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ドラゴンゾンビの、宝石という弱点が丸見えです。
それに鎮火を待っていたお陰で、再召喚も可能となった。
ヘイズスターバーストと姫立金花を呼び出すと、幸いなことに、どちらも虚空の猫足がかかっていた。
召喚すると、召喚者の付与も引き継ぐようです。
二体召喚した事で私のMPが残り22になりましたが、戦力が増えたので問題はない。
姫立金花はLV50を越えたことで、召喚時にMPを必要となったようです。
恐らく、MP共有では無くなったからだと思います。
ですが、幸い姫立金花の召喚時のMPが30でしたので助かった。
それに、レベルが上がった事で私のMP自然回復量が増えたので回復も早いと思う。
「ほう。こやつ、主がおらぬ状況で我らと同じ考えにたどり着いたか。だが、残念だったな。もう、同族はおらぬ。つまり、進化はそれまでだ」
ヘイズスターバーストは、武王となった元王子を中心とした国の集合体。
中には国の宰相だった者も含まれているので、言葉の一部が古風な話し方になる事があるのだそうです。
私が宝石のことを話すと、進化した事で弱点ではなくなり、今は只の飾りなのだそうです。
恐らく、ヒュドラゾンビの中で最強の王として着飾っているのだろうと言っていた。
ですので、名を言い換えるのなら十個の核を持つドラゴンゾンビでは無く、ヒュドラゾンビキングなのだそうです。
しかも十個の核は全体に浸透してしまったので、重大なダメージを負わない限り消費しないのだそうです。
「倒せるのでしょうか?」
この巨体に対して重大なダメージを負わせるのは、核を破壊するよりも困難。
ヘイズスターバーストを召喚出来たとは言え、体格差が有りすぎる。
「撫子姫と薺殿、そして我らあやかしの能力を駆使すればといっておこう」
ヘイズスターバーストによれば、MPを300~800使用し超巨神化すれば、30m~80mの大きさになれるそうです。
その状態で、技を使用すれば四回は倒す事が可能だそうです。
ですがMPを使い切る可能性が高いので、再び私の中で眠る事になるだろうと言っていた。
イベリスは切り札として、MPを400使用し4秒間だけ神格化できるそうです。
ですが重大なダメージを与えるには、巨大化しなければならない。
巨大化するのにMPを100使用するので、技を一撃喰らわせたと同時に、私の中に戻ってしまうと言っていた。
姫立金花もイベリスの様に、切り札としてMPを400使用し4秒間神格化出来るそうです。
ですが、重大なダメージを与えるには雷の裁きを使用しなくてはならないそうです。
雷の裁きはMPを250使用する事になるので、一撃で限界だと言っていた。
つまり、あやかし達の力を借りれば六回倒す事が出来る。
ですが、残り四回を私と薺君で倒せるとは思えません。
因みに、ヘイズスターバーストのHPは4005でMPは1305、姫立金花のHPは531でMPは783、イベリスのHPは801で最大値522のうち残りMPは122です。
薺君と話し合うと、武器に全属性を付与し、水の障壁を水の衣のようにして二重に張った後、MPが最大値になってから、ヒュドラゾンビキングと戦う事になった。
薺君は、技を連続しようし畳み掛けると言っていました。
ただ、虚空の猫足を使用しなくては逃げる事も不可能となります。
つまりイベリスを除いた私達で、何回ヒュドラゾンビキングを倒せるかです。
MPを回復している間、様子を窺っているとヒュドラゾンビキングに動きが有った。
「奴め、同族が居ないと分かってやっと進化した姿となったか」
ヘイズスターバーストに指摘され見てみると、元の首を中心に八本の首が生えてきた。
しかも八本の首は、先ほどとは違い、真ん中の首に従っているようです。
「剣が……」
それだけでなく、背に刺さっていた剣が抜けてしまいました。
折角、スケルトングラディエーター達が刺してくれた剣なのに……。
ヘイズスターバーストに吸収されたスケルトン達の事を聞いてみると、腕輪の中にいるそうです。
呼び出そうとすると、例え呼び出したとしても戦力にならないし、MPを100消費してしまうのでお勧めできないと言われた。
先陣を切るのは、薺君です。
技が通じるか、試してみたいそうです。
もし通じなければ、私が遠距離から清水の激流を二発放ち、イベリスが虚空の猫足を使用し、薺君と私を救出する手筈になっている。
「薺君、気をつけて下さい」
「姫、行ってきます」
薺君がそう言うと、天井から虚空の猫足の状態でゆっくり近づいた。
解除して飛び降りると、ヒュドラゾンビキングに気づかれるからです。
薺君は、ヒュドラゾンビキングの背中近くまで来ると武器を構えた。
「【二刀流残像四閃 連斬乱舞!】」
その瞬間、残像が目まぐるしく動き回りました。
それは、ヒュドラゾンビキングの攻撃を回避するためです。
薺君が技を放つ度に、ヒュドラゾンビキングの尻尾と首が襲いかかる。
ですが、技の切れが以前にも増している薺君に当たりません。
どうやら、瞬歩を織り交ぜて躱しつつ技を放っているようです。
夢幻から始まり、暁月、破月、鏡花水月、流星雨、月華の舞と繰り返される連斬の嵐。
ヒュドラゾンビキングの背中が、広範囲に削れ切り裂かれていった。
「ほー、これはこれは」
ヘイズスターバーストが感心するように、薺君の技が凄まじく、あっと言う間にヒュドラゾンビキングの胸部まで大きく風穴が空いた。
しかし薺君が着地した瞬間、一瞬で穴が塞がった。
清水の激流では、間に合わない。
そう思った瞬間、ヘイズスターバーストが巨大化し、ヒュドラゾンビキングの背を蹴りつけていた。
ヒュドラゾンビキングが吹き飛ぶと、ヘイズスターバーストを中心に骨が更に集まり、着地と同時に地揺れが発生すると超巨神化した。
「ヒュドラゾンビキング、武王骨神の真の姿、篤と味わえ!」
ヘイズスターバーストのMPを見ると、800減っていた。
「薺君!」
私が叫ぶと、既にイベリスが薺君を救出しに行ってくれていた。
ですがまさか、ヒュドラゾンビキングの核を使った再生が、これ程早いとは思いませんでした。
瞬きした瞬間には元に戻り、薺君を喰らおうとしていたのです。
あやかし達の咄嗟の判断で、薺君は元より、私も救われました。
もしも薺君が食べられていたら、私は正常な判断が出来なかったと思う。
ですがもう、後には引けません。
ヘイズスターバーストもそれを承知で、最大の大きさになったようです。
「ヘイズスターバースト、済まない」
薺君が謝ると、ヘイズスターバーストが左手を上げた。
「そんなことは、気にするな。それより薺殿、撫子姫の事を頼む」
そう言うと、壁まで吹き飛んだヒュドラゾンビキングに、地響きを上げて駆け出した。
今の体格差は、ヘイズスターバーストの方が上です。
ですが、80mの大きさを維持するにはMPを5づつ消費していくようです。
1305あったMPが505となり、少しずつ減少して行っています。
技のMP消費を考えると、時間もありません。
ヒュドラゾンビキングの核は、まだ九つ有ります。
手数の少ない私達は、どう対処するか……。
ヘイズスターバーストは言いませんでしたが、私の清水の激流では威力不足で戦力にはならない。
せめて、ブルーローズくらい威力が有れば私も戦力になるのですが……。
「姫、大丈夫ですか?」
能力について、考えていると薺君が声をかけてきた。
「薺君……ドラゴンとは、ここまで核を持っているものなのでしょうか?」
「いえ、恐らくこのヒュドラゾンビキングが異質なのだと思います」
薺君曰く、ヒュドラとは本来中心の首が不死の存在とされている説が多い、伝説的な存在なのだそうです。
つまり、ゾンビと言う時点で黒衣の王が作り出した紛い物だという事。
ですので、私達の力を合わせれば必ず倒せるというのです。
二人で話していると、吹き飛ばされていたヒュドラゾンビキングが大きく口を開け、巨大な氷弾をヘイズスターバーストに吐いてきた。
「馳せろ、武王剣!」
それを、ヘイズスターバーストは大剣で叩き切った。
すると、辺りに異常な爆風が起こった。
巨体同士が戦うと、まるで辺りに爆風の嵐が起こっているように感じられます。
ヒュドラゾンビキングに肉薄すると、ヘイズスターバーストはMPを30消費し技を使用した。
「【虚空斬!】」
ヒュドラゾンビキングの胴が真っ二つに分かれると、再び超再生を使用し胴がくっ付いた。
しかしヒュドラゾンビキングも負けてはおらず、切り裂かれ胴がくっ付いた瞬間、尻尾を振るってヘイズスターバーストに襲いかかる。
それをジャンプで躱すと、ヘイズスターバーストの身体がオーラを纏った。
「喰らえ【帚星!】」
そして、MPを35使用し流星の様な下突きがヒュドラゾンビキングに突き刺さった。
その瞬間砂煙を上げ、ヒュドラゾンビキングが地面ごと陥没し背に巨大な風穴が空いた。
ヘイズスターバーストは後方に翻ると、再びヒュドラゾンビキングが超再生した。
ヒュドラゾンビキングの三首が大きく口を開くと、火弾、地弾に加え、暴風のブレスを吐いてきた。
ヘイズスターバーストに属性攻撃の殆どは効果が有りませんが、物理的な固まりはどうしても切り裂くか避けなければ、ダメージを受けてしまう。
それを知っているのか、ヒュドラゾンビキングは属性に加えた、物理的なダメージを喰らう攻撃を仕掛けてくる。
しかも今回はそれに加えて、動きを妨げる暴風のブレスまで吐いてきた。
炎弾と地弾を、ヘイズスターバーストは切り裂きました。
ですが暴風のブレスで、近づく事が困難となっていた。
「くっ! 時間稼ぎか」
ヘイズスターバーストの呟きを聞いて、ヒュドラゾンビキングが笑みを浮かべたように見えた。
すると、残りのヒュドラゾンビキングの首が大きく口を開けた。
その時、姫立金花のMPが400消費された。
「シュー、シャー!」
そして異常なまでの雷が放たれ、ヘイズスターバーストを避け、ヒュドラゾンビキングを襲った。
姫立金花が神格化して、【雷の裁き】を行ったようです。
すると、ヒュドラゾンビキングは炭化した。
「姫立金花、助かった」
ヘイズスターバーストが姫立金花にお礼を言うと、その間に立て直した。
しかしヒュドラゾンビキングは、炭化した身体が砕け散ると超再生した。
「姫立金花、ありがとう」
私がお礼を伝えると、姫立金花が頬ずりしてきた。
ですが、神格化したことでMPが持続的に消費され、暫くすると私の中に戻ってしまった。
ヘイズスターバーストは、姫立金花が作ってくれた隙を利用し、ヒュドラゾンビキングに肉薄、そして下に大剣を構えると剣が赤白くなった。
「武王骨神流奥義! 【赫焉の迅雷!】」
その瞬間MPを80使用し、超巨神化したとは思えない程の斬撃がヒュドラゾンビキングを襲う。
ヒュドラゾンビキングは、それでも超再生しようとする。
ヘイズスターバーストの技が勝つか、ヒュドラゾンビキングの超再生が勝つか……。
ですが、MPの持続消費も5から10になり激しい事が分かりました。
赫焉の迅雷を使用して、恐らく三つの核は破壊できたと思います。
ですがこの技はMPだけで無く、ヘイズスターバーストのHPを使用するようです。
HPが4005から、3005になっていた。
ですがヘイズスターバーストは、更に畳み掛ける。
ヒュドラゾンビキングを蹴り上げると、更に腰を低くした。
「鈞天、蒼天、昊天、炎天、玄天、変天、幽天、朱天、陽天!」
そして、言葉を発しながらヒュドラゾンビキングを突き刺して行き更に空中に上げた。
すると、ヘイズスターバーストのHPが3005から1005まで落ちていた。
恐らく、この技もHPを使用するもののようです。
それでも尚、ヒュドラゾンビキングは超再生を繰り返す。
「武王骨神流奥義! 【九天斬!】」
刹那、MPを100使用し突き刺した場所を起点に、ヒュドラゾンビキングをバラバラに切り裂いた。
僅か数十秒の間に、辺りは爆心地の様になっていた。
イベリスの虚空の猫足がなければ、私と薺君は只では済まなかったと思う。
しかし、残り一つの核を使用してヒュドラゾンビキングは超再生した。
その瞬間、ヘイズスターバーストの鎧が私の腕輪に吸収されていった。
薺君のMPは、まだ完全回復していません。
もしもの事を考えると、イベリスに神格化させるわけにもいきません。
「撫子姫、心配はいらぬ。我ら同様、神格化している者が来た」
すると、ヘイズスターバーストが少しずつ消えていく中話してきた。
「奴に任せ、我らは姫立金花と共に休ませてもらう」
「ヘイズスターバースト、ありがとうございます」
お礼を言って入口を見ると、小さくなったブルーローズが飛んで来ていた。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。




