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温泉街の上空に着くと、姫立金花が右肩、インカルナタが左肩に乗った。
「ギュー!」
「キュウーーン!」
そして二匹が鳴くと、右手に数珠が現れた。
その瞬間、二匹のMPが1083から100ずつ減少しました。
どうやらこれは、二匹の合わせたスキルのようです。
因みに、HPとMPはそれぞれこうなっていました。
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撫子 :HP397:MP381
姫のあやかし
ブルーローズ :HP3670:MP3610
姫立金花 :HP734:MP983
インカルナタ :HP734:MP983
第一騎士団
第一騎士団長 :HP154:MP46
: :
第十騎士団
: :
戦闘に巻き込まれた人々
男性A :HP16:MP0
女性A :HP12:MP0
: :
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この数珠の一つ一つには、風と雷の力が備わっており、15秒に1度ずつ交互に風刃と雷光を放ち補助攻撃をするようです。
能力名は【風雷の数珠】と言い、最大千個まで別れパーティーメンバーの攻撃補助をしてくれる。
ですが、数が多くなるにつれ威力が弱くなるそうです。
ただ今回の魔物はオークですので、騎士達の攻撃補助に最適という訳です。
「ほう。姫立金花とインカルナタの、混成能力か。撫子の能力がなければ、あやかしだけでは、不可能な能力だな」
私が風雷の数珠を手に取ると、ブルーローズが感心したように呟いた。
「そうなのですか?」
「うむ。撫子との縁によって、本来は繋がらないあやかしが繋がったのだ」
「ギュ、キュウ」
「キュウーーン、クゥーーン」
ブルーローズが説明してくれると、二匹がその通りだよと言って私の頬に戯れて来た。
そして二匹に説明されたとおり、数珠を騎士達に向けて放つと、騎士達に寄り添うように右後方へ浮遊した。
「んっ? これは? おおー! 皆、姫がお越しになって下さったぞ!」
一人の騎士がその数珠に気がつき、空を見上げた。
「「「「「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉー! 姫ー!」」」」」」」」」」
すると、もの凄い歓声が沸き起こった。
その瞬間、騎士達が一斉にオーク達を押し返した。
ブルーローズが着地するところが出来たので着地すると、ブルーローズに乗っていた騎士達が素早く配置についた。
そして少しすると、最前線から第一騎士団長と思われる人が私の元へ走って来た。
「姫、ご報告致します。温泉街の避難指定された施設に、観光客及び住人合わせて約一万三千人を避難誘導完了致しました。幸い神の地域区分結界により、人口密集地へのオークによる進出は確認されません。ですが、森の三方向から一気にオークが進出した為、避難指定施設に籠城する他、選択肢は有りませんでした」
「報告、ありがとうございます。申し訳ありませんが、防衛をお任せしても良いですか?」
「姫、お任せ下さい!」
報告を済ませた騎士団長が、再び指揮を執りだした。
少し騎士達が心配だったのですが、薺君が言っていたことを思い出しました。
薺君によると騎士団の基本能力は、レベル付与・苦痛軽減小・HP自然回復小・気力消耗軽減小・忍耐向上小・集中力向上小・命中力向上小・動体視力向上小・持久力向上小・思考力向上小・魔法耐性小・恐怖耐性小・状態異常耐性小・戦闘時の記憶復活・士気力向上大・団結力向上大・連携力向上大・親衛隊長の下位技能共有・姫への忠誠による恩恵などが有るそうです。
その中の親衛隊長の下位技能共有で、剣士の能力を得ているので、あれだけ戦えるのだそうです。
剣士の能力には、近接武器知識大・遠距離武器知識小・近接時攻撃力向上大(剣士レベルに比例)・近接武器能力向上中・遠距離武器能力向上小・防御力向上小・命中力向上中・集中力向上中・攻撃時瞬間速度向上小・動体視力向上中・思考力向上小・予測反応向上小・持久力向上中・危険感知力向上中・回避力向上小・苦痛減少中・斬撃、打撃、刺撃、射撃、衝撃、特殊攻撃耐性小・魔法耐性小・治癒魔法を受ける力向上小などが有るそうです。
そして親衛隊副隊長の能力も少し特殊で、守りたい対象がいる場合は指定する事で、盾特化型になるそうです。
盾特化型とは、盾装備時の盾防御力や盾回避力に加え自身の防御力が向上大となり、守りたい対象に自身のHPを犠牲にしてHPを分け与える事が出来るそうです。
そして花ちゃん達の親友女官近衛騎士長と友侍女騎士は特殊で、近接武器知識は短剣によるものだけの代わり、遠距離武器知識大・遠距離攻撃力向上大(姫の女傑レベルに比例)・遠距離武器能力向上大・近接武器能力向上小で、他は能力的に同じなのですが、遠距離特化型なのだそうです。
しかも、女官近衛騎士は剣士より優秀な能力である、遠距離武器攻撃必中・遠距離武器攻撃飛距離2倍・遠距離武器攻撃力2倍・遠距離武器の致命的一撃の確立アップが有り、遠距離に置いては、他の近衛騎士達を圧倒するそうです。
侍女騎士の能力も負けていなく、遠距離武器攻撃飛距離1.5倍・遠距離武器攻撃力1.5倍・遠距離攻撃特殊で、欄音ちゃんと椿来ちゃんが吹き飛ばし攻撃、美桜ちゃんと百合愛ちゃんが攻撃速度低下攻撃を有する為、花ちゃん達は少数精鋭部隊となっている。
ですので押し返す事が出来れば、騎士達に任せても差し支えないそうです。
「撫子、ここはもう騎士達に任せても大丈夫だ。姫立金花とインカルナタの数珠が、かなり効果を示しておる。我らは、元凶となっている山へ向かうとしよう」
「はい」
騎士達に防衛を任せ、私達は魔法陣が有る山へ向かう事となった。
※ ◇ ※
【花SIDE】
花達一行はイベリスを連れ、新しくオープンしたケーキ屋の近くに現れるオーガの群れを倒していた。
「花、オープンテラスで食べるケーキ、楽しみにしていたのに最悪だよー」
「ミュウ」
「花ちゃん、百合愛もですわ。少し大人っぽくなった撫子ちゃんの為、可愛い下着を見繕って愛でよ……コホン! 持って来ましたのに、プレゼントできませんでしたわ」
「ミャウ!」
「それは、椿来も同じです。花ちゃんのお陰で、撫子ちゃんを着せ替え人……コホン! いえ、可愛らしい洋服をお持ちしましたのに」
「ミャミャ!」
「美桜もお揃いのパジャマとして着て頂くために、着心地に拘った私が着ていた……コホン! 体操服を、お持ちしましたわ」
「ミュミュウ?」
「欄音は撫子ちゃんに、うちのCMに出て貰えるか聞こうとしていたの」
「「「それ、良いアイデアですわ」」」
「ミャミュ!」
花達はそう言って、それぞれの鬱憤をオーガに弓を射って倒す事ではらしていた。
イベリスは、大きく成長した花の胸元で、撫子に対する四人の女子の欲望に驚いていた。
そして四人の事を花は信じているが、偶然出会ったと言うのは四人の嘘である事を知った。
「ミャウミャウミュウ」
「イベリスちゃん、どうしたの? 花、イベリスちゃんの言葉はよく分からないよ? それに、動くと擽ったいよ?」
「ミィー……」
「イベリスちゃん、良い子ね。花の胸元で、じっとしていてね。花は、オーガ倒していくから」
そして花がイベリスと話しながら、ケーキ屋の近辺でオーガを倒しているのに対し、四人の女の子達は憂さ晴らしでオーガを倒していた為、花と連携している距離がどんどん離れていったのである。
花達の前にスケルトンナイトが二十体居たのだが、それぞれを守護する為、花の前には四体だけとなっていた。
「あれ? 誰も、いなくなってる。おーい、百合愛ちゃーん。おーい、椿来ちゃーん。おーい、美桜ちゃーん。おーい、欄音ちゃーん。うう……花一人になっちゃった。皆、どこに行ったのかな?」
「ミュウミュウ」
「イベリスちゃん、モゾモゾしても分からないよ? それに、ここのオーガ弱いし、飽きちゃった」
私はイベリスと四体のスケルトンナイトと共に、皆を探しながら薺君がいた拠点に戻ることにした。
拠点に戻ってくると、四人の姿も薺君の姿も無かった。
四人が矢を補充しに来たと思っていたのに、違っていたようだ。
「ねー、薺君は?」
拠点近くに、矢を補充していた男性が居たので聞いてみることにした。
「薺? あー、隊長さんの事か。青い隻眼のオーガを倒すだとかで、近衛騎士達を引き連れてトラックでどこかに行ったぞ」
そう言って、西の方を指さした。
すると、別の男性が自身の口に指を当てた。
「しぃー! お前、その話はするなと言われただろ!」
「いやー、お嬢ちゃん。今の話は、聞かなかった事にしてくれるかい?」
男性が申し訳なさそうに頭を掻いたので、私は頷いた。
「うん。花、聞いてないよ。だから、心配しないでね」
そう言って、私は持てるだけの矢を矢筒に入れて背負った。
これは、花達の出番だね。
普通のオーガは飽きたし、花達の部隊に丁度良いよね。
こうして花は、四人を捜し出し薺の後を追う事にしたのである。
※ ◇ ※
【朝熊SIDE】
薺に言われて、来てみたが……なぜ、女子は皆して別行動するんだ?
前衛にスケルトンナイトが居るとはいえ、分断すると守り切れなくなるぞ。
ほら、見ろ!
倒しても倒しても、急に姿を現すオーガに、分断したスケルトンナイト四体では守り切れなくなってきた。
盾特化型の能力には、敵に対して敵対心向上大が有り、敵を簡単に引きつける事が出来る。
しかも剣士ではまだスキルが無いのに対し、盾を使った特殊なスキルが有るのだ。
特殊なスキルとは、相手の攻撃を受けた時に、相手の攻撃を反射し5秒間麻痺させる能力。
確率は二分の一だが、多くの敵を前にすると確率が微調整され向上する。
つまり、遠距離特化の彼女達には相性が良いのだ。
そして、影ながら見守る筈が結局四人の女子を助ける事になった。
しかも四人を助けている間に、藤野さんがどこかに行ってしまった。
薺の言っていた通り、それぞれが突っ走るな……。
でも、あれで仲が良いと言うのがよく分からない。
これが、男と女の差か……。
それより、藤野さんはどこだ?
……ふー、やれやれ。
「やっと、見つけた」
藤野さんは、拠点へ矢を補充しに来ていたのか。
「はっ!」
藤野さんの胸が、動いているだと?
何だ、イベリスか……羨ましい。
藤野さんは中学生になり、胸が急成長したからな。
しかも幼い顔と背の低に、胸の大きさとのギャップが男心を擽って、藤野さんを狙っている同級生が増えたと聞く。
花楓院 撫子様は、我らの崇高なる姫君。
そして、姫君の親友である藤野さん。
早く、藤野さんに告白した方が良いだろうか?
いかん、いかん。
俺は、薺に言われて藤野さん達を影ながら守りに来たんだ。
自身の考えと格闘していると、藤野さんが四人の女子と合流した。
で、なぜ大人と話をしている?
マイクロバス? 何の話だ?
藤野さん達を見ていると、マイクロバスにスケルトンナイト達が乗り込んだ。
そして、藤野さん達も乗り込んだ。
嫌な、予感がする。
そう思っていると、マイクロバスが動き出した。
「嘘だろ?」
こうして朝熊は、慌ててマイクロバスの後ろの梯子に飛び乗ったのである。
※ ◇ ※
【薺SIDE】
ここまで来るのに、オーガを百体ほど倒した。
青い隻眼のオーガが居る場所に近づくにつれ、道路や家屋が破壊されていた。
その為、僕達は迂回しながらの移動を余儀なくされた。
ヘイズスターバースト達の様に、体力を無視した移動で有れば直進出来た。
しかし、補給物資と近衛騎士達の体力を考えると、大型トラックでの移動しか選択肢が無かった。
それに大型トラックの荷台は、重機さえも載せることが出来る耐久性がある。
大型トラックで陣を組めば、補充が出来る拠点として使えるのだ。
荷台に近衛騎士達を二十人乗せ目的地に向かっていると、四台のうち一台のトラックがパンクした。
一台を残して行くわけにもいかず、近くに有った車の店から道具を拝借し、運転手さん達がパンクの修理をしてくれた。
そして出発しようとすると、周りを警戒していた近衛騎士からマイクロバスを見たとの報告が入った。
そのマイクロバスは、僕達とは違う迂回経路で西に向かっていたらしい。
僕の中で一瞬、花ちゃん達の顔が過った。
いや、花ちゃん達には朝熊を付けている。
……だが、嫌な予感がする。
こんな時の為に、向日葵様のアプリを親衛隊達全てのスマホに入れていて正解だった。
閉鎖された結界の中で、唯一使える通信手段だからな。
このアプリは、騎士達を呼び寄せる時にも使用した重要なアプリだった。
スマホのアプリを立ち上げ朝熊に連絡すると、荒い息遣いと走行中の音が聞こえてきた。
「ハーハー。……薺、悪い」
すると、朝熊が謝ってきた。
どうやら現在、花ちゃん達はマイクロバスに乗り込んで青い隻眼のオーガが居る場所に向かっているらしい。
朝熊はマイクロバスの後方に有る、梯子にぶら下がって花ちゃん達の行動を見ているようだ。
あちらも途中でオーガに襲われたが、花ちゃん達が射る矢で瞬時に倒し、止まることなく進んで来たようだ。
「不味いな。僕達の方は、途中でトラックがパンクして今から向かうところだ」
「嘘だろ? クソッ! 嫌な予感が、当たってしまった」
「朝熊、花ちゃん達をたのむ」
「分かった。任せろ!」
朝熊との通信を終了すると、再び目的地へ向かう薺率いる近衛騎士達であった。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。




