受けずに躱せ」



 あそこまでの、瘴気。

 清水(セイスイ)と雪で作ったメイド服でも、どうなるか分からぬか。



「うん、分かった」



 雛菊(ヒナギク)が聖なる白雪で、真っ白な弓を作り出していた。

 万一を考え、強化した天障壁も併用しておくほうが無難じゃろう。

 天障壁を皆に施すと、四頭(シトウ)八尾(ヤビ)(ギツネ)の眼が赤黒く光り咆哮を上げた。


 奴め、また巨大化しおった。

 流石に、あれは厄介じゃのぉ。

 ピリピリと、奴の濃厚な妖力がここまで伝わって来おる。

 今の奴はランクで言えば、恐らくSランク以上。


 じゃが、こちらも妖力が異常に上がった雛菊(ヒナギク)が増えた。

 わしも、鬼天面(キテンメン)を被れば能力が上がる。

 三人で力を合わせれば、あ奴とほぼ同じじゃろうて。



「ブルーローズ、雛菊(ヒナギク)、奴を倒すぞ!」

石楠花(シャクナゲ)たん、ピィに任せて」

「うむ。よもや、清水(セイスイ)神龍刀(ジンリュウトウ)を使う時が来るとはな……」



 天狗、鬼、水神、雪女、これだけのあやかしの能力で倒せぬ奴なぞおらぬ。

 鬼天面(キテンメン)を再び被ると、わしは奴を睨んだ。



四頭(シトウ)八尾(ヤビ)(ギツネ)よ、鬼天(キテン)草薙(クサナギノ)(ツルギ)の錆となるのじゃ!」



 そして、それぞれが野湯(ノユ)を飲んだ。

 因みに、野湯(ノユ)の本数は合わせて残り五本じゃ。

 内訳は瘴気の渦で二本、そして今飲んだのが六本。

 ここまで能力が上がると、一本では流石に全快せんかったからのぉ。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 野湯(ノユ)ブーストのあやかし

 

 戦神(イクサガミ)清水(セイスイ)神龍刀(ジンリュウトウ)解放

 清水(セイスイ)神龍刀(ジンリュウトウ)装備

 ブルーローズ      HP 117318/117318 MP 115873/115873

 (神龍(シンリュウ)戦神(イクサガミ)化)

 

 鬼天面(キテンメン)解放

 鬼天(キテン)八咫(ヤタノ)(カガミ)鬼天(キテン)八尺瓊(ヤサカニノ)勾玉(マガタマ)鬼天(キテン)草薙(クサナギノ)(ツルギ)装備

 石楠花(シャクナゲ)         HP 92726/92726  MP 137375/137375

 (鬼天(キテン)(ガミ)化)


 地祇(チギ)の祝福解放

 白銀(シロガネ)()弓箭(キュウセン)白銀(シロガネ)()羽々矢(ハバヤ)装備

 雛菊(ヒナギク)          HP 102984/102984 MP 171773/171773

 (雪女地祇(チギ)化)

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――



 四頭(シトウ)八尾(ヤビ)(ギツネ)がわしらを睨み返すと、四頭(シトウ)から瘴気の固まりを吐いてきた。



白銀(シロガネ)たん、ピィの言う事聞いてね」



 それを見て鬼天(キテン)草薙(クサナギノ)(ツルギ)を構えると、雛菊(ヒナギク)白銀(シロガネ)()弓箭(キュウセン)と話していた。



地祇(チギ)弓箭(キュウセン) 【銀世界!】」



 次の瞬間、白銀(シロガネ)()弓箭(キュウセン)が輝き、雛菊(ヒナギク)が射った白銀(シロガネ)()羽々矢(ハバヤ)が無数に分かれ、空に銀色の世界が生まれたかのように錯覚した。

 刹那、瘴気の固まりを全て消し去った。


 雛菊(ヒナギク)白銀(シロガネ)()羽々矢(ハバヤ)は、聖なる白雪で作っておる。

 じゃから雛菊(ヒナギク)の魔力が尽きぬ限り、射続けられるのじゃ。


 四頭(シトウ)八尾(ヤビ)(ギツネ)が瘴気の固まりを浄化されるのを見て、大きく躱した。

 奴にとっても、ここまで聖なる力を込めた攻撃は、脅威じゃろうしの。



「ブルーローズ、奴の遠距離攻撃は雛菊(ヒナギク)に任せる。わしらは、近接するぞ」

「うむ」



 わしらが近接しようとすると、奴が尻尾を無数の槍にして攻撃してきた。

 その攻撃を、二人で舞って躱し切り裂いていく。

 二人で共に舞って切り裂いていると、何故か胸が高ぶってきた。

 この胸の、高ぶりようは何じゃ? 


 そうか……これは、わしの友が嘗て神社で見た神楽舞を思い出してるのじゃな。

 ……ただのぉ。

 少々メイド服と、似合っておらんかもしれぬ。

 じゃが、致し方ないじゃろう。

 その情景が、鬼天面(キテンメン)の思いと共に剣の技として伝わって来た。



鬼天(キテン)流 鬼 【聖火(セイカ)剣舞(ケンブ)!】」



 無数の槍となった奴の尻尾を、善鬼の炎で火祭にし浄化していくと、奴が尻尾を切り離した。

 そして瞬時に、(テン)から出てきた漆黒の瘴気で再生した。



「こ奴、トカゲか!」



 再生した尻尾に文句を言っていると、奴が瘴気の竜巻を作り出した。

 すると、雛菊(ヒナギク)が既に白銀(シロガネ)()羽々矢(ハバヤ)を天に放っていた。



地祇(チギ)弓箭(キュウセン) 【白魔招来!】」



 次の瞬間、一本の矢が巨大な雪の塊となり竜巻を押し潰し凍らせた。

 しかし奴は押し潰される瞬間、影のように薄くなり巨大な雪の塊を躱した。

 こ奴、瘴気の影にもなれるのか。

 じゃが、薄くなればその分浄化しやすくなる。



「我が行く! 明鏡止水」



 もう一度技を繰り出そうとすると、ブルーローズの声がした。



「【清水(セイスイ)瀑布(バクフ)!】」



 そして次の瞬間、飛び上がったブルーローズが清水(セイスイ)神龍刀(ジンリュウトウ)を振り下ろした。

 刹那、幾つもの清水(セイスイ)の斬撃が滝のように落ちて四頭(シトウ)八尾(ヤビ)(ギツネ)の一部を浄化した。

 じゃが、再び(テン)から出てきた漆黒の瘴気で再生した。


 ここまでの力を得ても、再生するか……。

 しかも凍らされると、途端にトカゲの尻尾のように切り離しよる。

 ならば、(テン)を天障壁で覆うか? 


 いや、それはダメじゃ。

 撫子達の方に、逆流しかねん。

 やはり、(テン)の中の魔法陣を何とかせねば奴は復活する。


 じゃが、鬼天面(キテンメン)はもう長くは持たない。

 クッ! それに、わしが弱体化すれば均衡が崩れてしまいかねない。

 わしが考えている間にも、ブルーローズと雛菊(ヒナギク)が攻撃の手を緩めずにいる。


 残り時間は少ないが、短い時間の間に何か良い方法を考えるしか無いのぉ。

 こうして石楠花(シャクナゲ)達は、強力になった四頭(シトウ)八尾(ヤビ)(ギツネ)と、残り時間が迫っている中、再び戦い始めた。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

一日置きの更新とさせて頂きます。

不定期な時間になるかも知れませんが、何卒ご容赦下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ