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 あれから数日間何事もなく過ごしてきた私は、スポーツテストも騒がれること無く無事に終了しました。

 ですがその日の放課後、教室を出た瞬間に誰も居なくなった事と外が暗くなった事に気づきました。


 同時に、薺君のHPとMPが左側に現れました。

 どうやら、私達は鍛錬の間へ再び導かれたようです。

 晴天だった外が暗くなっていたので、私は外の様子が気になり窓を開けて確認しようとしたのですが窓が開きませんでした。


 窓が開いている所が有ったので確認してみると、外は透明な壁で囲まれているようでした。

 暫く窓の側にいると、薺君が木刀を持って廊下を走ってやって来ました。



「姫、無事ですか?」



 薺君は木刀を持って、かなり警戒しているようです。

 道中、魔物に遭遇したのでしょうか? 



「はい。薺君、心配してくれてありがとうございます。それより、そんなに慌ててどうしたのですか?」

「この感じ、鍛錬の間だとは思うのですがいつもと雰囲気が違うのです。まるで、いきなり異質のダンジョンに飛ばされたような雰囲気です」



 薺君が言うには、今回メッセージカードの知らせが無かったそうです。

 二人で話をしていると、廊下の奥に変な影が見えました。

 ですが明らかに、先生や生徒ではありません。

 なぜなら、上半身しかない縫いぐるみだったからです。



「奇っ怪な……」



 薺君はそう言うと、一気に走り抜け木刀でその一体を倒しました。

 以前見た攻撃とは明らかに違い、剣の鋭さが増していました。

 そう言う私も、薺君の動きが追えるようになっていました。

 薺君が戻ってくると、隣の教室の扉にある小窓から中の様子を窺いました。



「姫、隣の教室に人型模型が五体います。他の教室にも恐らく何かが数体ずつ居るはずなので、教室ごとに倒しながら進みますね。仲間を呼ばれ、他の教室から出て来ると流石に二人では手に負えないと思いますので」

「はい、分かりました」



 薺君曰く、教室内の魔物は集団で動いているのでグループモンスターだと言っていました。

 ですので仲間を呼ばれる前に倒さなければ、危険な状態に陥る恐れが有るそうです。

 薺君は私に、腰を落とすように言いました。

 腰を落として、机と椅子に身を隠しながら近づき一気に人型模型を倒すようです。


 その際、一体を私に任せると言われました。

 今回は、私の事も戦力に入れてくれているようで嬉しいです。

 薺君を先頭に、教室の前扉をゆっくりと開けて中へ入り、扉を閉めて隠れながら近づいて行くと、薺君が四体の人型模型に仕掛けました。



「【残像(ザンゾウ)二閃(ニセン) 夢幻(ムゲン)!】」



 薺君が技名を言った瞬間、MPが64から62に減り、薺君の残像が一人ブレるように現れ、二体ずつ左右に別れた四体の人型模型を同時に切り裂きました。

 私も薺君とほぼ同時に仕掛け、少し離れていた位置に居た人型模型に、体当たりをし転倒したところに懐剣で止めを刺し倒すことができました。



「姫、お見事です」

「ありがとうございます。薺君も、格好良かったです」



 薺君は嬉しそうに微笑むと、技の事を教えてくれました。

 実は剣豪になった事で、剣豪の技を使用することが出来るようになったそうです。

 今の技は、残像が逆方向を切ってくれる剣豪の技のようです。


 レベルが上がった事で、私も下着の能力無しに動きが機敏になりました。

 ですが下着の能力も併用すると、更に動けそうです。

 教室の後ろ扉の鍵をかけ、前扉から一緒に出てくると、薺君が鍵の沢山付いた物をポケットから取り出しました。


 教室の前扉に鍵をかけ、魔物を倒した場所を区別し、同時に魔物が侵入しないようにしているそうです。

 私達の教室も、同じようにして鍵をかけました。

 薺君は先ほど、教室に戻る前に先生のお手伝いで機材運びをしていたそうです。


 その際鍛錬の間へ導かれたので、職員室のキーボックスから教室の鍵を拝借してきたそうです。

 それと、以前学校の校庭で鍛錬の間へ導かれた時は、校舎には入れなかったそうですが、校舎に導かれた時の為に、キーボックスの位置を把握していたそうです。


 この階にある教室の人型模型を倒すと、廊下に掲示板が現れました。

 そして、そこには七つの依頼書が貼られていたのです。

 依頼書を見てみると、パーティーによる討伐依頼でした。


 討伐依頼の一つ目は【這いずる標本を討伐せよ】で、二つ目は【廊下に潜む上半身だけの魔物を探し出し討伐せよ】で、三つ目は【光る肖像画と見つめる絵画を討伐せよ】で、四つ目は【動く銅像を討伐せよ】で、五つ目は【常闇の鏡を討伐せよ】で、六つ目は【落ち武者を討伐せよ】で、七つ目は【トイレを支配する者を討伐せよ】でした。


 まるで、学校の七不思議です。

 私達は、一つ目の依頼【這いずる標本を討伐せよ】を引き受けることにしました。

 標本と言えば、思い浮かぶのは理科室です。


 理科室に向かっていると、一つの小さな光りが浮遊しているのが見えました。

 光りは弱々しく浮遊していて、私にはそれが助けを求めているような気がしたのです。

 私がその光りを追っていると、薺君に止められました。



「姫、どうされたのですか?」

「弱々しい光りが、見えたのです」



 どうやらこの光りは、薺君には見えていないようです。

 ですが、その光りが私の足下まで来ると暖かく感じられ危険では無いと言っている気がしました。



「薺君、ごめんなさい。でも、この光りが助けを求めている気がするの」

「光りがですか?」



 薺君は顎に手をやり、少し考えました。

 そして頷くと、笑顔を向けてきました。



「導きの、光りかも知れません」



 薺君も以前、鍛錬の間で光りを見たそうです。

 その時、光りに導かれ付いていくと剣士の能力を手に入れたそうです。

 ですので、私の新たな能力かもしれないというのです。


 私達は、その光りに付いていく事にしました。

 光りを追いかけて歩いて行くと、先ほどまでとは場の雰囲気が変わり霧に包まれました。

 薺君が急に居なくなり心細かったですが、それでもその光りに付いていくと鳥居が現れたのです。


 その鳥居を潜ると、とても小さな祠が有りました。

 そしてその光りは、祠まで行くと消えたのです。

 小さな祠に近づくと、怪我をした白い子猫さんが気を失っていました。


 子猫さんに近づき、癒やしの光りで回復させると子猫さんが眼を覚ましました。

 その瞬間【あやかし召喚士LV1】という能力が、私に備わったのです。

 刹那、私は薺君の前に立っていました。


「姫、立ち止まられていましたが何か見えたのですか?」

「はい」



 私は返事をし、薺君に先ほど体験した不思議な事を伝えました。

 すると、薺君が召喚するよう言って来たのです。

 ですが、私は召喚方法を知りません。


 ただ、白く美しい子猫さんだった事を覚えています。

 そうですね、花で例えるなら白く美しい花を咲かせるイベリスのような……。

 私がそう思った瞬間、胸元が擽ったい気持ちになりました。



「イベリス、来なさい」



 そして、私は言葉を自然と発していたのです。

 すると、白い子猫を抱っこしていました。

 どうやら召喚方法は、私が付けた名を呼べば良いみたいです。



「ミュウ、ミュウ」



 イベリスが、肉球をフニフニと押しつけてきました。



「イベリス、降りたいのね」



 何となく、イベリスの言葉が理解出来ました。



「姫、白猫の言葉が分かるのですか?」



 薺君は驚いていましたが、恐らくこれもあやかし召喚士の能力なのでしょう。



「はい、何となく分かります」



 私がイベリスを下に降ろすと、足下に擦り寄った後廊下を歩き出しました。



「ミュウ」



 そして、振り返ると鳴きました。

 どうやらイベリスが、這いずる標本の元へ案内してくれるそうです。

 イベリスに付いていくと、階段を登ろうとしていました。

 ですが、理科室はそちらではありません。

 イベリスを抱き上げると、理科室の場所や色々な施設の位置が変更されていると言ってきました。



「薺君、理科室の場所だけで無く様々な物の位置が変わってしまったようです」



 そう言えば、先ほどからトイレや音楽室も見当たりません。

 どうやら、私達の知っている校舎内の知識は役に立たないようです。



「ミュウ」



 イベリスの案内で理科室に向かっていると、イベリスが肉球を押しつけて止まるように言って来ました。

 すると、少し先に理科室の室名札(シツメイフダ)があったのです。


 イベリスが、懐剣を触りたいようなので手元に持ってくると肉球で触れてきました。

 するとその瞬間、懐剣が白く輝きを放ちだしたのです。

 どうやら、校舎内にいる魔物は全て聖属性を付与している方が倒しやすいようです。



「薺君、イベリスが薺君の木刀にも聖属性を付与したいそうです」

「それは、有りがたい。姫、お願いします」



 薺君が、木刀を横に向けて私の胸元に差し出すとイベリスが木刀に肉球を押しつけていました。

 すると、私の懐剣のように木刀が白く輝きだしたのです。

 イベリスを下に降ろすと、イベリスが理科室の扉の前に行きました。

 薺君が中の様子を扉に付いている小窓から確認したのですが、真っ暗で何も見えないそうです。



「ミュウ」



 私達が腰を落として理科室の扉を開こうとすると、イベリスが小さく鳴きました、

 どうやら、扉の前に這いずる標本が居るようです。

 私達は、小声で話し合いました。



「姫、いつでもどうぞ」

「はい」



 タイミングを合わせて私が扉を開けると、薺君が一撃で這いずる標本を突き刺し倒す事が出来ました。

 倒した瞬間、廊下に掲示板が現れたのです。

 どうやらここでは、掲示板が有った場所まで戻らなくても良いようです。


 依頼書に向日葵の判子が押されていたので、報酬精算機に入れると、私と薺君の名前がそれぞれ書かれた袋が出てきました。

 その袋を確かめると、私のには二次元バーコードの紙と十枚のコインが入っていて、薺君の袋には十枚のコインが入っていました。


 薺君曰く、スマホにQRコードを読み取りアプリを入れるとコインが使用出来るようになるそうです。

 そして袋からコインを取り出すと、自動でスマホに収まるそうです。

 使用する時は、自動販売機の商品を選ぶだけで商品が出て来るそうです。


 薺君が自動販売機へ行くと、種類が増えていると言って喜んでいました。

 以前は、薺君の持つ木刀が一番高かったそうです。

 ですが新たに、木刀用の鍔と、鍔にはめ込む為の飾り石が増えていたそうです。


 薺君は、スマホに以前の報酬で貯めていたコインで木刀用の鍔を購入しました。

 そして木刀に付けてみると、私のようにMPが回復しだしたそうです。

 飾り石には攻撃力増加と防御力増加が有りましたが、どちらもコイン五百枚必要でしたので当分購入できそうも有りません。


 その他に、攻撃速度、魔法攻撃力、魔法攻撃速度、魔法防御力等の増加が有りましたが、それらは売り切れとなっていました。

 恐らく、今後も試練を続けていくと購入できるようになるのだと思います。

 私達は、次の依頼書にあった【廊下に潜む上半身だけの魔物を探し出し討伐せよ】を受ける事にしました。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

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