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琥珀の雹災旋風は、ブルーローズの浄化の清水と清氷、そしてわしの暴風と霹靂神の多属性を持ち合わさった強力な神通力じゃ。
自然の摂理としても、非常に相性が良い。
しかも、わしらがここまでの魔力を凝縮した。
流石に、四頭四尾狐も浄化できたじゃろう。
そう思っていると、天の尻尾が一本消失し、漆黒の瘴気となって氷像の四頭四尾狐を覆った。
「何じゃと?」
あまりの事態に驚いていると、ブルーローズが野湯が入った小瓶を投げてきた。
「石楠花、直ぐに飲め」
「うむ」
野湯を慌てて飲み干すと、ブルーローズが今まで溜めた全ての豪雨を使用して、氷像の四頭四尾狐に浄化の津波を喰らわせた。
わしらは、漆黒の瘴気を浄化したように見えた。
しかし氷像にヒビが入り、一回り大きくなった四頭四尾狐が姿を現した。
四頭四尾狐め、漆黒の瘴気を吸収して復活しおった。
しかも、天空に向かって四頭から漆黒の瘴気を纏うブレスを吐きだした。
クッ! 積雲と積乱雲を、散らされたか。
再び羽団扇で積雲と積乱雲を呼ぶと、雨雲となる前に四頭四尾狐の一つの頭にブレスを吐かれ再び散らされた。
「こ奴、ブルーローズの回復源を絶つか?」
「我も、野湯を使う」
そう言ってブルーローズが野湯を吸収すると、低下した魔力量が一気に戻った。
撫子が英傑神導師になった事で、MP自動吸収小が加わり、攻撃した場合は魔力量をかなり押さえられる。
じゃが、攻撃したダメージの2%じゃ。
魔力量の多いわしらは、凝縮した魔力で攻撃した場合、一気に回復する事は難しい。
「ブルーローズ、残りは何本じゃ?」
残りの野湯の本数を聞くと、小声で六本と呟いた。
四方を守らせている十二天将達を見ると、どこからともなく現れる大野狐を、指示通り蹴散らせていた。
じゃが、あれらも吸収されると流石に不味い。
しかも、八本に増えていた天の尻尾が一本消えた。
つまりじゃ、まだあの尻尾の中に漆黒の瘴気が変化した物が残っておると言う事じゃ。
もし天と繋がっておると考えると、迂闊に攻撃する訳にもいかぬ。
不味いのぉ……四頭四尾狐め、妖力まで増大しおった。
体躯は、大凡400mと言った所か。
今の奴は、わしらとほぼ同ランク。
わしらは数で勝っているとは言え、ブルーローズの水による無限回復が無くなった今、野湯の残り本数と魔力量で、限界が分からぬ四頭四尾狐を倒せるかじゃ。
兎に角わしは魔力量を抑えて錫杖技で攻撃し、ブルーローズの魔力と体力が減れば、神通力で水を作りだし回復。
そしてわしの体力が減れば、ブルーローズに回復してもらうしかないのぉ。
錫杖を構えると、ブルーローズが横目でチラリと見た。
「行くぞ!」
「うむ」
ブルーローズに頷いて答えると、ブルーローズが四頭四尾狐目掛けて突撃した。
わしらは、小さい分小回りが利き四頭四尾狐の攻撃は躱しやすい。
それに、早さはわしらの方が圧倒的に上じゃ。
ブルーローズが、四頭四尾狐の攻撃を躱しつつ近づいた。
この錫杖技を使うのは、ここじゃ。
「錫杖技! 【天地回転撃!】」
わしはブルーローズの上で、錫杖を頭上と腰回りで回転させ、奴に向けて渦を放った。
すると四頭四尾狐に渦が当たり、同調して幾つもの渦が巻き起こり、奴がバランスを崩した。
そこに、ブルーローズが肉薄した。
「【水鏡 龍の卍爪撃!】」
そして、ブルーローズが爪で攻撃すると、幾つも爪撃が卍を形どり、四頭四尾狐を切り刻んだ。
ブルーローズの技を見るのは、久しぶりじゃ。
じゃが、相手が巨大故に浅い?
いや、水鏡の波紋で二つの頭を吹き飛ばした。
しかし次の瞬間、ブルーローズを奴の二頭の牙が襲う。
「【水の龍穴】」
その攻撃をブルーローズは、奴の後方と空間を繋げて躱した。
特殊な移動方法を、このような形で使うとは器用じゃのぉ。
じゃが、今ので奴に隙が出来た。
それに、わしの技はブルーローズの水鏡と波紋で、連続する技ほど威力が増す。
喰らえ!
「錫杖技! 【千手白蓮突!】」
白蓮の形を形作る、無数の錫杖による突き。
それが水鏡と波紋で、万華鏡の如く突きに変わり、四頭四尾狐の背に大穴を開けた。
そこにブルーローズが入り、四方八方に多重渦清水竜巻を起こした。
そしてそこから素早く出ると、その大穴の中心に向かって、更なる巨大な浄化の多重渦清水竜巻を起こした。
「我が清水竜巻よ、合わさり瘴気を消し去れ! 【瑠璃色の神渦!】」
幾つもの清水竜巻が合わさると、一つの巨大な清水竜巻となり、漆黒の瘴気で出来ている四頭四尾狐の内部を浄化させた。
流石にこれで、四頭四尾狐を浄化できたと思った。
しかし四頭四尾狐は、自身で胴を切り裂き浄化部分を分離。
そして漆黒の瘴気となると、300m級の四頭四尾狐へと変化した。
「クッ! やはり、巨大な瘴気の固まり。我らの魔力量では、浄化出来ぬか」
「じゃがブルーローズよ、天の尻尾一本分は浄化出来た」
「だが、我の魔力と石楠花の魔力がもつかだ」
「じゃのぉ……」
ブルーローズが、言っている意味に含まれる言葉。
それは、ただ単に巨大な竜巻であれば幾つでも作れると言う意。
そして、わしの魔力と合わせた場合に四頭四尾狐の全てを浄化出来るとは限らないと言う意。
つまり、漆黒の瘴気を浄化出来る程凝縮した魔力を注がねば意味は無いと言う事じゃ。
それに魔力量が増えた分、ブルーローズの魔力回復には時間がかかる。
魔力を一気に回復させるには、多量の水を与えねばならん。
じゃが、乱雲と積乱雲に使う魔力より水を直接作り出す魔力の方が多い。
結果として、わしの魔力が早く尽き野湯を使用する事になる。
雨雲を発生させれば良いのじゃが、四頭四尾狐がそれを許さぬからのぉ。
「ブルーローズ、水じゃ」
「済まぬ」
羽団扇で多量の水を作ると、ブルーローズが吸収し魔力量が最大値となった。
「このままだと、わしらはじり貧になるかもしれぬ」
今の攻撃をしたとして、四頭四尾狐の供給源を絶つか、瘴気化を止めねば同じ事の繰り返しになるのぉ。
「いや、石楠花そうとは限らん」
ブルーローズがそう言って、撫子達の体力と魔力を見るよう言って来た。
撫子達の体力と魔力量を確認すると、ヘイズスターバースト達の体力と魔力量が一気に上昇していた。
恐らくわしら同様、野湯を使ったのじゃろう。
それに加え、撫子達の魔力量の上下が激しかった。
そして、レベルが三つ上がっていた事に気がついた。
わしらが、漆黒の瘴気を浄化した事に加え、撫子達も何かを倒したのじゃろう。
周りでも、十二天将達が大野狐共を浄化しておるしの。
レベルが上がった事で、能力や技の切れが上昇した。
じゃが、技の攻撃で魔力を節約するのは変わらぬ。
「石楠花、我も出来る限り技を使う」
「うむ」
近くに居るわしらは、魔力の少ない技で攻撃すれば、MP自動吸収小の恩恵を受けられるからのぉ。
凝縮した魔力を使って攻撃するのは、ここぞという時じゃ。
「行くぞ、石楠花」
「うむ」
ブルーローズが向かっていくと、四頭四尾狐が尻尾を振り回し、漆黒の瘴気を纏う竜巻を作り出した。
その攻撃をブルーローズが水の龍穴で躱し、龍の卍爪撃で攻撃する。
しかし、四頭四尾狐が後方へ飛び跳ね回避。
その回避に合わせ、ブルーローズが水の龍穴で奴の左下に現れた。
わしは、錫杖技を使って爆轟天狗倒しで奴の左前足を粉砕。
じゃが、奴は左前足を素早く再生させ右前足でわしらを攻撃。
その攻撃をブルーローズが翻って躱し、尻尾の連続攻撃で奴の右前足を切断。
そして、わしが追い打ちで錫杖を巨大化させ上方から攻撃する。
奴は右前足を再生させ、左下のわしらに気を取られておる。
すると、巨錫落としが奴の右肩を撃ち抜いた。
しかし、直ぐに右肩を再生した。
わしらはこれらの技を駆使し、何度も四頭四尾狐を攻撃し続けた。
「やはり、頭意外は直ぐに再生しおるのぉ」
「だが、確実に漆黒の瘴気が薄れてきておる。それに、我らの魔力も回復し無駄が無くなった」
「じゃがブルーローズよ、流石にわしも飽きてきたぞ」
「むう……」
ブルーローズに愚痴をこぼしていると、わしらの足下を覆うように漆黒の影が渦巻いていた。
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