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 ミステリアス ワールド テリトリーから戻って来ると、欄音(カノン)ちゃん、百合愛(ユリア)ちゃん、美桜(ミオ)ちゃん、椿来(ツバキ)ちゃんが、私に抱きついて来た。

 すると、花ちゃんも私の背中に抱きついて来た。


 そして皆で座り込むと、緊張の糸が切れたように泣いた。

 どうやら欄音(カノン)ちゃん達は、私達がもう戻ってこないと思っていたそうです。

 花ちゃんは明るく振る舞っていましたが、実は内心とても心細かったそうです。

 そう言う私も、気がつくと涙を流していました。


 暫くして皆泣き止むと、欄音(カノン)ちゃん達が後ろに居る少女達の事を聞いてきた。

 実は戻ってくる時、石楠花(シャクナゲ)の能力を向上させていた力を全て消費してしまい、あべこべの羽団扇が自動封印されてしまった。


 そのせいで薺君達は、未だに少女のままなのです。

 因みにメイドさんは、肉体を十分に楽しめたので私の腕輪に戻っていきました。

 今回はメイドさんに色々と助けられたので、腕輪を通して後でお礼を言おうと思います。


 雛菊(ヒナギク)は疲れた様で、イベリスと姫立金花(ヒメリュウキンカ)とインカルナタの三匹と一緒に、ソファーで眠っています。

 欄音(カノン)ちゃん達に事情を話していると、薺君と朝熊(アサマ)君が石楠花(シャクナゲ)と話している声が聞こえてきた。



石楠花(シャクナゲ)、僕達はいつまでこのままなのですか? まさか、戻らない何て事は無いですよね?」



 薺君の少女化は凄く綺麗なので、この宿に居る間は良いと思うのですが、薺君は嫌なようです。



「洋酒入りのチョコレートとやらが手に入らぬと、あべこべの羽団扇の封印が解けぬのじゃ。じゃから、今日はこのままじゃのぉ。じゃが、心配するでない。明日の昼には、自然と元に戻るじゃろうて」

「露天風呂なのに、俺の筋肉を誰にも見せられないのか? ……だが、この引き締まった身体(カラダ)もなかなかどうして」



 薺君と違って朝熊(アサマ)君は、肉体美が良ければ一日位は気にしないようです。

 欄音(カノン)ちゃん達に事情を話し終えると、ブルーローズの嫌がる声が聞こえてきた。

 石楠花(シャクナゲ)からやっと解放され、お茶を飲もうとしていた所を再び抱きつかれたようです。



「茶が、飲めぬではないか! 石楠花(シャクナゲ)、我から離れよ!」

「そもそも、ブルーローズがわしのチョコレートを全て食うたのが悪いのじゃがのぉ。そうじゃろぉ?」

「むう……我は、石楠花(シャクナゲ)が酒で暴走せぬようにしたのだ」

「そうだったのですね」



 薺君は考えるように、顎に手をやった。



「薺は、どちらの言うことを信じるかのぉ?」

「こ奴の、屁理屈など聞くな! それより薺、我から石楠花(シャクナゲ)を引き剥がしてくれぬか?」

「洋酒入りのチョコレートはのぉ、わしの能力向上に一番良い按排だったのじゃぞ? ほれほれ、ブルーローズどうじゃ?」



 成る程、だから石楠花(シャクナゲ)はブルーローズから聞いた時の様に、暴走しなかったのですね。

 ですが、石楠花(シャクナゲ)の酒癖は少しばかり悪い気がします。

 なぜなら、今は素面(シラフ)のようですが、お酒の代わりに幼い少女化したブルーローズに、依存しているからです。



「我は、悪くなフニャァ……石楠花(シャクナゲ)、口を舐め回すな!」

「口元にのぉ、チョコレートが付いておったのじゃ」

「いい加減、我から離れフニャァァァー……」



 ブルーローズ達の話を聞いていると、外から窓をノックする音が聞こえてきた。

 窓を見ると、桂樹(カツラキ)君が窓を背に向けて立っていた。



「姫、お帰りなさい」

桂樹(カツラキ)君、ただいま。ごめんね、心配かけて」

「いえ、ご無事で何よりです」



 桂樹(カツラキ)君と話していると、欄音(カノン)ちゃんが玄関まで歩いて行った。

 恐らく、桂樹(カツラキ)君に会いに行ったのでしょう。



「先ほど親衛隊達に説明をし終えたのですが、薺達はそちらに居ますか?」



 尋ねられたので二人を見ると、二人は顔を見合わせて頷いた。



桂樹(カツラキ)、僕達はここだ」



 薺君がそう言うと、桂樹(カツラキ)君が驚いた顔をしていた。



「悪いが、訳は後で説明する。済まないが、僕と朝熊(アサマ)の服を取りに行ってはくれないか?」



 そう言えば、薺君達はブルーローズの水の衣でした。



「また、僕の想定外の事態が起きたようだね。だけど、薺。……頼むから、欄音(カノン)の前でその姿は()めてくれ!」



 水の衣の、どこがいけないのでしょうか? 

 少女となった薺君の胸が大きいので、屈んだせいで胸元が少し見えていただけなのですが? 



「済まない、桂樹(カツラキ)。もう、遅かったようだ」



 薺君の言葉を不思議に思っていると、欄音(カノン)ちゃんが桂樹(カツラキ)君を何度も引っ叩いていた。

 どうやら思わず見てしまった桂樹(カツラキ)君の目線に、欄音(カノン)ちゃんは気付いていた様です。


 そして暫くすると、顔を腫らした桂樹(カツラキ)君が、薺君の服を持って来て欄音(カノン)ちゃんに渡していた。

 私はその間に、パウダールームで着替えてきました。

 すると、石楠花(シャクナゲ)がブルーローズから離れて私のそばに来た。



「撫子、良い友人達に恵まれたのぉ」

「はい。私の、自慢の友人です」

「じゃが、薺と朝熊(アサマ)桂樹(カツラキ)をどうする? 風呂や寝床の事を考えると、あのまま二人を別邸に行かせると欄音(カノン)にのぉ……」

「ですね……」



 薺君と朝熊(アサマ)君がトイレから着替えて出てきましたが、桂樹(カツラキ)君を監視すると言って、欄音(カノン)ちゃんが別邸についていくようです。



「そうじゃ、撫子。食事の後、少女化しておる薺達を連れて野湯(ノユ)に行かぬか? 野湯(ノユ)はのぉ、わしらの神通力を向上させる効果が有るのじゃ。もしかすると、あべこべの羽団扇の封印を解けるやもしれん」



 石楠花(シャクナゲ)は、昔からよく野湯(ノユ)に入っていたそうです。

 野湯の事を簡単に言えば、自然自噴した源泉で、人の手が少し加わった物と一切加わっていない物があり、商業化されていない場所の事を言うそうです。


 それに、野湯(ノユ)は湯あみ着や水着を着て良い所と駄目な所が有るそうです。

 石楠花(シャクナゲ)達天狗は、人が立ち入ることが不可能な場所であっても、神通力を使用し容易に入る事が出来る。


 実はそう言った場所ほど、大地のエネルギーが湧き出ており、大天狗が通う秘密の野湯なのだそうです。

 今回石楠花(シャクナゲ)が行こうとしている野湯(ノユ)は、石楠花(シャクナゲ)が神通力で隠した秘密の場所に有るそうで、何を着ようと構わないそうです。


 私は水着が有りますし、湯あみ着はお土産の中に有ったので、薺君達に着てもらえば問題有りません。

 食事の後に予約している露天風呂は欄音(カノン)ちゃん達に入ってもらい、私達は石楠花(シャクナゲ)が神通力で隠した秘密の野湯(ノユ)に行く事にしました。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

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