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9話 最終局面


 マモルこと僕はリリィさんに最後の攻防に関する作戦を端的に語った。


「そ、それって……もし負けたら全部私のせいってことになりますよね……?」


 与えられた役割の大きさにおののくリリィさん。


「そんなことありません、そのときは先に死ぬ僕のせいです。……駄目なら駄目って言ってもらって大丈夫ですよ、別の方法で行きますので」


 別の作戦とは言うがそんな上等なものでもない。手榴弾を投げながら特攻というプランだ。




「……分かりました。私、やります」

「いいんですか?」

「そのかわり負けても本当に責めないでくださいよ!」

「当然です! そして下も動きました!」


 次の収縮まで残りも30秒。最終安置の場所は丘の中腹。

 そのポイントから一番離れているのは巨大樹から飛び降りた部隊だ。またも安置に泣かされる格好となっている。

 隠れながら撃ち合っても埒が明かないと判断したのだろう。物陰から出て突撃を開始するが……どうやら無策というわけでもないようだ。


 スキル『ウォール』。

 壁を生成するそのスキルを移動経路の途中に使用して、丘の下の部隊からの被弾を減らしながら接敵する。

 お互いフルメンバー、4対4の乱戦が開始された。


 有利なのは丘の下の部隊だ。移動から状況を確認して攻撃しないといけないのに対して、見て迎撃できる方が単純に有利。その上装備も高級アーマーとEXウェポンが揃っている。

 一人、二人と倒され次第に減っていく突撃部隊。

 有利を取ったことで、迎撃する側としてずっと気がかりだったのだろう。丘の上、つまり僕たちを警戒する者が現れた。


 しかし、僕たちは動かない。敵を倒せた場合のメリットよりも、最終攻防の前に被弾して体力を減らすデメリットの方が大きい。

 結果上方を警戒しすぎて、目の前の敵にダウンを取られる者が現れた。

 とはいえ別の味方によってカバーが成され、突撃部隊は全滅。




 残り二部隊。

 僕たちは二人、敵は四人だが一人はダウンして戦えるのは三人。


 その瞬間に安置の収縮も始まった。

 敵も僕たちも丘の中腹へと走らないといけない。


 ダウンしている者を起こすことも、今し方傷ついた体力を回復することも、倒した敵の物資を漁ることもなく丘の下の部隊は安全地帯を目指す。


 ここで一瞬でも判断に迷ってくれれば楽だったんだけどな……!


 最終収縮が始まった今、範囲の外にいればものの数秒で死ぬほどのダメージを食らう。とにもかくにも安地内に留まるべきで、敵ながら見事な切り替えだ。


 だがどうだ、この判断は出来るか?




 僕はキャラを操作して、丘を飛び降りさせる。

 落ちた先は敵部隊三人の目の前だ。




 一瞬だが敵に迷った気配があった。

 安置に向けて急いで移動中現れたのは落下によって隙の生じた無防備な敵、撃つべきか移動を優先するべきか。


 そんな敵を嘲笑うように僕は動けるようになった瞬間スキルを発動する。

 罠師の『罠設置』をだ。


 このスキルは発動すると3秒は動けなくなる。

 どう考えても敵の目の前で発動するべきではないスキルだ。


 しかし起動に成功すれば、罠のスロウ効果は絶大な結果を生む。動きを制限された敵はそのまま範囲によるダメージを食らって死ぬだろう。


 そこまで敵は考えたのか、あるいは無防備を晒した敵を見た条件反射か。


 三人とも足を止めて銃口をこちらに向けてきた。

 向けてしまったのだ。


 発射された三人分の弾丸が罠師の体を撃つ。

 ものの一秒で体力を完全に削りきられ、ダウンした。




 つまり作戦は失敗したのか――否。


 ここで生きてくるのが『罠設置』の仕様だ。

 このスキルは発動すると屈んで罠をその場に埋めた後、立ち上がって汗を拭うという行動を取る。


 その全てが終わるのには3秒かかる。

 しかし、罠の設置自体はその半分1.5秒で終わっている。

 立ち上がって汗を拭うという行動は本当にただ隙を晒すだけの行動なのだ。




 敵部隊は判断から銃口を向け、そして倒しきるまででギリギリ1.5秒かけてしまった。

 つまり、罠の設置は完了しており――感知範囲に敵がいることによって即座に効果を発動させる。

 三人ともにスロウ効果が付与された。




 正解は足を止めずに走り去ることだった。無視すればギリギリ罠の感知範囲を駆け抜けることが出来ただろう。

 しかし敵は足を止めてしまった。


 まあ仕方ないことだろう。

 この作戦は自分一人の犠牲でお手軽に有利状況を作れるから『銀鷲』にいたときから狙えるときはよく使っていたのだが、今まで誰一人だって僕を無視することが出来なかった。

 FPSプレイヤーの性として無防備な敵は反射的に撃ってしまうということだろう。



「………………」


 あのころはキルレが悪くなるから正直嫌々使っていた作戦だった。

 けど今回はリリィさんとスターを取るため積極的に提案した。




「……っ! 絶対に勝つ!!」


 動きが鈍ったことで範囲に飲み込まれダメージを受ける敵三人。

 そこにリリィさんが銃口を向ける。




 程なくして『You win the Star !!』と画面にデカデカと表示されて、僕とリリィさんはマッチを勝利した。


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