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中に入って行くと、透き通る温泉が大きな浴槽に満ちあふれていた。
周りは女性が安心出来る壁に囲まれており、湯船からは綺麗な空が見えていた。
夜に入ると、美しい星空が眺められる温泉になるようだ。
時間指定で家族風呂も借りられたので、後で皆で行ってみようと思います。
勿論、女子だけですけれどね。
花ちゃん達は湯船に浸かったり、浴槽の縁や椅子で会話を楽しんだりしていた。
欄音ちゃんと花ちゃんが湯船で笑いあっていたので、やはり裸の付き合いは蟠りも洗い流してくれたようです。
それにしても、花ちゃん?
身長に行く筈の成長が、全て胸に行ったのですね……。
私は身長が156.5cmに成長し、ローレル指数は91.3114にキープしているので、Dカップまでしか成長しませんでした。
美桜ちゃんと百合愛ちゃんも私と同じカップ数で、欄音ちゃんと椿来ちゃんはCですが、花ちゃんはGで圧倒的。
身長は小学生の頃と変わらず142cmですが、ウエストが46cmしかないのに、トップが80でアンダーが54でした。
もう少しでHカップだと思いますが、まだ成長しているようなので分かりません。
なぜここまで詳しいのかというと、花ちゃんが百合愛ちゃんの実家でサイズ測定し、下着を発注するのに私も手伝わされたからです。
洋服も可愛いのが着られないと言って椿来ちゃんに頼み、学校指定の体操服もサイズ的にチグハグになるので美桜ちゃんに頼んでいる。
これらの繋がりが有るので、喧嘩しても三人とは直ぐ仲直りするのだ。
なので、欄音ちゃんだけが一番の気掛かりだった。
でも二人の笑顔で、杞憂だと分かった。
皆の様子を眺めていると、花ちゃんが私に気がついた。
「撫子ちゃん、お帰りー」
花ちゃんが挨拶したことで、他の皆も気がついたようです。
「「「「お帰りなさい」」」」
「皆、ただいま」
皆に挨拶をしていると、石楠花は洗い場へ行き身体を洗いだした。
洗い場は、順番に使うようです。
石楠花の方を見ていると、百合愛ちゃんが湯船から出てきた。
そして、私の元までやって来た。
「ねえ、撫子ちゃん。以前から色白だと思っていましたが、秘訣は何ですの?」
「キャッ!」
そう言って、身体のあちこちを触ってきた。
足下を見ると、イベリスと姫立金花が湯船に行こうとしていた。
あやかしですので、洗う必要が無いかも知れませんが、湯船に入るのでしたら洗ってから入って欲しい。
二匹を止めようとしましたが、私の状況がそれどころでは無くなった。
「石楠花、イベリス達を洗って頂けますか?」
「良いぞ」
石楠花にお願いしていると、百合愛ちゃんが私の胸を持ち上げた。
「キャッ! 百合愛ちゃん?」
「なぜ、こんなに出るところは出ていますのに、引き締まる所は引き締まっているのかしら? 形も理想的で、可愛い女子に気に入られる下着を作る為にも研究が必要ですわね」
理想の下着は、私の身体を触らなくても作れるはずです。
なぜ、私の胸を持ち上げたりするのですか?
もう、イベリスと姫立金花の事は石楠花に任せるしかありません。
「イベリス、姫立金花、わしが洗ってやる。こっちへ来い」
「ミャウミャウ」
「ギュウギュウ」
そうしないと、百合愛ちゃんだけで無く、椿来ちゃんと、美桜ちゃんまで来たからです。
「いらない、じゃと? わしが、折角洗ってやるというに! 仕方がないのぉー。神通力でも、使うかのぉ」
「ミュ?」
「ギュ?」
「こりゃ、待たんか! 本当に、使わないといけなくなるじゃろ!」
石楠花に助けを求めようとしましたが、イベリスと姫立金花の事で手が回らないようです。
「シルエットも、良いですわね。しかも、透明感が有って肌もきめ細やか。私が作った、新作の洋服も似合いそうです」
「キャッ! 椿来ちゃん、そんなに裸を見つめないで下さい!」
椿来ちゃんにタオルを取られ、私は身体のラインを隅々まで見渡たされていた。
洋服には様々なラインが有りますが、私を見て想像を膨らませられても困ります。
「太股と、二の腕も、理想的ですわね。体操服は、この部分が出るのでよく確かめないといけませんわね」
「キャッ! 美桜ちゃん、太股を揉まないで下さい!」
しかも美桜ちゃんに腕を掴まれたので、逃げられなくなった。
皆も凄く綺麗な肌をしていて、触れてくる手や肌も温泉の効果なのかは知りませんが、モチモチスベスベしていて柔らかです。
なのに、なぜ執拗に私を触ってくるのです?
触られすぎて、足に力が入らなくなってきた。
「百合愛ちゃん、椿来ちゃん、美桜ちゃん? いい加減にしないと、撫子ちゃんに嫌われますわよ」
「そうだよ! 欄音ちゃんの、言うとおり! さっきは、花の胸も散々触ったよね! 欄音ちゃんに助けてもらわなかったら、こそばすぎて、擽り死ぬ所だったよ!」
二人に言われて、百合愛ちゃん、椿来ちゃん、美桜ちゃん達は、触るのと視姦するのを止めてくれた。
花ちゃんと戯れ合うのは何度も有りましたが、百合愛ちゃんと椿来ちゃんと美桜ちゃんは、私に容赦なさ過ぎです。
余りのこそばゆさに座り込むと、花ちゃんと欄音ちゃんが助けおこしてくれた。
「……花ちゃん欄音ちゃん、ありがとう。助かりました」
「キャハッ! 撫子ちゃん、花と一緒で擽られ仲間だね」
「花ちゃん、私はそんな仲間になった覚えは有りません」
「冗談だよ。だって、花も擽ったかったもん」
花ちゃんと欄音ちゃんの笑顔を見ていると、やっと落ち着いてきた。
石楠花達は、私が擽られている間に洗い終えたようで温泉に浸かりに行った。
やっと、私の洗う番が回ってきました。
「えいっ!」
洗い場に向かおうとすると、花ちゃんに胸を持ち上げられた。
「キャッ! 花ちゃん?」
分かっていましたが、花ちゃんは昔からこういう悪戯もするのです。
「うわぁー、柔らかぁーい。撫子ちゃん、触り心地良いね」
花ちゃんの方を振り返ると、舌を出していた。
これで、ごめんねと言っているつもりのようです。
「キャッ! 欄音ちゃんも、何するのですか?」
すると、今度は欄音ちゃんに胸を持ち上げられた。
「本当ね。百合愛ちゃん達が、没頭するのが分かりますわ」
「「「でしょー!」」」
「皆、変な共感をしないで下さい!」
こうして散々触られた私は、ようやく身体を洗い終え、湯船に浸かることが出来た。
今、花ちゃん達はイベリスと姫立金花にターゲットを変えて燥いでいる。
やっと落ち着けた私は、湯船でゆっくり浸かり綺麗な空を眺めることにした。
※ ◇ ※
【薺SIDE】
僕達は姫が宿の別邸へ戻った後、荷物を置いて部屋割りをしていた。
「薺、俺と桂樹はこのベットを使って良いのか?」
リビングのソファーに腰掛け由布岳の壮麗な景色を見ていると、朝熊がベッドルームから顔を出した。
「朝熊、僕は和室で寝るから良いよ。ブルーローズも、和室で良いかな?」
ブルーローズが、そこでお茶を飲んでいるしね。
「うむ。我は、この部屋が気に入った。薺、この部屋は我に取って良いエネルギーが満ちておる。和室から見える木や土は、豊かなる自然のエネルギーを豊富に含んでおる。我は、そういった水のエネルギーを吸収するのが好きなのだ」
「気に入って頂いて、良かったです」
ブルーローズが席を立ったので、僕は再び景色を眺めた。
しかし、気になるのがインカルナタだ。
姫が別邸に戻ってから、インカルナタが頻りに何かを探すように動き回るようになった。
姫のあやかしは、石楠花を除き、基本的にMPが有れば食事を取る必要は無い。
ヘイズスターバースト達は、戦う時以外は常に姫の腕輪の中で眠っている。
但し、例外であるヘイズスターバースト達を除き、今回のように完全に実体化している場合は人のように食事をして大や小もする。
ブルーローズが今トイレから帰ってきたが、動物型のインカルナタも自身一人でトイレを清潔に使うし、驚く事に石鹸を使用して手洗いもする。
しかも毎日、姫と一緒にお風呂に入っているらしい。
羨ましすぎ……コホンッ!
なので、初めはトイレや風呂を探していると思っていた。
しかし、ブルーローズがトイレから出てきても気にする様子は無かった。
インカルナタの行動を見ていると、桂樹が洗面所から顔を出した。
「薺、こっちに丸形と四角い半露天風呂があるよ」
そして、風呂の用意を手に持っていた。
入りたかったら入っても良いのだが、僕に確認したかったようだ。
「桂樹、荷物の整理が終わったら入っても良いよ」
「良いのか?」
「ああ」
僕が返事をすると、機嫌良く洗面所の中に入っていった。
「俺も、入る! 薺も、一緒に入らないか?」
すると、朝熊が風呂の用意をして来た。
「僕は、後で入るよ。朝熊は、桂樹とゆっくり露天風呂を楽しんでくると良いよ」
手を上げて送ると、朝熊が「お先に」と言って洗面所に入っていった。
ブルーローズが僕の隣に座り、茶菓子を手にした。
「薺、どうした? 浮かぬ、顔をして」
「インカルナタが先ほどから何かを探しているようで、気になるのです」
「薺達は、インカルナタの言葉が分からなかったな」
ブルーローズがインカルナタの側に行くと、インカルナタが見上げた。
「キュウーーン」
そして、説明するように鳴き出した。
「何を、言っておる? 撫子は、別邸に戻ったぞ?」
成る程、インカルナタは姫を探していたのか。
そう言えばインカルナタは、姫が戻る時にドッグランを探索していた。
姫と共に、別邸へ戻ると思っていたのだろう。
「キュウーーン、キュウーーン」
僕が姫の様に、インカルナタの言葉が分かれば良かったのだが、やはり何度聞いても鳴いている意味が分からない。
ブルーローズに教えてもらったのだが、動物型のインカルナタ達が人型になるには、姫のレベルが90にならないと無理らしい。
後残り六つで90だが、まだまだ先は長いようだ。
オークオーバロードを倒した後、魔法陣の出現が日増しに増え、僕と姫のレベルは76から84まで上がった。
そのお陰で、剣鬼のレベルが8となり与えるダメージが2.8倍となり、忍者のレベルが8となり、闇属性の追加と残像回避分身が二体出せるようになった。
そしてその残像回避分身はデコイも使用出来る為、デコイが倒されにくくなり強い魔物相手にも引けを取らなくなったのだ。
「うーん……我に言われてもな。撫子が、決めた事だぞ?」
「キュウーーン、キュウーーン、キュウーーン」
ブルーローズが告げると、丸まって尻尾に顔を埋め、声を押し殺す様に鳴きだした。
インカルナタは子犬の様な可愛い声で鳴くので、つい親身になって世話をしてあげたくなる。
「ブルーローズ、どうでした?」
「薺よ、インカルナタが撫子の元へ行きたいと言っておる。我や他のあやかし達は我慢できるが、こ奴は我慢できんらしい。雄のくせに、甘えて寂しがっておる」
ブルーローズと石楠花は見た目で分かるが、まさかインカルナタが雄とは知らなかった。
どうやら姫は、僕達同様あやかしも男女で分けたようだ。
つまり、イベリスと姫立金花は雌だという事。
なぜ動物型のあやかしを、このように分けたのか不明だったが理解出来た。
「ブルーローズ、僕がインカルナタを姫の元へ連れて行きましょうか?」
提案すると、ブルーローズは姫に確認を取ると言ってきた。
すると、インカルナタが嬉しそうに僕の側に来た。
しかし、急にブルーローズが険しい顔となり外に出た。
僕達もブルーローズを追いかけると、竜となって僕達を背に乗せ空に上がった。
そして、姫達がいる別邸まで来ると見下ろした。
「何だ、この歪みは?」
なぜかは不明だが、別邸が過度な次元結界に包まれているらしい。
その為、ブルーローズとインカルナタでも姫の心に通じなかった。
しかもこの結界内に入るには、ブルーローズでも簡単ではないらしい。
「ブルーローズ、石楠花の結界では?」
「……石楠花の結界は、洗練しておる。だが、この結界は滅茶苦茶だ。次元世界と次元世界が、複雑に絡み合っておる。狂っておらぬ限り、このような事にはなるまい」
「では、魔物の仕業でしょうか?」
「いや、現状では我でも分からぬ。我らが次元世界に入り、最も奥に進まねばな。……だが次元世界は、人にとっての欲望や願望、それに過去の困難を呼び起こす場でも有る。薺が行くなら、心せねばならん」
「僕は、姫に危険が迫っているなら何処へでも行きます。ブルーローズ、お願いします。僕も、連れて行って下さい」
「……分かった。だが、くれぐれも注意しろ。次元世界で出現する魔物は、薺の欲望と願望が生み出す魔物だ。間違いなく、撫子が出て来る」
「……えっ?」
「だが、心配はいらぬ。我やインカルナタであれば、区別はつくからな」
僕達は姫の元へ行くため、ブルーローズの能力を使用し、複雑に絡み合う次元世界に行く事となった。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。




