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エピローグ

最終話です。


『ええ! これにより『APG』がSSS全国大会、アマチュア部門制覇!! 優勝だぁぁぁっ!!!!!!』


 大会会場に実況の雄たけびがこだまする。

 しかし、それすらもかき消さんばかりに観客による熱狂の叫びが響く。




「勝った……のか」


 マモルこと僕はデバイスから手を放し、ヘッドセットを取り外す。

 まるで他人事のような感想を呟きながら背もたれに全体重を預け、天井を見ながらもう一度呟く。




「勝ったんだな……」




「なーに浸ってんのよ、マモル!!」


「うわっ……!」


 飛び込んできた反動にビックリしながら立ち上がる。




「最後よくやったじゃない!」


「……ああ、合宿からずっと戦闘訓練したおかげかな」


「ふふーん、つまり訓練に付き合ってあげたアカネのおかげってわけね」


「そうだな、そのおかげでもうアカネより強くなったかもな」


「は? 調子乗んな。っていうか最後の戦闘も最初の方エイム合ってなくて弾切れギリギリだったから」


「すいません……」


 アカネにシメられる。




「アカネ様そこらへんで。実際戦闘特訓前とは別人のようになられたと思いますぞ」


「ありがとうございます、ジイクさん」


「それにしてもこれにて優勝、プロ入り決定ですな。この年にして新たな戦場に登ることが許されるとは……年甲斐もなく血沸き肉踊りますぞ」


「ジイクさん……また今度これまでに巡ってきた戦場について話してくれませんか?」


「ふぉっふぉっ……確約は出来ませんな。一つや二つの秘密が魅力的な年寄りには必要だと思いますので」


 ガードの固いジイクさんでも今の昂揚した状態なら、と思ったがはぐらかされる。




「わあああああっ! 良かった、良かった! ありがとね、マモル君!!」


 リリィさんが僕の元にやってくるや否や、僕の肩を掴み高速で頭を下げる。


「どうしたんですか?」


「だって最後の2対2、私が先に落ちちゃった瞬間『あっ!? ヤバっ……!?』って頭が真っ白になっちゃって……でもその後マモル君が勝ってくれたから、もうほんと……!!」


「それなら大丈夫ですよ、最初からリリィさんを囮にするつもりだったので」


「えっ!? 私、囮だったの!?」


 どうやら自分でも気づいていなかったようだ。

 最終衝突、あのまま僕が作戦を考えてたら、それを『完全指揮(パーフェクトオーダー)』に読まれて負けていただろう。

 でもリリィさんが僕たちらしく戦うことを思い出させてくれたおかげで、結果的に裏をかき勝つことが出来た。


 この優勝はリリィさんのおかげ――。




「囮……知らないうちにそんな上手くやってたなんて。もしかしてこれが私の才能? だったら最後勝てたのも私のおかげだよね? ねえ、マモル君、ちゃんとそのこと言って私も注目を浴びるように……」


「ええ、分かりました。いい年して制服着た写真と一緒に拡散してあげますよ」


「それは止めてよっ!!!!」




 何やら調子乗りだしたので黒歴史を持ち出して対抗する。

 そういえば実際に会うまでは高校生だと騙されてたなー……もう既に懐かしい記憶だ。


 それだけに出会ってからの日々が濃密だった、ということなのだろう。




========




『GD』サイド




「すまない……」


 最後の最後で、マモルとの一対一に敗れ優勝を逃してしまった。




「まあ仕方ないでしょ。カイトは悪くない、敵が一枚上手だったわ。この結果にケチ付けるようなやつがいたら私がぶん殴ってあげるわ」


「おうおう、カイトのあんちゃんよぉ? なーに最後負けてんだ、ああん?」


「あっ、早速いたわね」


「いたっ!? いや、本気で殴るやついるか!?」




 アルテミスとアポロンがいつものバカをやって雰囲気を和らげようとしている。


 そう分かっているのに、すぐには立ち直れそうにない。




 おかしいとは思ったんだ、一度破られた策をまた愚直に繰り返すなんて、もう少し罠師の方を見てスキルの使用をキャンセルするかを確認していれば、いやしかし正面の『技能模倣(コピー)』も脅威だったし、結局こちらの思考が読まれていた時点で…………。


 グルグルと今の反省が頭を巡る。




「あーしかし負けちまったけど任務はどうするんかいな」


 アポロンが思い出したように言う。


 任務、僕らに課せられた任務はこの大会で優勝することによってSSSのプロ界隈に潜入し『組織』の計画を、世界の滅亡を防ぐことだ。


「そうね……私たちがプロになれないとなると……予備のプランでもあるのかしら……?」


 すっかり忘れていたがこのままでは世界は滅亡して――。




「それなら問題ありません」


「シズカ?」


「昨夜ですが内々に打診がありました。DAY1での活躍を見て、もしこの大会で優勝出来なくても、私たちと契約してプロチームを立ち上げたいというスポンサーが」


「それは……本当か?」


「ええ。これから契約の詳細を詰める必要があるので『APG』よりは遅れるでしょうが、私たちもプロ入り出来ます」


 プロ入り出来る……ということはつまり。




「『APG』にリベンジ出来るってことか……!!」




「いや、そこは建前でもいいから世界の滅亡を防げる、って言いなさいよ」


 アルテミスのツッコミ。




「うぉぉぉっ!! そうや! 次は負けへんで!!」


「あんたも……ったく」


「ふふっ……」


「何か傍観者のように振る舞っているけどシズカも。昨夜の内に打診があったならちゃんと共有しておきなさいよ」




「そうだな、重要な情報は共有するように言ってたはずだが」


「……ええ、ですがもし負けてもプロになれると分かっていたら今日の戦いはこれほどまでに楽しめなかったでしょう?」


「それは……」


「まっ、そうやな」


「あんた……『絶対順守』失格よ。ああもう私以外のチームメンバー全員ポンコツなんだけど!?」




「そう言ってるアルテミスだって、また『APG』と戦えるのワクワクしてるのバレバレやけどな」


「なっ……!?」


「そういえばアポロンはところどころ『APG』にやり返してるのに、アルテミスはあまりいいところは無かったな」


「重要な情報ですね、共有しましょう。アルテミスもポンコツ……っと」


「あんたたちは~~~~~っ!!!!!」








 その後、『GD』は南の島でバカンスを楽しみながら契約の話を進め、一か月後プロデビュー。

 『APG』やその他プロチームと鎬を削りながらも、プロ界隈に潜む『組織』の陰謀に立ち向かっていくのだが――。


 それはまた別の話。








========




『APG』サイド




「え、僕が優勝インタビュー受けないといけないんですか?」


「アカネが変わってもいいのよ」


「そうは行かないでしょう。ほら急かされてますから」


「マモル君、ファイト!!」




 お立ち台に呼ばれた僕は実況と解説の質問に答える形式で話していく。




「もともと違うチームに僕は所属していたんですけど、ちょっと方針が合わなくて脱退させ……いや、して」


「きっかけは本当に偶然野良マッチで味方となったリリィさんとこれからも一緒に遊ぼうと誘われて」


「アカネとジイクさんとは最初はちょっと合わなくて、思いっきり戦ったこともあって」




「チームを組んでから最初は非公式大会に出たんです。予選も大変だったけど突破して」


「本選では今日戦った『GD』に敗れたんですけどね」




「そこからはこの大会で優勝するために合宿もしたりみんなで強くなって」


「予選は本当毎回大変でしたね」




「ああでも昨日のDAY1が一番大変だったかもしれません」


「ラストマッチは本当に緊張しました」




「逆に今日はのびのび戦えたと思います」


「最後も勝ったことより、僕たちらしく戦えたのが良かったです」








「最後に一言……ですか? ええとこんな素敵な大会を開いてくれて関係者には感謝です。大会楽しかったです。SSS楽しかったです。ゲーム楽しかったです!」


「これからもチームのみんなと一緒に楽しんでやっていきたいと思います!!」








『消極性FPS理論 ~オーダーが地味だとチームを追放されましたが、野良で会った美少女(?)と新しいチームを組んでゲームを楽しめるようになりました! あ、ちなみに元居たチームは崩壊したそうです~』完


 連載開始から約1年と2ヶ月と長くなりました。


 ここまで読んでくださりありがとうございます。




 これからもマモルたちの物語は続きますが、作品はここで終わりです。


 少しでも心に残った方がいれば幸いです。






 作品の振り返りがっつりやるタイプなので、次の話で『反省会』ということで丸々一話使ってやります。


 執筆や設定の裏側など書いてるので気になる方は是非。




 また別の作品で会えたら嬉しいです。


 雷田矛平でした、ありがとうございました!!

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