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 次の依頼である【トイレを支配する者を討伐せよ】を手にすると、掲示板が消え急に螺旋状の上り階段と下り階段が有る場所に飛ばされました。

 これは、上と下どちらを進めば良いのでしょうか? 

 イベリスと姫立金花を見ると、どちらも首を傾げていました。



「ニーニー、ミュウ」

「キュキュ、グゥー」



 二匹とも上と下その両方から、気配を感じるそうです。

 しかも、上からは冷たく見下ろす男の子の視線で、下からは優しそうに見上げる女の子の視線だそうです。



「そうですか……」

「姫、二匹は何と言っているのですか?」



 薺君に二匹が言ったことを伝えると、支配者は上から見下ろす事が多いと言っていました。

 ですが、私は見上げる女の子の視線が気になったのです。



「薺君、私……」

「姫は、見上げる女の子の視線の方が気になるのですね」



 薺君は私が言い切る前に、私の気になる方へ行ってみる事を提案してきました。

 実は、私達の学校にもトイレに(マツ)わる七不思議が有ります。

 その物語の花恋(カレン)さんは、眼が悪く分厚い眼鏡をしていたのですが、物静かでとても優しく動物が好きな子でした。


 ですがある日の事、眼鏡が壊れてしまい仕方なくコンタクトレンズをして学校へ行ったのですが、その日を境に沢山の男の子達から話しかけられるようになりました。

 数日が過ぎ、特注していた眼鏡がやっと届いたので眼鏡をして学校へ行くと、それでも男の子達は毎日花恋(カレン)さんに話しかけて来ました。


 そしてある日の放課後、学校で特別人気が有った男の子から告白をされたのです。

 ですが、花恋(カレン)さんはその男の子の告白を断りました。

 実は、眼鏡が壊れる以前から花恋(カレン)さんには何かと親切にしてくれていた流花(ルカ)君と言う男の子が居たからです。


 ですがその日を境に、女の子達の執拗な(イジ)めが始まったのです。

 来る日も来る日も(イジ)められた花恋(カレン)さんでしたが、(クジ)けず毎日学校へ通いました。

 なぜなら、流花(ルカ)君も同じように男の子達から(イジ)めを受けていたからです。


 数日過ぎたある日の事、花恋(カレン)さんは女の子達にトイレへ連れて行かれ、いつもにも増して執拗な(イジ)めを受けました。

 そんな時、告白を断った男の子がトイレへ助けに来たのです。

 助けられた花恋(カレン)さんは、再びその男の子から告白をされたのですが再び断りました。


 (イジ)めとこの男の子に、繋がりが有ると直感したからです。

 次の日、流花(ルカ)君が学校のトイレで酷い怪我を負ったと聞きました。

 花恋(カレン)さんは居ても立っても居られなくなり、学校を飛び出して流花(ルカ)君が入院している病院へ向かったそうです。

 ですが運悪く、途中で交通事故に合い帰らぬ人となったのです。


 実は、その話には続きがあります。

 流花(ルカ)君はその事を病院で知ったのですが、不自由な身体(カラダ)を引きずって夜の学校へ行き、最上階のトイレで主犯の者の名を全て書き記し、病院へ帰る途中交通事故に合い帰らぬ人となったそうです。


 それ以降、学校の男子トイレと女子トイレで夜になると話し声が聞こえ、その声のお願いを否定すると交通事故にあうと言う話しです。

 私はその噂話が気になり、優しそうに見上げる女の子の視線が有る下へ降りることにしたのです。

 螺旋階段を降りて一番下までやって来ると、女子トイレの室名札(シツメイフダ)が有りました。

 そして近づくと、招くように扉が開かれたのです。



「姫、僕が先に入ります」



 薺君がそう言って先に女子トイレに入ると、なぜか外に出てきました。

 そして、私の顔を見て後ろを振り返りました。

 再び女子トイレに入ったのですが、また出てきたかと思うと、驚いた表情で私を見たのです。



「本当に、姫ですか?」



 薺君の言葉に、私は小首を傾けました。

 すると、イベリスと姫立金花も私の真似をするように小首を傾けました。

 そんな私達を見て、薺君は顎に手を添えたのです。



「薺君、どうしたのですか?」



 薺君に話を聞いてみると、入った瞬間送り出した私の元へ戻って来てしまうそうです。

 ですので、初めは幻を見せられたのかと思ってしまったそうです。

 ですが、私の表情とイベリス達のリンクする表情に本物だと確信したそうです。

 どうやら、薺君は女子トイレに入れないようです。

 今度は、私が入ってみることにしました。



「姫、念のためにイベリスと姫立金花も一緒に連れて行って下さい」

「はい」



 薺君に返事をし、イベリスと姫立金花を抱いて中へ入るとすんなり入れました。

 やはり、女子トイレだからでしょうか? 



「姫、入れたのですか?」

「はい、入れました」

「イベリス、姫立金花、姫を頼みます」

「ミャウ!」

「キュウ!」



 二匹が薺君に、任せてと返事をしていました。

 イベリスと姫立金花を抱きしめてトイレの奥まで入っていくと、レンズの無い眼鏡と髪飾りが置いて有りました。

 不思議に思いつつイベリス達を降ろして、レンズの無い眼鏡と髪飾りを手にすると「お願い、最上階まで私を連れて行って」と声が聞こえたのです。


 私は眼鏡と髪飾りをポケットにしまうと、女子トイレをイベリスと姫立金花を抱いて出てきました。

 薺君へ女子トイレでの出来事を話すと、私の意向に従うと言ってくれました。

 ですので私達は女の子の願いを聞き届け、最上階を目指すことにしたのです。



「姫、では上へ行きましょう」

「はい」



 薺君と一緒に螺旋階段を上り中間地点までやって来ると、急にポケットが光りました。

 ポケットから光っている眼鏡を取り出すと、手が勝手に動き眼鏡を装着していました。

 すると、透明な上り階段が中央の空間に見えたのです。

 どうやらこの眼がねを付けると、安全な道が見えるようです。

 先ほどの上り階段を見てみると、亀裂が入っており途中で崩れ落ちるようになっていました。



「キャッ! 薺君、それ以上進まないで下さい」



 薺君が階段を上がろうとしたので、思わず悲鳴を上げてしまいました。

 イベリスと姫立金花も、薺君の足を止めてくれました。



「姫、どうしました?」



 疑問に思う薺君に、上り階段の状態と眼鏡のことを伝えました。

 ですが、薺君は眼鏡を受け取ることが出来ないようです。

 やはりこの眼鏡は女子トイレと同じで、女性専用なのかもしれません。

 薺君の手を取り、イベリスと姫立金花を両肩に乗せて安全な道を進むと再び螺旋階段に着きました。

 ですが、少し進んだ先が今まで倒してきた魔物で作られた階段だったのです。



「魔物の階段……」

「姫、どこですか!」



 ですが、薺君には普通の階段にしか見えないそうです。

 このまま進むと、確実に魔物の大軍と戦闘になるばかりか、上るための道が無くなってしまします。

 どうしようかと考えていると、今度は髪飾りが光りました。


 そして髪飾りから「その髪飾りを付けると、魔物に襲われません。お連れの方は貴女と手を繋げば同じ効力を得ます」と再び女の子の声が聞こえてきたのです。

 髪飾りを付けて恐る恐る魔物の階段に足をかけると、女の子の言うとおり襲われませんでした。


 何百体いるか分からない魔物の螺旋階段を上がって行くと、最上階に扉が見えたのです。

 最上階まで上がっていき、扉を開けて中に入ると長い廊下が見えました。

 その最奥に、男子トイレの室名札(シツメイフダ)が見えたのです。

 すると、再び髪飾りが光りました。



「ここから先は、彼の忠実な下僕達がいます。下僕達は、私の考えを良く思っていません。ですが、私はどうしても彼と話しがしたいのです」



 それだけ言うと、髪飾りの光は悲しそうに消えていきました。



「姫、つまりここからは僕達が魔物を倒す他は無いという事です」



 薺君はそう言うと、木刀と脇差しを構えました。

 私もイベリスを下に降ろすと、懐剣を構えました。

 姫立金花も、私の胸元に入り準備完了したようです。


 私達は、廊下の最奥にある男子トイレの室名札(シツメイフダ)目指して走り出しました。

 走り出した瞬間、鎌を口に銜えた上半身だけの魔物が四体現れ襲いかかってきました。

 それを薺君とイベリスが向かいうち切り倒すと、後方から這いずる標本が二体襲いかかってきました。



「姫!」

「薺君、大丈夫です。先を、急ぎますよ」



 その標本を姫立金花と協力して倒し先に進むと、不気味に笑う肖像画が上から襲いかかってきました。



「眼を、瞑って! イベリス、お願い!」

「ミャウ!」



 薺君が眼と瞑ると、イベリスが肖像画を切り裂きました。

 姫立金花が胸元で、肖像画を倒したと伝えてきました。

 ですが、他の魔物が迫っていると知らせてきたので眼を開けると、前方から銅像が襲いかかって来る所でした。



「イベリス、銅像を切り裂いて! 薺君、もう大丈夫です」

「ミャウ……」



 イベリスに指示をしたのですが、銅像は思っている以上に硬くイベリスの攻撃を受けて後方へ下がりました。



「姫立金花、姫の後ろ!」

「キュ!」



 その間に私の後ろに這いずる標本が三体現れたようで、薺君が姫立金花に指示を出し、同時に前方の銅像を木刀と脇差しで切り裂いていました。



「シャー!」



 姫立金花が後方の這いずる標本を雷で倒すと、前方と後方に廊下を塞ぐような常闇の鏡が現れました。



「薺君、常闇の鏡は持ち手の柄が弱点です。イベリス、後ろをお願い!」

「ミャウ!」



 私の言葉を聞くと、薺君が前方の鏡の持ち手を破壊し、イベリスが後方の鏡を壊していました。

 ですが先に進むにつれて、魔物が現れる量と攻撃が激しくなってきました。



「グゥグゥー、ギュー」



 姫立金花が雷の豪雨を降らすと言って来たので、薺君に手を伸ばしました。



「薺君、手を繋いで下さい!」

「シューシュー、シャー!」



 薺君が振り向き私と手を繋ぎ、イベリスが私の足にしがみ付くと、姫立金花が毛を逆立たせ辺り一面に雷の豪雨を降らせ魔物を一掃しました。

 ですが、前方に現れた二体の鬼面武将が道を塞いでいたのです。



「最後は、鬼面武将か……イベリス、連携行くよ!」

「ミャウ、ミャウ!」



 イベリスが駆け出すと、二体の陣羽織を切り裂き後方回転して後ろへ下がりました。



「姫立金花、鬼面武将を雷で痺れさせて!」

「キュ!」



 透かさず、姫立金花が雷を落として鬼面武将を痺れさせました。



「【二刀流残像(ザンゾウ)四閃(シセン) 鏡花水月(キヨウカスイゲツ)!】」



 そして、同時に肉薄していた薺君が二体の鬼面武将を切り裂きました。

 すると、男子トイレの扉が開かれ鎖に巻き付かれた男の子が手を叩いていたのです。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

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