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 学校の校門に行こうとすると、臨時で来ていた体育の先生がいた。

 私は、咄嗟に隠れた。

 何故かというと、学校から帰るときに花ちゃんから聞いた話なのですが、私が上の空だった昨日、休み時間の度に「先生、スポーツテストが楽しみです」と言って何度も何度も繰り返し教室へ来ていたからです。


 私はその先生の行動を不審に思い、花ちゃんと一緒に帰っている時、スマホでシャトルランについて調べてみました。

 すると、私の記録は世界記録を超えていたのです。

 ですが、私はまだまだ余裕で走れた。

 そして、その私の余裕の表情を先生は見ていたのでしょう。


 私は計画として、スポーツテストを普通の人並みにしようと考えているのですが、あの先生が絡んでくると、また世界記録を超えてしまう気がするのです。

 先生を無視すれば良い話しなのですが、先生の熱血指導する声が怖い。

 シャトルランの時も、怖くて走ってしまいましたからね。



「撫子ちゃん、電柱に隠れて何しているの? もしかして、隠れん坊?」



 電信柱の横から先生の様子を窺っていると、花ちゃんが声をかけてきた。



「花ちゃん、違います。あの先生に、見つからないようにしているのです」



 私は花ちゃんを抱き寄せると、一緒に電信柱の裏に隠れた。



「どうして?」



 どうしてって言われても、教えてくれたのは花ちゃんですよ? 



「私が上の空だった昨日、あの先生が何度も教室に来ていたと、花ちゃんが教えてくれましたよね?」



 私は、花ちゃんが言っていた事を伝える事にしました。

 身振り手振りで言っていた事をお伝えするのですが、花ちゃんは小首を傾けるだけです。



「花、そんなこと言ったかな?」



 昨日の今日の事ですのに、忘れたのですか? 



「ですが、体育の授業での記録がですね……」

「うん、撫子ちゃん50m走凄く早かったよね」



 私が体育の授業のことを伝えようとすると、嬉しそうに話しをする花ちゃんの言葉に遮られた。



「えっ?」



 50m走って、シャトルランでは無いのですか? 

 私達は、シャトルランを走った筈。

 そこで、先生から褒められて……。



「8秒2だったから、あの時は早ーいって皆驚いていたよね」



 これは、どういう事でしょうか? 

 ですが花ちゃんの記憶が、私と食い違っています。

 そう言えば、お使い様のメッセージカードに秘密消去済と書いてありました。

 つまり、シャトルランの事は秘密として消去されたと言う事です。


 それと噛み合わない事柄に関しては、お使い様が改竄(カイザン)すると言う事なのでしょうか? 

 でしたらもしかして、先生の記憶も? 

 私は、校門の前に居る先生の前を通ることにした。



「おはよう」



 先生が私に、挨拶してきた。

 ですので、私も丁寧に挨拶をします。



「先生、おはようございます」



 先生は笑顔を見せると、他の子達にも挨拶をしだした。

 やはり、先生は私を見ても何も言ってきません。

 つまり、先生の記憶も改竄(カイザン)されていると言うことです。


 それとなく、クラスの子達にも昨日の体育の授業内容を確認すると50m走でした。

 やはり、私以外の誰もが記憶を改竄(カイザン)されたようです。

 ですが、お使い様のお陰でスポーツテストの気掛かりが無くなりました。


 一時限目の授業が終了したので、私は花ちゃんへクッキーを渡すため、校門前に行くことにした。

 因みに、お手伝いさん達は二時限目の休み時間以降にクッキーを持って来てくれるそうです。

 鞄からネコさんの紙袋を取り出すと、私は花ちゃんの顔を見た。



「実は、昨日お手伝いさん達とクッキーを焼いたのです。ですので、花ちゃんにも是非食べて頂こうと思い持ってきました」



 花ちゃんにネコさんの紙袋を手渡すと、笑顔になった。



「わーい。花、クッキー大好きなの。紙袋、可愛いネコちゃんだ」



 花ちゃんはそう言うと、ネコさんの紙袋から透明袋を取り出した。



「可愛いー、ネコさんクッキーだ。これ、どうやって作るの?」



 花ちゃんも、作ってみたいのでしょうか? 

 ネコさんクッキーのチョコで作った顔を、見つめていました。



「チョコで顔を描いて、ネコさんの型抜きでくり抜いてから焼くのです」

「へー、ワンちゃんのは無いの?」



 そう言えば、花ちゃんはワンちゃん好きでしたね。



「今度、お手伝いさんにワンちゃんの型抜きが無いか聞いておきますね」



 私がそう言うと笑顔になったので、お手伝いさんにワンちゃんの型抜きを頼んだ方が良さそうです。



「わーい。ねえねえ、今食べても良い?」



 キンコンカンコン! キンコンカンコン! 



 花ちゃんが透明袋を開けようとすると、チャイムが鳴ってしまいました。



「あっ、鳴っちゃった」

「花ちゃん、教室へ戻りましょう」

「うん。じゃー、家に帰ってから食べるね」



 チャイムが鳴ったので、私達は急いで教室へ向かう事にした。 

 私達が教室に戻って来ると、(ナズナ)君がそわそわして私の席の前で立っていた。

 花ちゃんは席に着いたのですが、私は不思議に思い(ナズナ)君を廊下から見ていた。


 すると、(ナズナ)君は私に気づいたようで慌てて自分の席に着きました。

 小首を傾けゆっくり席に向かっていると、先生の足音が廊下側から聞こえて来たので、私も慌てて席に着きました。

 そして次の授業に使う国語の教科書を机から取り出すと、教科書の間に紙が挟まっていたのです。



「手紙?」



 国語の授業が始まり、教科書を開けると私は気になるその紙を読むことにした。

 紙を開けて中を読んでみると「僕の大切なカードを届けてくれて、本当にありがとう。クッキー、凄く美味しかったです。(ナズナ)」そう書かれてあったのです。


 (ナズナ)がこちらを見たので、私は笑顔を向けました。

 すると、またそっぽを向かれました。

 ですが、嫌われていないと分かっていたので気分良く授業を受ける事ができました。


 授業が終わると、私は一人で校門前に向かいました。

 お手伝いさんから、クッキーを受け取るためです。

 靴を履き替え校門前に向かおうとすると、すでに親衛隊の皆様が何名か集まっていました。


 親衛隊の皆様は、一体どこで情報を仕入れたのでしょう。

 お手伝いさんの所へ行き学校の方を見てみると、教室で慌てている親衛隊の皆様が何人かいました。

 親衛隊の皆様が集まって来るのは、どうやら教室から私の自宅に有る大きな車が見えていたせいだったようです。



「お嬢様、お持ち致しました」

「ありがとうございます」



 運転手さんが車のトランクを開けると、トランクには箱が山積みされていた。

 その箱をお手伝いさんが一つ持ってきてくれたので、開けて見ると沢山の袋が入っていた。

 改めて見てみると、凄いクッキーの量です。


 確かに、この量は私一人では無理です。

 本当に、お手伝いさん達には感謝しかありません。

 私が一つずつお礼を言って親衛隊の皆様に手渡ししていくと、五十名に手渡した時点でチャイムが鳴ってしまいました。


 すると、一斉に親衛隊の皆様も教室に戻りました。

 どうやら、私に迷惑をかけないようにする為のようです。

 私も教室に戻り、次の授業を受けました。


 その日は、休憩時間の度にクッキーを親衛隊の皆様へ渡したので大変でした。

 ですが、三時限目の休憩時間から花ちゃんも手伝ってくれたので、どうにか放課後までには親衛隊の皆さんへ手渡しすることが出来ました。

 教室へ花ちゃんと一緒に鞄を取りに行き、廊下を歩いていると先生が歩いて来ました。



「花楓院さん、私達もクッキー頂いたわ。いつも気を遣って頂いて、ありがとう。ご両親とお手伝いさん達にも、よろしく伝えておいてね。では、また明日ね」



 私がいつも先生達から怒られないのは、事前に先生達へお手伝いさんが手回しをしてくれるお陰なのです。

 ですので、二時限目から配ることになるのです。



「はい。先生、さようなら」



 私が先生へ丁寧に挨拶をすると、花ちゃんも慌てて挨拶をします。



「先生、さようなら」



 先生は笑顔を私達に向けると、職員室に向かっていきました。



「撫子ちゃん、いつも大変だね。花、ここまで親衛隊の人が居るって知らなかったよ」



 そう言えば、花ちゃんはクラスの子達の事しか知りませんでした。



「ごめんね、花ちゃん。手伝って貰って」

「良いよ。だってクッキーの袋、もう一つ貰ったんだもん。しかも、ワンちゃん」



 お手伝いさんから頂いていた予備のクッキーが、ここで役に立つとは思いませんでした。

 そして、クッキーの型がワンちゃんだったのも驚きでした。

 帰る方向が違うので途中で花ちゃんと別れ、一人でマンションへ向かっていると、公園の前に(ナズナ)君がいました。

 そして、私を見つけると(ナズナ)君は走って来ました。



(ナズナ)君、どうしたの?」

「おば……お姉さんに、お礼が言いたくて」



 (ナズナ)君は、公園にお姉さんが来ると思って待っていたそうです。

 ですが今朝、お姉さんはお風呂が新しくなったと言っていた。

 ですので、今日は公園前を通らないと思う。



「近くですし、一緒に行きませんか?」

「姫、良いのですか?」



 私達はお姉さんの自宅に、一緒に向かうことにした。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

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