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なぜ黒衣の王は、魔法陣を操れているの?
掲げる杖を見ると、宝石が周りに鏤められており、杖の頭部に大きな赤い石が嵌まっていた。
魔法陣の周りに有る、赤い石と同じ。
あれで、ゾンビを操っているのか。
「黒衣の王の正体は、悪魔と契約し厄災の石を作り出して、近隣の国々を滅ぼした元錬金術師。
そして自ら不死者となり、ゾンビだけを好んで率いる赤眼のゾンビ、アルケミストキングだ」
黒衣の王の杖を見ていると、腕輪が念話では無く言葉で話してきた。
どうやら腕輪が言葉を使用すると、私のMPを使うので遠慮していたようです。
確かに、今のでMPを36使用したのでMPが241から205になっていた。
ですがMPを見て、自身のレベルが48になってる事に気がついた。
「姫、今のは?」
「今のは、腕輪の声です。それと、魔法にも注意するよう言っていました」
他にも、黒衣の王の情報を教えてくれた。
黒衣の王は、不死者となり錬金術を追い求めていく内に、ゾンビクリエイターの石を作りだした。
そしてゾンビを使役し、新たなゾンビを作り出していった事で、ゾンビの王となり闇魔法を使用出来るようになったそうです。
薺君にレベルが上がった事を伝えると、薺君もLV48になっていた。
二人ともレベルが上がった事は良いのですが、周りのゾンビが黒衣の王の命令で、ジワジワと私達に近づいてきた。
ここで、姫立金花の雷を使用すると一気に全方位から襲われそうです。
かと言って雷の豪雨では、これだけ広い場所のゾンビを、全て倒す事は出来ない。
私は覚悟を決め雷の豪雨を放とうとすると、下りてきた道にスケルトンの集団が現れた。
まさか、新手の援軍?
そう思って雷の豪雨を放とうとすると、腕輪が「撫子姫、待て! スケルトンは、我が援軍だ。弱いゾンビは、任せろ」と言った。
まさかの援軍に、ホッとして薺君の顔を見ると、スケルトンが援軍として来ている事は分かっていたようです。
「滅ぼした国の骨共が、調子に乗るな! 行け、グレートゾンビ!」
すると、黒衣の王が混合された巨大ゾンビに命令を下した。
そして後方でゾンビとスケルトンが応戦しだすと、グレートゾンビは足下のゾンビを踏み潰しながら突進してきた。
「姫立金花、お願い」
グレートゾンビに雷を連続で落としても、気にせず突進してくる。
耐久力が高すぎて、単発では無駄のようです。
MPを100使用し清水の激流を放つと、両腕で防がれ浄化したものの、気にせずに突っ込んで来た。
残りMP115で、もう一度清水の激流を放つべきか?
ですが残りのMPを考えると、清水の激流を連発する事は出来ません。
自然回復してはいっているものの、不測の事態にも備えなくてはならない。
薺君は、技を放つ体勢を取ってグレートゾンビを待ち構えていた。
「薺君……」
「姫は、僕が必ず守る」
もう、薺君の技に賭けるしかありません。
ですがその時、地揺れと地響きと共に何かが近づいて来た。
そしてグレートゾンビが口を開け襲いかかって来た瞬間、二体のスケルトングラディエーターがグレートゾンビの首をたたき切ったのです。
グレートゾンビがその場で倒れると、地揺れと地響きが起き、前を覆い尽くしていたゾンビが潰れた。
薺君と二人で顔を見合わせると、腕輪が「我が同胞だ」と言った。
その事を伝えていると、二体のスケルトングラディエーターが、黒衣の王にグレートゾンビを投げつけた。
しかし、黒衣の王は黒い障壁を張り防いだ。
黒衣の王が杖を掲げると、周りのゾンビがグレートゾンビに群がりだした。
すると、グレートゾンビが群がったゾンビを吸収し再生。
しかも、魔法陣から吸収した数のゾンビが這い出てきたのだ。
「姫、やはり魔法陣を破壊しなければ……」
「そのようですね」
薺君と話していると、再生したグレートゾンビが二体のスケルトングラディエーターと戦い始めた。
二体のスケルトングラディエーターはかなり強いようですが、切り裂いても周りのゾンビを取り込み再生するグレートゾンビと拮抗状態となった。
後方のゾンビの数と、スケルトンの数はスケルトンが優勢でした。
しかし魔法陣から復活するゾンビに対し、スケルトンの軍勢は次第に劣勢状態となっていった。
MPの少ない雷や水弾を黒衣の王に放っても、黒い障壁や他のゾンビが身を挺して守ってしまう。
かと言って、広範囲の雷の豪雨は味方となっているスケルトンを巻き込んでしまう。
薺君とイベリスに前衛を任せ、黒衣の王にたどり着いたとしても、技を使用して突き進む事になるので薺君が大技を放つ為のMPが持つかは微妙なのです。
私達が迷っていると、黒衣の王が再び杖を掲げた。
すると、魔法陣から今度は三面の顔を持つ六手二足のゾンビが現れた。
どうやら黒衣の王は、ゾンビであれば異種を作れるようだ。
その時、私のMPが最大値になった。
向かってくる三面の顔を持つ六手二足のゾンビに、雷を放とうとすると、腕輪が「阿修羅ゾンビとは……だが、頃合いか」と言った。
そして私に、MPを209使用して良いか聞いてきたのです。
MPをそんなに使用されてしまうと、清水の激流を放てなくなってしまう。
つまり、もしもの時の逃げ道が断たれてしまうのです。
「姫、僕が引きつけます。お考えが有るのでしたら、その内にお願いします」
私が腕輪の方を見ていると、薺君がそう言ってゾンビを切り倒しながら、三面の顔を持つ六手二足のゾンビに向かっていった。
薺君がゾンビを切り倒す度に、MPが減っていく。
ですが、私に考える時間をくれました。
腕輪に何に使用するか確認すると、倒された200体の同胞とMPを使用し、破壊の力を持つ「キングリースケルトン」となると言いだした。
しかもその力を手にすれば、この状況を覆すだけでなく、単体でも黒衣の王と張り合えると言うのです。
俄に信じられませんでしたが、話を聞いていくうちに内容が分かってきた。
腕輪が言うには、黒衣の王を倒すには最強のスケルトンを作り出さねばならなかったそうです。
その過程で何度もスケルトン達にゾンビを倒させ、自身達の核の一部を埋め込み同胞にした。
そして、スケルトンの蠱毒を考えついた。
蠱毒を繰り返した事で、強力なスケルトングラディエーターが二体誕生した。
しかしこれでは、闇の魔法を使用する黒衣の王を倒せない。
そう考え、更に蠱毒を繰り返した。
そして、聖属性魔法と物理攻撃以外は効果が無い、武の頂点を極めたスケルトンへの道が開けた。
その時、私との運命的な出会いをしたと言うのです。
ですが、もう考えている暇は有りません。
薺君のMPが、少なくなってきました。
「薺君!」
薺君を呼び戻すと、腕輪にMPを使用しても良い旨を伝えた。
すると「感謝する」と言って、輝いた。
「同胞よ、我に集え! 今こそ、黒衣の王を滅ぼすのだ!」
腕輪がそう言葉を発した瞬間、倒れたスケルトンの骨が前方に集まって来た。
同時に、私のMPが241から32まで一気に減った。
そして集まった骨が魔力と合わさり、白銀に輝く鎧を身に纏い大剣を持った巨大なスケルトンとなったのです。
そして大剣を振るい、周りのゾンビを一瞬で切り裂いた。
そのスケルトンは体躯が20m位あるのですが、白銀の鎧で全て覆われていたので、スケルトンと言うより聖騎士に見えた。
ですが、腕輪に宿るスケルトンに名前がないと不便です。
実は先ほどから考えていたのですが、確かルチルクォーツにはフラワールチルクォーツというものが有ります。
別名をスターバーストと言い、紫陽花の中にもヘイズスターバーストという品種が有ります。
ヘイズスターバーストは、白く細やかな花弁が重なり、密集して八重咲くので、とても綺麗な花なのです。
「決めました。貴方達は、今からヘイズスターバーストです」
私がそう言うと、白銀の鎧を着たキングリースケルトンの目が白く光った。
「撫子姫、我らに名をくれたのか」
「はい、不便ですので……嫌だったですか?」
「いや、寧ろ嬉しい」
すると、ヘイズスターバーストの武の知識が流れ込んできた。
これは、ブルーローズに清水の理を教えて頂いた時と同じ。
すると私の背に、白銀の鞘に入った大剣が現れた。
「ほう。撫子姫は我らが進化した姿となると、武王骨神の力を持つことが出来るのか」
「そのようです。ですが、半減してしまうようです」
これも、ブルーローズの水神LV4と同じで、武王骨神LV4となっていました。
あやかし召喚士は、神格化したあやかしの能力であれば、認められ絆が繋がると使用出来るようです。
イベリスや姫立金花の場合は、お使い様の集中する能力で使用出来るようになる。
これは、大きな違いです。
「撫子姫、我らに黒衣の王を任せてもらっても良いか?」
ヘイズスターバーストが聞いてきたので薺君に確認すると、任せると言われた。
「では、お願いします」
「有りがたい。では参る。同胞よ、左へ飛んで躱せ!」
そう言って大剣を振り上げると、スケルトングラディエーター達が左へ飛んだ。
「【虚空斬!】」
その瞬間、大剣に白い光りが宿った。
すると、迫ってきていたグレートゾンビと阿修羅ゾンビが真っ二つになった。
再生するかと思われましたが、核を切り裂いたのか浄化され消滅。
そしてそのまま、白い斬撃が群がるゾンビを切り裂き、黒衣の王に迫ると宙に浮いて回避した。
すると黒衣の王が杖を掲げ、再び魔法陣からゾンビ達が溢れる様に這い出てきた。
「ほう、聖属性か。イベリスよ、助かる」
イベリスがいつの間にか、ヘイズスターバーストの大剣と、スケルトングラディエーター達の武器に聖属性を付与したようです。
「ミャウ!」
ヘイズスターバーストがイベリスに礼を言うと、黒衣の王を目指し地響きをあげて駆け出した。
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