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86話 決着


 カイトこと俺は戦場を眺めるしかなかった。


 ラストマッチの順位は9位。

 マッチ早々にシズカを落とされて、3人しかいなかったのに粘った方だろう。


 しかしそれよりも厳しい状況で挑んでいるマモルはまだ生きている。


『どういうことだ!! 戦場に一人ポツンと残され、衝突すれば吹き飛ぶような命!! なのにこの乱戦の嵐の中、台風の目のように彼の周りには銃弾が届かない!!』

『ラッキー……では無いでしょうね、ここまでくると。解説なのに申し訳ないですが、私の目からは何が行われているのか分からないですね』




 会場の実況と解説の声が聞こえる。

 解説はプロゲーマーが呼ばれていたはずだが、確かアタッカーのはずだ。オーダーの立ち回りに精通していないのだろう。

 同じオーダーである俺の目からするととんでもないことをしているのだが……あれではその1割も伝えられていない。




「しっかし最初に聞いた時は無茶やろ思ったけど、本当にここまで生き残るとはなー」

「作戦失敗……いえ、こちらのミスというより、あちらが見事だと言うべきでしょうね」

「私が生存することが出来ていたら……」


 チームメンバーもそのプレイに釘付けだ。


 そうしているうちにマッチは最終収縮を残すのみとなった。

 狭いエリアには残り4部隊生存している。

 そんな中マモルは戦いに巻き込まれない位置を既に取っている。


「これはもう決まったな」


 後は手榴弾や銃撃で戦い合わせるように動けば、3部隊で潰し合って、残った1部隊とマモルだけになる。それでDAY1突破条件の2位だ。

 滑り込みではあるがチーム『APG』はDAY2に進出出来る。




「…………」


 『完全指揮(パーフェクトオーダー)』なんて呼ばれて少し天狗になっていたか。

 同じアマチュアでもここまでのオーダーがいる。


 総合値では負けていないはずだ。客観的に見ても違いないはず。


 しかし一点。


 なるべく戦わない立ち回り、消極的なオーダーにおいて、やつは俺を上回る。




 ……厄介だな。

 DAY2のルール、優勝するためにはスターの獲得が絶対条件。


 明日は一日中やつと同じ戦場で戦うことになる。


 ……負けられない。俺には負けられない理由があるんだ。

 世界の滅亡を防ぐためにも――。


「明日は絶対に上を行ってみせる」






『さーて残り2部隊となった!! 何と序盤にチームメンバー3人を失ったはずのマモル選手がここまで生き残っている!! 一体どういうことだ!!』

『見に徹せるのはここまで、残り二部隊となれば戦うしかありません。どうやらマモル選手は早速仕掛けるようですね』

『おおっと戦闘したばかりの敵の背後目掛けて突っ込む!! これは――!!』

『……集中砲火で落とされましたね。まあ3対1だったのでひっくり返すのは厳しかったでしょう』


『というわけでラストマッチも決着! 2位となった『APG』だがおそらくそれは目論見通り! なんと逆転でDAY2突破を決めたぞーー!!』






===========






「はぁ……もうクタクタだな」


 その日の夜。

 マモルこと僕は会場に併設されているホテルに用意された部屋のベッドに寝転んでいた。


 一日中大会本選という緊張感の中でSSSをプレイした上に、ラストマッチの『煽争アジテーション』作戦はこれまでにないというほどに集中した。

 それに終わらずマッチ後は大会運営からのインタビューに答えたり、こういうのは鮮度が命です、とジイクさんにSNS用にメッセージをまとめるようにお願いされたし、アカネからは本当に一対一に付き合わされたし。


 全部から解放されてようやくゆっくり出来るというわけだ。


「これでまた明日DAY2を戦うっていうんだからなあ……しっかり休んでおかないと」


 と、そのまま目をつぶろうとしたが。




「喉が渇いたな……持ってきた飲み物は昨日の内に飲んだし……面倒だけど買いに出るか」 


 確かホテルの同じ階のエレベーターホール横に自販機があったはずだ。

 ちょっとそこまでだと思って僕は財布を持って向かう。


 ホテルのフロアは静かだ。今日泊っているのはSSS全国大会の関係者しかいない。

 明日のDAY2のため、早めに休んでいるのだろう。


 普段は関わることもない高級ホテル。シンプルだが豪奢な装い。敷かれた絨毯も厚手で自分の足音さえかき消される。

 ちょっとした非日常感があるな。


 そうしている内に目的地にたどり着く。

 自販機だけでなく、机とイスも置いてあり、ちょっと部屋の外で雑談するのにちょうどいいというスペース。




 そこには何と先客がいた。


「君は……」

「あ、えっと……」


 思わず視線を向けたところ目が合ってしまう。

 『GD』のオーダー、カイト選手。

 彼は一人で缶コーヒーを片手に何やら思いふけっている様子だった。




「……ちょうどいい、少し時間があるか? 話したい事があるんだが」

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