表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/126

「薺君、どうしましょう?」



 あの二体のスケルトンを倒して、先に進むべきか。

 若しくは、魔法陣を優先するかです。

 ですが、魔法陣の場所が分かりません。

 イベリスと姫立金花は、瘴気が濃すぎて分からないと言っていました。



「姫、瘴気の渦巻く方を見て下さい。あちらから、ゾンビとスケルトンが出てきています」



 つまり、元凶は瘴気が渦巻く方だと言うことですね。

 私達は、瘴気が渦巻く下り坂を下りていくことにした。



        ※ ◇ ※



【ブルーローズSIDE】



 撫子達が異界の鍾乳洞に入る前、ブルーローズはゴーストを倒し続けていた。

 キャンピングカーに障壁を張れと撫子が言ったが、そこに居た女は強固な時空結界によって守られていた。

 時空結界は、時をも止める効果が有る。


 だが念の為、キャンピングカーに水の障壁を張った。

 撫子に、嫌われたくはないからな。

 しかし、ゴーストと言う物は貧弱すぎる。



「こうも弱いと、張り合いがない。我を脅かす物は、おらぬのか?」



 ただ向かってくるだけのゴーストを前に、ブルーローズは愚痴を言っていた。

 すると十数体のゴーストが、湧き出た瘴気に吸収されたかと思うと、鎌を持った霊体に変化した。



「ほおー、ゴーストの上位種シックルレイスか」



 だがそれでは、我の清水(セイスイ)の雨で事足りる。

 辺りに浄化の雨を降らせると、数千体のシックルレイスは消滅していった。

 しかし、瘴気が再び漏れ出てきた。

 新たに湧き出てきた瘴気がシックルレイスとなり、数十体が濃度の高い瘴気に吸収され人型を形成した。



「スペクターキングとは、なかなかどうして」



 だが、それでは我は止められんぞ。

 撫子のレベルが46に上がり、我のレベルも上がってMPが2310となった。

 何百、何千来ようとも、討ち滅ぼしてくれる。

 清水(セイスイ)のブレスを吐こうとすると、空中で数百体のスペクターキングが集合しだした。

 奇っ怪な。王同士は、群れぬ存在だ。何故に、群れる? 



「……何? レギオン化だと?」



 霊体の中でも個体として力を有するスペクターキングが、集合体となるなど有り得ん。

 だが現に、集合体となった。

 名を付けるとすると、レギオンエンペラーか。



「「「「「「「「「グギャー!」」」」」」」」」



 集合体のレギオンエンペラーが、咆哮をあげた。

 そして、瘴気を集め出した。



「我に匹敵するか、試して進ぜよう」



 清水(セイスイ)のブレスを放つと、瘴気を吐かれ清水(セイスイ)が地に落とされた。

 我より、レベルが上か……だが、弱点は変わらぬ。

 再び清水(セイスイ)のブレスを放とうとすると、湧き出る瘴気を地下から吸い寄せ瘴気の固まりを放ってきた。



「むっ! 我より早い」



 こちらも清水(セイスイ)のブレスを放つと、打ち消し有ったが瘴気が少し降りかかった。

 奴が放つ瘴気は、瘴気毒が有るようで、我の鱗が腐食した。



「【癒やしの清水(セイスイ)!】」



 鱗の腐食を浄化して回復させると、奴は連続で瘴気を放ってきた。

 上に飛んで回避すると、天狗岩と呼ばれる物が腐食した。

 回避すれば、大地が腐食。

 やはり海水を使用する他、手は無いようだ。



「【海水陣!】」



 多量な海水で円陣を組むのだが、海まで少し距離が有るので暫し時間がかかる。

 だが我には、周りにも豊富な水源が有る。

 この国は、水の豊かな地だ。

 レベル差があろうと、水が有れば関係はない。



「【清水(セイスイ)竜巻!】」



 浄化の清水(セイスイ)が渦巻く竜巻を取り囲む様に発生させると、奴は地下から瘴気を吸い寄せた。



「瘴気で、身を守ったか」



 巨大な清水(セイスイ)の竜巻を放つと、奴の瘴気が拡散された。

 しかし奴は、再び瘴気を地下より吸い寄せた。

 我の水と、張り合うようだ。



「我の水と其方の瘴気、どちらが尽きるか勝負!」



 奴との激しい戦いが始まると、(オビタダ)しい瘴気が上空に舞い散った。

 その舞い散った瘴気が、結界に阻まれていた。

 しかし、あのままでは不味い。

 新たな物が生まれる前に、結界の最上部に清水(セイスイ)の玉を放つことにした。



「浄化の清水(セイスイ)よ、球体となり天の瘴気を浄化せよ!」



 結界近くに有る拡散された瘴気に浄化の水弾を放っていると、奴が瘴気を纏って突進して来た。



「「「「「「「「「グギャギャー!」」」」」」」」」

「【五重の清水(セイスイ)障壁!】」



 天の瘴気を浄化しつつ水の障壁を張ったが、奴は四枚の障壁を破壊し止まった。

 いや、瘴気を補充出来る場所から離れなかっただけ。

 そう思った瞬間、奴は溜めていた瘴気を爆発的に放った。



「ぐっ!」



 最後の障壁が破壊された瞬間、激痛が走り腐食の瘴気が纏わり付いた。

 2370あったHPが一気に370まで減ったが、こちらも罠を仕掛けていたのだ。



「海水陣、解放! 【浄化の大津波!】」



 浄化の大津波をまともに喰らったレギオンエンペラーは、瘴気諸共消え去った。

 その瞬間、我のレベルが47となった。

 我のレベルが上がったのなら、撫子も上がった筈だ。

 再び次のレギオンエンペラーを警戒し、海水陣を呼び寄せていると、瘴気の発生が穏やかになった。



「異界の門を、清水(セイスイ)の障壁で塞いだか。だが、少し甘い」



 まあ、良い。

 撫子が、おこなったのであろう。



「ふっ、ふははは!」



 久々に、(タギ)る戦いであった。

 こうした戦いは、凶悪な鬼共と戦った時以来だ。

 レギオンエンペラーよ、良き戦いであった。

 礼を言う。


 そう言えば、撫子に伝えた方が良いだろうか? 

 風神の祠に、大天狗の羽団扇が有ったことを……。

 まあそれは我と同じ様に、あの方が撫子を導くであろう。

 こうしてブルーローズは、再び弱いゴーストを倒し続けるのであった。



        ※ ◇ ※



【撫子SIDE】




 瘴気の渦巻く坂を下りていくと、何体もゾンビとスケルトンが現れた。

 このゾンビとスケルトンを倒していけば、少しは上の瘴気の発生を抑えられる。

 私達は下りる度に、増えていくゾンビとスケルトンを倒し続けた。

 倒し続けて坂道を下っていくと、黄色い靄が立ち込め、小さな水溜まりが所々有る広場に着いた。

 すると、イベリスがモゾモゾしだした。



「ミャオミャオ!」



 なぜか(クサ)いと言って、顔を私の谷間に押しつけた。



「イベリス、どうしたの?」



 イベリスの行動を不思議に思っていると、肩に乗っていた姫立金花(ヒメリユウキンカ)が前を向いて毛を逆立てた。



「シャー!」



 姫立金花が見つめる先を見ると、六体の双頭のゾンビが横一列にいた。

 そして、片方の口から黄色い息を吐いていた。

 私は外套のお陰で感じられませんが、鼻の良いイベリスには、あの黄色い息が(クサ)いようです。

 もう片方は、一定量の液体を時折吐き出していた。



「姫、新手のようです」



 薺君は、木刀と脇差しを構えた。

 そして飛び出そうとした瞬間、姫立金花が薺君の頭の上に乗って尻尾で眼を覆った。

 すると、薺君が足を止め姫立金花を抱き上げた。



「姫立金花、危ないよ?」

「キーキー!」

「薺君、姫立金花が待ってほしいと言っています」



 姫立金花に話を聞くと、双頭のゾンビの片方が吐いているあの息は、強烈な刺激臭を持つ神経系に作用する瘴気で、一息吸い込むと肺が焼け(タダ)れ、人なら1分足らずで死亡してしまうそうです。



「グゥグゥ、ギュ-ギュー」



 更に詳しく話を聞くと、もう片方の頭から出ているのは(ヨダレ)なのだそうです。

 その涎が皮膚に付くと、麻痺を起こし骨まで溶けてしまう恐ろしいもののようです。



「姫立金花、助かった。ありがとう」

「コッコッコ」



 薺君がお礼を言うと、姫立金花は嬉しそうに鳴いていました。

 黄色い瘴気が辺りに舞っているので、この外套が無ければ危ないところでした。

 もし双頭のゾンビが人の世界に出てしまうと、大変なことになってしまう。

 外套の能力で、双頭のゾンビの瘴気は防げますがあの涎が厄介です。


 しかも所々に有る水溜まりは、恐らくあのゾンビの涎。

 お使い様から頂いた靴が有るとは言え、もし撥ねて皮膚に付くと危険です。

 幸い六体のゾンビは足が遅いようで、こちらに気がつきましたがゆっくりと近づいて来るだけです。

 遠くから攻撃出来る手段を持つ私であれば、近づかれる前に攻撃出来ます。



「姫立金花、雷をお願い」

「グゥグゥ、ギュー」

「えっ? 可燃性の、ガス?」



 雷を放つと引火して、爆発するので放てないと言われた。

 でしたら、浄化の水を放てば問題は有りません。



「薺君、あのゾンビに清水(セイスイ)弾を放ちます」



 一体に清水(セイスイ)弾を放つと、当たる直前隣の一体が引っ張り、清水(セイスイ)弾を無理矢理躱させた。

 どうやら横一列に並んでいるのは、足の遅さを力でカバーするためのようです。

 連続で清水(セイスイ)弾を放つと、ゾンビが協力して引っ張り合い躱し続けた。

 異常な動きで予想ができず、清水(セイスイ)弾を幾つ放っても躱されてしまう。



「何だ、あの動き。姫、僕も協力します」



 薺君は、姫立金花を肩に乗せ直し駆け出しました。

 止まりそうになかったので、私は薺君の木刀と脇差しに清水(セイスイ)で出来たウォータージェットカッターを付与し、姫立金花に薺君を守るよう指示しました。



「姫、感謝します」



 薺君はそう言って、水溜まりを器用に避けつつ双頭のゾンビ達に攻撃を仕掛けた。

 外套に色々な耐性は有りますが、溶かす物に対する耐性が有るとは思えません。

 それに涎を浴びて溶かされると、HPが0になる前に癒やしの光りが間に合うかが分からないのです。


 薺君が木刀と脇差しを素早く振るうと、ゾンビは引っ張り合いをして躱していく、私がそこに清水(セイスイ)弾を放つのですが、別のゾンビが無理矢理引っ張り当たらない。

 薺君はゾンビの涎を木刀で切り裂き、躱していました。

 どうやら清水(セイスイ)のウォータージェットカッターが、涎を浄化しているようです。

 しかし、私達の攻撃も当たりません。



「「「「「「グギィ!」」」」」」



 その時、双頭のゾンビ達が咆哮を上げた。



「ミー!」



 そして、その瞬間イベリスが大きく鳴いた。



「上?」



 イベリスの叫びに上を見ると、天井からゾンビが多量に降ってきたのです。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ