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81話 強襲

投稿遅れて申し訳ありません。


 展望台に入ると同時に『APG』の一番槍、アカネによる強襲。


 逃走か抗戦を予想していたカイトこと俺の推測から外れる一手。


 虚を付き、状況を崩す一手と――。




「一番つまらない手を打ってきたな」


 なるはずがない。


 『APG』の狙いは読めている。ただ逃げるだけではどこまでも追いかけられる。だから一度叩いてから逃げる強襲離脱。


 そんなありふれた手を俺が警戒していないとでも思ったのか?




「シズカは回復! アポロンは外に逃がさないように追跡! アルテミスは階段を警戒!」


 矢継ぎ早にオーダーを出す。




「了解!」

 シズカはエントランスに置かれている受付テーブルの影に隠れて回復を始める。


「オッケー、逃がさんで!」

 アポロンは飛び降りたアカネの逃亡阻止に向かい。


「っ、敵影!」

 アルテミスが向いた階段の方から祈祷師――『APG』の祈祷師はスナイパーの名手、ジイクフリート――が現れる。

 強襲に連動した包囲網の構築、予想通りだ。




 そして俺は今入ってきたのとは反対の出口を警戒して。


「やはりな」


 そこから鳥使い――『APG』で一番やっかいな『技能模倣コピー』のリリィが顔を出す。

 先の先を取ることに成功した俺は銃撃を叩き込み、相手の反撃は遮蔽に隠れてやり過ごす。




「なるべく被弾を減らせ! 絶対に落とされるな!」


 オーダーを更新。

 襲撃するつもりでここまで来たのに、逆に強襲を受け慌てては敵の思う壷だ。

 ここは慎重に、落ち着いた展開になれば物資が少なくバラケた敵をすり潰す展開になる。

 とはいえ敵の狙いである強襲離脱を防ぐ必要はある。ここからお互いに押し引きの駆け引きが始まるだろう。




「あかん! そっちに焔化で突っ込んだ!!」




「なっ……!?」


 アポロンの報告に想定が外される。


 巫女のスキル『焔化』

 一定時間攻撃を受けない無敵状態となるが、その間巫女も攻撃することは出来ない。

 攻め込んだ後に無敵となって逃げる使い方が一般的だが、逆に無敵となって敵に突っ込む攻撃的な使い方もある。


 だがこちらの陣形を崩せていないこの状況では死への片道切符でしかない。

 破れかぶれな手段を取るような前衛ではなかったはずだが……やられたからには対応するしかない。


 炎が描く軌跡が建物の中に入ってきて向かうのは――。




「シズカ、応戦だ!」

「はい!」


 『絶対遵守』のシズカはオーダーに応え回復を中断。そのタイミングで焔化が解け巫女が実体化する。

 スキルの反動として隙を晒す巫女をシズカは攻撃。

 しかし倒しきる前に巫女も動けるようになりシズカが反撃を食らう。


 強襲を食らい、回復が出来ず、さらに応戦をして、それでもシズカは体力をギリギリ残して巫女を落とす。


 危なかった、何とか凌いで――。




「ごめん! そっちに敵が行くわ!!」


 続くアルテミスによる報告。


 相対していた祈祷師が階段からフロアに出てきた。遮蔽の無い場所を反撃もせず移動するから撃ち放題。

 そうまでして向かう先はまたしてもシズカのところだ。


「っ……落とされたわ」


 巫女に続き二人目の特攻を受け流石に耐えきれずシズカがダウン。


「このっ……!」

 ただ返す刃でアルテミスが祈祷師をダウンさせる。




 これで『APG』は二人ダウン、対してこっちは一人がダウン。有利なのはこちらだ。

 なのに俺の中の不安は膨れ上がっていた。


 こいつらは一体何を考えて………………いや近視眼的になら分かる、ここまでしてダウンさせたんだ、そのままシズカの確殺を狙ってくる……!!




 三度みたびの特攻。

 『技能模倣コピー』のリリィ、鳥使いがシズカの元に向かっている。


 それを撃ち倒すことは簡単だ。

 しかしその間に敵はダウンしたシズカを狙って確殺してくるに違いない。

 ならばここで取るべき行動はシズカを守ること……!!


「『ウォール』を使う! 今の内にシズカを起こしてくれ!」


 向かってくる鳥使いの進路上にスキルで壁を生成。

 これでシズカは撃てず、敵は壁を迂回しなければならない。右か左、顔を覗かせた瞬間に撃ち倒して敵の目論見を阻止する。




「右は任せい!!」

 アルテミスにシズカの応急処置を任せて、アポロンが隣に並ぶ。


「頼む!」

 俺は左に銃口を向けながら答える。


 集中、待ちかまえるこちらの方が有利な勝負、例え相手がプロの技能を模倣コピー出来る超人だとしてもそう好き勝手は――。




 トン、と壁に着地する音がした。


「なっ……!」

「くそっ……上か……!」


 失態に気付き銃口を上に向けたときには既にそこにいた鳥使いは飛び降りる最中だった。




 スキル『ウォール』によって生成される壁は普通のジャンプでよじ登れるような高さではない。

 しかし、そうだこの場所なら……受付テーブルから壁ジャンプ、照明に引っかけた後もう一階ジャンプすれば壁の上辺に届くだろう。


 言葉にすれば簡単だが、とても精密な操作が要求されるはずだ。タイミング一つミスれば落下するはず。

 普通のプロが練習で何十回も試行してようやく成功するような『実践じゃ使えないけどこんなテクニックもあるんですよ』というもの。


 大会の緊張感の中、撃ち合いの最中に、それを一発で成功出来るのは『超人機動パルクール』の技能を持つプロゲーマー、ヴァリアーくらいだろう。


 こいつはそんな技能さえも模倣コピー出来るのか……!!




 急降下してきた鳥使いは俺とアポロンには目もくれずに、応急処置されているシズカを攻撃。

 シズカが確キルされ棺桶になるのと、俺とアポロンにより鳥使いがダウンするのはほとんど同時だった。




「申し訳ありません」

「いや、敵の行動を予測できなかった、俺のミスだ」


 シズカが謝るが非はない、三人もの敵に命を辞さない玉砕をかけられれば防ぐ方が難しい。


「いやー全く何考えてるんや、『APG』は」

「ほんとよ、こんなところで命を散らして予選通過する気無いのかしら」


 アポロンとアルテミスによってダウンした『APG』の三人が確キルされていく。



「………………」

 その間、俺は周囲を警戒していた。


 そう、3人はダウンからすぐに棺桶とならなかった。

 それもそのはずだ。

 何故ならチーム『APG』はまだ全滅していない。もう一人、オーダーのマモルが生きているはずなのだから。


 3人に特攻をさせて、負けたこのときになっても報復をするでもなく未だ姿を現さないマモル。




「何が狙いだ……?」


 SSSにおけるおおよその戦略に通じている自負はある。

 なのに、同じオーダーであるはずのマモルの意図が全く読めなかった。


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